
日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」は、2025年10月27日に4代目のお客さんへの納車が始まり、今日でちょうど1年になります。価格は167万2,000円から。ただ、日産が発表した最初の1か月の受注の内訳を見ると、いちばん安い「S」を選んだ人はわずか1%で、8割が上級の「ハイウェイスター」でした。「ルークスってN-BOXと何が違うの? どのグレードを買えばいいの?」——この記事では、日産の発表資料と諸元、販売統計、試乗記をもとに、ルークスの中身と、グレードごとに何にお金を払うことになるのかを整理します。
受注の8割はハイウェイスター、最安の「S」は1%
日産は2025年10月21日、新型ルークスの受注が発表から1か月で1万1,344台(10月19日時点)になったと発表し、あわせてグレード別の比率も公表しました。
| グレード | エンジン | 価格(2WD) | 受注の比率 |
|---|---|---|---|
| S | 自然吸気 | 167万2,000円 | 1% |
| X | 自然吸気 | 173万9,100円 | 19% |
| ハイウェイスターX | 自然吸気 | 191万9,500円 | 27% |
| ハイウェイスターX プロパイロットエディション | 自然吸気 | 210万5,400円 | 19% |
| ハイウェイスターGターボ | ターボ | 215万9,300円 | 8% |
| ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション | ターボ | 224万9,500円 | 26% |
※価格は日産のニュースリリース(2025年9月19日)のメーカー希望小売価格(消費税込み)。比率は日産のニュースリリース(2025年10月21日)による、発表から1か月間の受注の内訳。4WDは2WDより、S・Xで15万700円、ハイウェイスター系で11万4,400円高くなります。
いちばん多かったのはハイウェイスターX(27%)で、その次が最上級のハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(26%)です。ハイウェイスター系を合計すると80%になります。前の車についていく運転支援「プロパイロット」付きの2グレードだけで45%、ターボ車は34%でした。
この数字から見えてくるのは、ルークスを買う人の多くが「安い軽」としてではなく、装備のそろった一台として選んでいるということです。
ルークスは、いちばん安いグレードではなく、「どこまで上げるか」で選ばれている軽です。
では、グレードを1段上げるごとに、何にいくら払うことになるのでしょうか。
グレードの階段:1段ごとに何が付くか
| 上げ方(2WD) | 差額 | 主に加わるもの |
|---|---|---|
| S → X | 6万7,100円 | 助手席側の後ろのドアが電動(リモコンオートスライドドア)、インテリジェントキーとプッシュスタート、IRカット機能付きガラス |
| X → ハイウェイスターX | 18万400円 | 専用の外装、14インチアルミホイール、LEDフォグランプ、両側の電動スライドドア、前席ヒーター、ステアリングヒーター |
| ハイウェイスターX → 同プロパイロットエディション | 18万5,900円 | プロパイロット(前の車についていく運転支援) |
| ハイウェイスターX → ハイウェイスターGターボ | 23万9,800円 | ターボエンジン(64PS)など |
| ハイウェイスターGターボ → 同プロパイロットエディション | 9万200円 | プロパイロットなど |
※差額は日産のニュースリリースの価格からの計算例(例:1,739,100−1,672,000=67,100円、1,919,500−1,739,100=180,400円)。装備はベストカーWeb(2026年6月)・Car Watchの報道による主なもので、すべてではありません。細かい装備は日産の最新の装備表で確認してください。
SとXの6万7,100円は「左の電動ドア」の値段と考えてよい
Sは、LEDヘッドランプやオートエアコン、分けて倒せる後席など、ふだん使いに必要なものはそろっています。それでも1%しか選ばれなかったのは、後ろのドアがどちらも手で開け閉めするタイプだからだと考えられます。Xにすると、助手席側の後ろのドアがボタンひとつで開くようになり、鍵をポケットに入れたままエンジンもかけられます。
スライドドアの軽を選ぶ人の多くは、子どもや親を後ろに乗せる機会がある人です。その使い方で6万7,100円の差なら、Xを選ぶ人が多いのは自然な流れでしょう。
ハイウェイスターXの18万400円には「冬の装備」が入っている
XからハイウェイスターXに上げると、見た目が変わるだけでなく、運転席側の後ろのドアも電動になり、前席のシートヒーターとハンドルを温めるステアリングヒーターが付きます。これからの季節、朝いちばんの冷たいハンドルと座面を温めてくれる装備は、見た目以上に毎日の満足度を左右します。受注でいちばん多かったのがこのグレードなのは、「両側電動ドア」と「冬の快適装備」がまとめて付く、ちょうどよい段だからだと読めます。
プロパイロットとターボは「よく走る道」で決める
ここから先は、高速道路や坂道をどれだけ走るかで考えるのが近道です。プロパイロットは高速道路や渋滞での疲れを減らすための装備で、近所の買い物や送り迎えが中心なら、なくて困る場面は多くありません。ターボについては、次の章で燃料代とあわせて見ていきます。
なお、表の6グレードのほかに、専用の内外装を持つカスタムカー「AUTECH LINE(オーテックライン)」もあります。発売当初はターボだけでしたが、2026年4月2日に自然吸気の仕様が加わり、201万8,500円(2WD)から選べるようになりました。
室内長はN-BOXより19cm長い。でも後ろの席が19cm広いわけではない
ルークスの数字で目を引くのが、室内の長さです。
| 項目 | ルークス | N-BOX |
|---|---|---|
| 全長×全幅 | 3,395×1,475mm | 3,395×1,475mm |
| 全高(2WD/4WD) | 1,785mm/1,805mm | 1,790mm/1,815mm |
| 室内長 | 2,315mm | 2,125mm |
| 後席のスライド量 | 最大320mm | 19cm(190mm) |
| 自然吸気のWLTC燃費(2WD) | 21.0km/L | 21.6km/L |
| いちばん安い価格(2WD) | 167万2,000円 | 176万8,800円 |
※ルークスはCar Watch(2025年8月・12月)の発表値と試乗記の諸元、COBBY・goo-netの諸元で照合。N-BOXはホンダ公式の主要諸元表と2026年7月16日のニュースリリースの価格(当サイトのN-BOXの記事で確認した値)。価格はいずれもメーカー希望小売価格(消費税込み)。
同じ外寸の枠の中で、ルークスの室内長はN-BOXより190mm、約19cm長くなっています。日産はこれを「クラストップ」とし、先代からも115mm伸ばしたと説明しています。
「19cmも長いなら、後ろの席はN-BOXよりずっと広いの?」
そう考えたくなりますが、ここは数字の読み方に注意が必要です。日産によると、今回室内長が伸びたのは、フロントウインドウの位置や形を見直したことによるものです。つまり伸びたのは主に車内の前のほうで、後ろの席の足元の広さ(後席ニールーム)は795mmと、先代と同じ数字です。2026年1月に掲載されたgoo-netの試乗記でも、後席の座面は長くなったものの、室内の広さや後席の機能は先代から大きくは変わっていない、と評価されています。
そもそも室内長は、メーカーごとに測り方の考え方が同じとは限らず、数字の差がそのまま座ったときの広さの差になるわけではありません。比べるときは、表の数字より、実際に後ろの席に座って、足元と頭の上を確かめるほうが確実です。
その一方で、ルークスがはっきり数字で上回っているのが、後席のスライド量です。最大320mmと、N-BOXの190mmより130mm大きく動かせます。後ろの席をいちばん前まで出せば、運転席から子どもに手が届きやすくなり、いちばん後ろまで下げれば足を伸ばせます。荷室の奥行きは最大675mmで、日産は48Lのスーツケースが4個積めるとしています。
ルークスの広さの強みは「長さ」より「後ろの席を大きく動かせること」にあります。
ターボか自然吸気か:燃料代の差は年6,000円ほど
ルークスのエンジンは、どちらも660ccの3気筒です。自然吸気は52PS・60N・m、ターボは64PS・100N・mで、ターボはトルクが約1.7倍あります。先代にあったマイルドハイブリッドは、4代目ではなくなりました。
| 2WD | WLTC燃費 | 年間の給油量 | 年間の燃料代 |
|---|---|---|---|
| 自然吸気(S・X・ハイウェイスターX) | 21.0km/L | 約381L | 約64,800円 |
| ターボ(ハイウェイスターGターボ) | 19.3km/L | 約415L | 約70,500円 |
※年間8,000km・1Lあたり170円という仮定に基づく計算例。8,000÷21.0≒381.0L×170≒64,762円、8,000÷19.3≒414.5L×170≒70,466円、差は約5,700円。実際の燃費は走り方や季節、道路の条件で変わります。4WDのWLTC燃費は自然吸気18.8km/L、ターボ17.4km/Lです。
燃料代の差は、仮定の条件で年に6,000円弱です。ターボを選ぶかどうかは燃料代より、走りの余裕をどれだけ求めるかで決まります。
試乗記の評価もそこに集まっています。Car Watchの試乗記(2025年12月)は、自然吸気は出力が小さいぶんアクセルを踏み込む量が増え、エンジン音がやや高めになるとしつつ、出力に合った味付けだと評価しています。ターボについては、登り坂や中間加速で力強い一方、マイルドハイブリッドがなくなったことで、発進の滑らかさは先代のほうが上だという見方も示しています。goo-netの試乗記は、自然吸気でも先代より余裕を感じるとしたうえで、高速道路や山道を日常的に走るならターボをすすめています。どちらの試乗記も、乗り心地や静かさは軽自動車として高く評価しています。
買っている人の7割近くは50代以上
スライドドアの軽というと、小さな子どもがいる家庭の車という印象があるかもしれません。ところが、日産が公表した最初の1か月の受注の年代は、次のとおりでした。
| 年代 | 受注の比率 |
|---|---|
| 30代以下 | 16% |
| 40代 | 16% |
| 50代 | 29% |
| 60代 | 24% |
| 70代以上 | 15% |
※日産のニュースリリース(2025年10月21日)による。50代以上の合計は29+24+15=68%。
50代以上が合わせて68%を占めています。日産は理由を説明していませんが、乗り降りのしやすいスライドドアや、車の周りを画面で確かめられるカメラ、冬のシートヒーターといった装備は、子育て世代だけでなく、親の送迎をする人や、大きな車から乗り換える人にも響きやすいものです。ハイウェイスターを選んだ人の約7割が、車を上から見下ろしたような映像や3Dの映像で周りを確かめられる「インテリジェント アラウンドビューモニター」(移動物検知付き)をオプションで付けていることも、日産は明らかにしています。
販売も好調です。全国軽自動車協会連合会の統計では、2026年4〜9月の半年間のルークスの販売は4万6,055台で、軽自動車の5位でした。前年同期比は156.5%と大きく伸びていますが、前年の同じ時期は先代の末期で、新型が出る前の数字です。伸び率の大きさには、その分が上乗せされていると考えたほうが正確です。1か月あたりに直すと約7,700台で、同じ期間に4位だったダイハツ「ムーヴ」(5万3,142台)に迫る数字です。
※計算例:46,055÷6≒7,676台。
なお、ルークスは三菱の「eKスペース」「デリカミニ」と、日産と三菱の合弁会社NMKVが企画したひとつの土台を共有する兄弟車です。3車種はそろって「2026年次RJCカーオブザイヤー」を受賞しています。中身の近い車を、見た目や装備の好みで選び分けられるのもこのクラスの特徴です。
買う前に知っておきたい割り切り
- Sは後ろのドアが両側とも手動:電動は、Xで助手席側、ハイウェイスター系で両側です。
- プロパイロットは専用グレードだけ:「プロパイロットエディション」を選ばないと付きません。ハイウェイスターXなら18万5,900円の差になります。
- オーディオは標準で付かない:goo-netの試乗記によると、オーディオは標準ではレスで、12.3インチの画面とGoogleマップなどに対応したナビはメーカーオプションです。見積もりは、画面やナビを含めた金額で比べてください。
- 自然吸気はアクセルを踏み込む場面が増える:高速道路の合流や長い登り坂が多いなら、ターボを試乗で比べてから決めるのが安心です。
- 全高1,785mm(4WDは1,805mm):高さ制限のある機械式駐車場には入らないことがあります。自宅や勤務先の駐車場の制限を先に確かめてください。
- 最低地上高は150mm:一般的な乗用車並みで、深い雪のわだちや荒れた道は得意ではありません。雪国では4WDかどうかに加えて、タイヤの準備も早めに考えておきたいところです。
あなたの場合はどう考える?
子どもの送り迎えで、後ろのドアを毎日開ける
最低でも助手席側が電動になるXから考えるのが無難です。チャイルドシートの子どもに手を伸ばす場面が多いなら、後席を320mm動かせる点は実車で試しておく価値があります。運転席側からも乗せ降ろしをするなら、両側電動のハイウェイスターXが候補です。
親の通院や買い物の送迎が多い
乗り降りのたびにドアを開け閉めするので、両側電動のハイウェイスターX以上が楽です。冬に親を乗せることを考えると、前席ヒーターが付く点も見逃せません。後ろの席に座る人の足元の広さは、販売店で実際に座ってもらって確かめると安心です。
大きな車からの乗り換えで、一人か二人で乗ることが多い
後ろのドアをあまり開けないなら、XやハイウェイスターXでも装備は十分です。大きな車に慣れている人ほど、自然吸気の加速に物足りなさを感じることがあるので、ふだん走る道に近いコースでターボと乗り比べてから決めるのがおすすめです。
高速道路で帰省や旅行に出かけることが多い
ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディションが、受注で26%と2番目に多かったのはこの使い方の人が多いからだと考えられます。ターボの燃料代の差は年に数千円の計算例にとどまるので、高速道路を走る頻度で決めて問題ありません。
選ぶのは「最安」ではなく「どの段まで上がるか」
ルークスは、167万円台の入り口から224万円台の最上級まで、57万7,500円の幅があるグレードの階段でできた車です。8割の人がハイウェイスターまで上がったのは、見た目のためだけではなく、電動ドア、冬の装備、プロパイロットと、1段ごとに「毎日使うもの」が加わっていくからです。自分にとってどの段の装備が毎日役に立つのか——そこで足を止めるのが、ルークスでいちばん後悔しない選び方です。
※計算例:2,249,500−1,672,000=577,500円(2WDどうし)。
情報源
- 日産自動車 ニュースリリース「新型『ルークス』を発表」(2025年9月19日) global.nissannews.com
- 日産自動車 ニュースリリース「新型『ルークス』受注の概要」(2025年10月21日) global.nissannews.com
- Car Watch 新型ルークス先行公開の記事(2025年8月) car.watch.impress.co.jp
- Car Watch 新型ルークス試乗記(2025年12月8日) car.watch.impress.co.jp
- Car Watch「2026年度上半期の軽自動車 車名別新車販売ランキング」(2026年10月7日) car.watch.impress.co.jp
- goo-net 新型ルークス試乗記(2026年1月27日) goo-net.com
- ベストカーWeb「ルークスを買うならS、X、ハイウェイスターXどれが正解?」(2026年6月28日) bestcarweb.jp
- COBBY「日産ルークスのモデルチェンジ情報」 cobby.jp
- Car Watch「新型『ルークス』のAUTECH LINEに自然吸気エンジングレード追加」 car.watch.impress.co.jp
- 日産自動車 ニュースリリース「新型『ルークス』が2026年次『RJCカーオブザイヤー』を受賞」(2025年11月12日) global.nissannews.com
- 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車 通称名別 新車販売速報」 zenkeijikyo.or.jp

