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雪道で立ち往生したら、車の中でどう過ごす? 軸は暖房ではなく「マフラー」と「燃料」、JAFのテストでわかった危ない待ち方

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雪が降り続く山あいの道路のイメージ。雪道で立ち往生したときの車内での過ごし方を解説する記事のアイキャッチ
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「エンジンをかけて暖房をつけていれば、朝まで車の中で待てるでしょ?」――大雪で道路が止まったとき、多くの人がまず考えるのはこれです。けれど、雪の立ち往生では、その「暖房をつけて待つ」がいちばん危ない過ごし方になることがあります。2020年12月の関越道では、約2,100台が最長52時間動けなくなりました。この記事では、JAFのテストや国・道路会社の呼びかけをもとに、立ち往生したときに車の中でどう過ごせばいいのかを、時間の流れに沿って整理します。

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過ごし方の軸は「暖房」ではなく「マフラー」と「燃料」

立ち往生した車の中で一番気をつけたいのは、寒さよりも、雪がマフラー(排気管の出口)をふさぐことによる一酸化炭素です。一酸化炭素は色もにおいもないため、車の中にいる人は気づきにくいとされています。

雪の中で車にこもるときは、「暖房をつけ続ける」のではなく、「エンジンをかける時間を決めて、そのたびにマフラーのまわりを見る」が基本です。

もう一つの軸が燃料です。立ち往生がどれだけ続くかは、車の中からはわかりません。エンジンを使う時間を減らせれば、それだけ長く持ちこたえられます。その間の寒さをしのぐのは、毛布や防寒着といった「エンジンを使わない暖かさ」です。

時間の流れで見る、やること

タイミング やること
止まってすぐ ハザードランプで周りに知らせる。ラジオや道路情報で、通行止めや立ち往生の情報が出ていないか確かめる。家族などに今いる場所を伝える
30分〜1時間 動き出す気配がなければ「長くなる前提」に切り替える。防寒着を着込み、毛布を出す。雪が積もり始めたら、マフラーのまわりとドアのまわりの雪をどける
数時間 エンジンは「かけっぱなし」にせず、かける時間を区切る。かける前と、雪が降り続いている間はこまめに、マフラーのまわりを確認する。スマホの充電はエンジンをかけている間に
夜・半日以上 燃料の残りから、あと何時間エンジンを使えるかを見積もる。寝てしまう前に、エンジンを止めるか、雪の状態をよく確かめる。体調が悪くなったら迷わず助けを求める

※JAF、国土交通省、道路会社などの一般的な呼びかけをもとに松ニュースが整理した目安です。実際には、道路会社や警察などの現地の案内を優先してください。

ポイントは、止まった直後の「すぐ動くかも」という期待のまま時間を過ごさないことです。関越道の立ち往生は、大型車が動けなくなったことをきっかけに始まり、その後、周りの車も含めて長時間動けない状態が続きました。最初の1時間で「今夜は動かないかもしれない」と考えて準備を始めた人と、そうでない人では、夜を迎えたときの余裕が大きく違ってきます。

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実際の立ち往生は、どれくらい続いた?

大雪による大規模な立ち往生は、ここ数年でも繰り返し起きています。

  • 2020年12月・関越道:新潟・群馬県境付近で、約2,100台が滞留。最長で52時間にわたって動けない車が出ました。
  • 2021年1月・北陸道:福井県内で約1,600台が立ち往生。同じ時期、東海北陸道の富山県内でも約200台が巻き込まれました。

こうした経験を受けて、高速道路会社は、大雪が見込まれるときには車が動けなくなる前に道路を止める「予防的通行止め」を、ためらわずに行う方針を打ち出しています。ただ、通行止めの前にすでに道路に入っていた車や、一般道で動けなくなる車まで、すべてを防げるわけではありません。

52時間は、丸2日以上です。夕方に止まったとすれば、2回の夜を車の中で越す長さにあたります。

マフラーがふさがると、車内はどうなる? JAFのテスト

JAFは、雪に埋もれた車の中で一酸化炭素がどう増えるかを、何度かテストで確かめています。

条件 結果
車がボンネット付近まで雪に埋もれ、マフラーもふさがった状態でエンジンをかけた 22分で一酸化炭素濃度が測定の上限の1,000ppm(約3時間で死に至るとされる濃度)に達した
同じ状態で、運転席の窓を5cm開けた 40分を超えたところで800ppm(約2時間で失神するとされる濃度)まで上がった
マフラーのまわりの雪をどけた 車内に一酸化炭素はほとんど入らなかった
2021年2月・山形県:ガソリン車を雪で埋め、マフラーなどが見えなくなるまで覆ってエアコン(内気循環・25℃)を使った 1分24秒で一酸化炭素が警報の目安の50ppmに達した。酸素濃度も13分14秒で警報の目安の18%を下回り、35分後には13.2%まで下がった

※上の3段は、乗りものニュース(2018年2月)が伝えたJAFのテスト結果。4段目は、くるまのニュース(2022年12月)とJAF Mate Online(2026年2月)が伝えたJAFのテスト結果。テストの条件は車や雪の状態によって変わります。

1分24秒、という数字に注目してください。エンジンをかけて暖房が効き始めるより先に、車内の空気が危ない方向へ動き始めていたことになります。

「窓を少し開けておけば大丈夫」ではないの?

換気は大切です。ただ、上のテストでは、窓を5cm開けていても、マフラーがふさがったままだと一酸化炭素は800ppmまで上がりました。窓を開けたことで上がり方はゆるやかになっても、危ない濃度に届くことに変わりはなかったわけです。

理由は、排気ガスの行き場にあります。マフラーの出口が雪でふさがると、出られなかった排気ガスは車の床下や周りにたまり、すき間から車内へ入り込みやすくなるとされています。窓を開けることは「入ってきたものを薄める」対策であって、「入ってこないようにする」対策ではありません。

順番は、まずマフラーのまわりの雪をどけること。窓を開けるのは、その次に重ねる対策です。

雪が降り続いていると、一度どけた雪もまた積もります。エンジンをかけたまま眠ってしまうと、その変化に誰も気づけません。「かける時間を区切る」ことを勧める理由はここにもあります。

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エンジンを使うなら、燃料は何時間もつ?

省エネルギーセンターなどによると、乗用車が10分間アイドリングすると約130cc(エアコンを使わない場合)の燃料を使います。1時間に直すと約0.8Lです。この数字をもとに、燃料の残りとエンジンをかけ続けられる時間の関係を計算してみます。

燃料の残り かけっぱなしの場合 1時間に20分だけかける場合
10L 約12時間 約37時間
20L 約25時間 約75時間
30L 約37時間 約112時間

※アイドリング1時間あたり約0.8Lという仮定に基づく単純な計算例です(10L÷0.8L=12.5時間、など)。暖房の使い方、車の種類、気温などによって実際の消費量は変わります。暖房を強くするほど、実際の時間は短くなると考えてください。

燃料が20L残っていても、かけっぱなしなら丸1日ほどで尽きる計算です。関越道の最長52時間には届きません。一方、エンジンをかける時間を1時間に20分までに区切ると、同じ20Lで3日分ほどの計算になります。

つまり、エンジンを区切って使うことは、一酸化炭素を避けるためだけでなく、「最後まで暖をとれる燃料を残す」ための工夫でもあります。冬に雪の多い地域へ出かける前に燃料を多めに入れておく考え方は、ガソリンは半分になったら入れる?の記事でも詳しく整理しています。

エンジンを止めている間の寒さは、どこまでしのげる?

JAFは2014年2月、長野県の菅平高原で、外の気温が氷点下10℃を下回る夜に、エンジンを止めたミニバンの中で朝まで過ごせるかを試しています。結果は次のとおりでした。

  • 何も対策しない:2時間45分でギブアップ(そのときの車内は1.8℃)
  • エマージェンシーシート(アルミの保温シート)を使う:5時間27分でギブアップ(車内はマイナス3.9℃)
  • 毛布と使い捨てカイロ、または寝袋を使う:朝まで8時間を過ごせた(ただし車内は最後にマイナス7℃まで下がり、朝方の寒さに耐えるのが精いっぱい)

エンジンを止めると、車内はみるみる冷えます。それでも、毛布やカイロ、寝袋があれば、エンジンを使わない時間を何時間もつなげられることがわかります。防寒具は、寒さをしのぐ道具であると同時に、エンジンをかける回数を減らし、燃料と安全を守る道具でもあります。

車に何をどれだけ積んでおくかは、車に積んでおきたい防災グッズの記事にまとめています。

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連絡と情報:スマホの電池も「燃料」と同じ

  • 情報をとる:ラジオや道路会社の道路情報で、通行止めや除雪の見通しを確かめます。周りの状況がわからないまま車の外を歩き回るのは、後ろから来る車や吹雪の中では危険です。
  • 知らせる:道路の異状は、道路緊急ダイヤル「#9910」(24時間・通話料無料)で道路を管理する機関に伝えられます。急に具合が悪くなった人がいるときは、ためらわず119番へ。
  • 電池を残す:スマホは連絡と情報の命綱です。充電はエンジンをかけている時間にまとめて行い、使わないときは画面の明るさを落とすなど、燃料と同じように「残り」を意識しておくと安心です。
  • トイレ:長い時間になると、トイレは避けて通れません。携帯トイレがあると、我慢して水分を控えることを避けやすくなります。

道路会社や警察などから、車を置いて避難するよう案内があった場合は、その指示に従います。そのときの車の扱い方(鍵をどうするか、など)も、現地の案内に従ってください。

EVの場合は何が違う?

2021年のJAFのテストでは、ガソリン車と同じように雪で埋めたEVに1人が乗り、60分間エアコンを使いました。EVは排気ガスを出さないため、車内の二酸化炭素濃度は人体に影響があるとされる0.1%を超えず、乗っていた人の体調にも変化はなかったと伝えられています。

ただし、EVで気になるのは電池の残りです。暖房を使えば電池は減っていきますし、雪に埋もれたままでは外へ出るのも大変になるため、JAFは雪かきと適度な換気が大切だとしています。冬のEVの電池の減り方については、「EVは冬に航続距離がどれくらい落ちる?」で詳しく扱います。

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状況別:自分ならどう過ごす?

  • 子どもと一緒の家族連れ:大人が交代でマフラーのまわりを見る係になり、エンジンをかける時間を家族で決めておきます。子どもは寒さを我慢しがちなので、毛布やカイロを先に子どもへ。眠る前には必ず雪の状態を確かめます。
  • 夜に1人で運転していた人:1人だと、眠ってしまえば誰も雪の変化に気づけません。エンジンをかけたまま眠らないことを第一にし、家族などに居場所と状況をこまめに伝えておくと、何かあったときに助けが届きやすくなります。
  • EVで走っていた人:一酸化炭素の心配はガソリン車より小さい一方、電池の残りが命綱になります。暖房の設定温度を控えめにし、シートヒーターなど体に近い暖房を使い、防寒着で補うと電池を残しやすくなります。
  • 雪国に住んでいて、毎日車を使う人:「いつもの道だから大丈夫」が一番の落とし穴です。冬の間は、燃料を早めに足すこと、スコップと防寒具を積みっぱなしにすることを習慣にしておくと、いざというときの過ごし方の選択肢が広がります。冬タイヤの交換時期はこちらの記事で整理しています。

雪の立ち往生で車を守り、自分を守るのは、強い暖房ではありません。マフラーの前の雪をどける手と、エンジンを止めていられるだけの防寒具です。

参考にした情報

  • JAF Mate Online「大雪で立ち往生! 車が雪に埋もれたときの車内環境はどう変わる?」(2026年2月12日) jafmate.jp
  • くるまのニュース「クルマが雪で埋まると短時間で『危険レベル』に! ガソリン車とEVで検証」(2022年12月21日) kuruma-news.jp
  • 乗りものニュース「大雪でクルマ立ち往生、まずすべきことは 一酸化炭素、数分で致死量が充満のケースも」(2018年2月22日) trafficnews.jp
  • くるまのニュース「2020年『関越道大規模立ち往生』はなぜ起きた?」 kuruma-news.jp
  • 国土交通省 北陸地方整備局 資料(関越道の大規模滞留について) hrr.mlit.go.jp
  • 乗りものニュース「大雪通行止め『躊躇なく』 NEXCO中日本 北陸での1800台立ち往生受け対応策」 trafficnews.jp
  • くるまのニュース「北日本から西日本の日本海側で『大雪』のおそれ 国交省が警戒を呼びかけ」(2025年12月2日) kuruma-news.jp
  • くるまのニュース「冬の車中泊は問題ない? 極寒でも車内で仮眠する場合の対策方法とは」(JAF菅平テストの紹介) kuruma-news.jp
  • NEXCO中日本「道路緊急ダイヤル #9910」 c-nexco.co.jp
  • 鈴鹿市「アイドリングストップ」関連資料(10分間のアイドリングで約130cc) city.suzuka.lg.jp
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