
「せっかく行くなら暗くなってから。でも、駐車場に入るまでに1時間並んだら、子どもがもたない」。イルミネーションのシーズンが始まりました。郊外の大きな会場は車で行きやすい一方で、点灯の時間に合わせて車が一度に集まります。混み方には、日の入りの時刻と会場のつくりで決まる「型」があります。いつ着いて、いつ帰るか。車で行く人のための時間の組み方を、国立天文台の暦と会場の公式案内をもとに整理します。
混むのは「点灯の前後」と「閉まる前」の2回
車でイルミネーションに行くとき、時間がかかりやすい場面は大きく2つあります。
| 場面 | 何が起きるか | 避け方の基本 |
|---|---|---|
| 行き:点灯の前後 | 「暗くなってから着きたい」人が同じ時間帯に集まり、駐車場の入口と周りの道に列ができる | 点灯より前に着いて、車を停めてから暗くなるのを待つ |
| 帰り:閉まる前 | 最後まで見た人が一斉に駐車場を出るので、出口と合流する道が詰まる | 閉まる時刻より早めに切り上げるか、逆にしばらく時間をずらす |
見る側からすると、いちばんきれいなのは真っ暗になってからです。ところが、みんなが同じことを考えるので、ちょうど暗くなる時間に車が集中します。
「暗くなってから着く」のではなく、「着いてから暗くなるのを待つ」。これがいちばん効く対策です。
点灯の時刻は日の入りで決まる、11月と12月で18分違う
多くのイルミネーションは、日が沈むころに明かりがつきます。点灯の時刻をはっきり決めている会場もありますが、その時刻も日の入りに合わせて季節ごとに変わります。そこで、まず日の入りの時刻を見ておきます。
| 日付(2026年) | 東京の日の入り |
|---|---|
| 11月1日 | 16時46分 |
| 11月15日 | 16時35分 |
| 11月30日 | 16時28分 |
| 12月1日〜13日 | 16時28分(1年でいちばん早い時期) |
| 12月24日 | 16時33分 |
| 12月31日 | 16時37分 |
※国立天文台 暦計算室「日の出入り」(東京)より。地域によって時刻は変わるので、行き先の時刻は国立天文台のサイトで確かめてください。
11月の初めと12月の初めでは、日の入りが18分早くなります(16時46分→16時28分)。そして、日の入りがいちばん早いのは冬至の日ではなく、12月の上旬です。
このため、11月に一度行ったときと同じ感覚で12月に出かけると、点灯がそのぶん早くなっていて、ちょうど混み始める時間に着いてしまうことがあります。日の入りのあと、空が十分に暗くなるまでには少し時間がかかるので、実際に「いちばんきれい」と感じる時間は、日の入りから30分〜1時間ほどあとになることが多いはずです。
会場の公式案内で分かること
実際の会場の案内を見ると、車で行く人が確かめておきたい点が見えてきます。ここでは、公式サイトで期間・時間・駐車場を確かめられた2つの会場を例に挙げます。
| 項目 | あしかがフラワーパーク「光の花の庭」(栃木県足利市) | さがみ湖イルミリオン(神奈川県相模原市) |
|---|---|---|
| 期間 | 2026年10月17日〜2027年2月14日(12月31日は休園) | 2026年11月14日〜2027年5月9日(4月5日以降は土日祝のみ) |
| 点灯のめやす | 通常は17時ごろ、11月7日〜1月3日は16時30分ごろ | 公式サイトの営業案内で確認 |
| 駐車場 | 無料。普通車300台・大型バス40台 | 有料。普通車は平日1,000〜1,500円、土日祝・特定日1,500〜2,000円。出て再び入ると料金がもう一度かかる |
| 道路についての案内 | 平日はスムーズに来られるとしている。高速のICから15〜25分ほど | 週末は周辺道路が混雑するとして、公共交通も案内。中央道の相模湖東出口から約7分 |
※各会場の公式サイトの案内(2026年10月27日時点)。料金・時間は変わることがあるので、出かける前に公式サイトで確かめてください。
あしかがフラワーパークは、11月7日から1月3日までは点灯を16時30分ごろに早めています。日の入りが早くなる時期に合わせた形です。夜の部は15時30分から入れるので、点灯の1時間前に着いて、明るいうちに車を停めておくことができます。
さがみ湖イルミリオンは、駐車場が有料で、一度出ると料金がもう一度かかります。「先に別の場所で食事をしてから戻る」といった動き方をするなら、その分の費用も考えておく必要があります。
「駐車場は広いのに、なぜ入れない?」
数百台、数千台が停められる駐車場でも、入るまでに長い列ができることがあります。
「広い駐車場なら、着けばすぐ停められるはずでは?」
列ができる原因は、駐車場の広さではなく、入口を通れる速さにあることが多いのです。入口の数は限られていて、料金の支払いや誘導があれば、1台ずつ通るのに時間がかかります。そこへ、点灯の時間をめがけて車が一度に来ると、駐車場の中には空きがあっても、入口の手前で列が伸びていきます。
たとえば、入口を1台が通るのに10秒かかると仮定すると、1分で6台、1時間で360台です。点灯前の1時間に、それより多くの車が来れば、そのぶんだけ列は長くなります(あくまで仮定に基づく計算例で、実際の入口の数や誘導のしかたによって大きく変わります)。
駐車場の広さは「停められるかどうか」を決め、入口の速さは「いつ停められるか」を決めます。待たないためには、到着の時間をずらすしかありません。
周りの道も同じです。会場へ向かう道が1本しかない場所では、駐車場の列が道路まであふれ、会場とは関係のない車まで巻き込んだ渋滞になります。紅葉の名所で、ふだん25分の道が何倍もかかる日があるのと同じしくみです。くわしくは紅葉ドライブの渋滞はいつ避ける?で取り上げています。
帰りは「最後まで見る」か「先に出る」かを決めておく
帰りの混雑は、閉まる時刻が近づくほど大きくなります。最後まで見た人が、ほぼ同じ時間に駐車場を出るからです。
考え方は2つあります。
- 先に出る:いちばん暗くなってから1時間ほど見たら切り上げる。閉まる時刻の1時間以上前に駐車場を出れば、出口の列を避けやすくなります。点灯前に着いた人は、ちょうどこの流れになります。
- 最後までいる:閉まる時刻まで楽しむなら、駐車場を出るのに時間がかかる前提で、トイレや飲み物を済ませてから車に戻る。慌てて出口の列に並ぶより、車で少し待ってから出るほうが、気持ちに余裕が持てます。
どちらにしても、帰り道は暗く、寒く、体も疲れています。そのうえ、夜の運転では歩いている人が見えにくくなります。夕方から夜にかけて事故が増える理由は夕暮れ時は事故が多い?、夜道の見え方は夜道で見えにくいのはなぜ?でまとめています。
見る前・見たあとに、車で気をつけたいこと
- 運転中は明かりに目を取られない:街なかのイルミネーションや、会場が近づいて光が見えてくる場面では、つい目がそちらに向きます。会場の周りは、駐車場から歩く人や、暗い色の服の人も多くなります。見るのは車を停めてから、と決めておくと安心です。
- 寒さへの備えは「人」に:夜の屋外は冷えます。手袋や帽子、ひざ掛けなどは車に積んでおけば、待ち時間にも使えます。駐車場でエンジンをかけたまま長く待つより、着るもので調整するほうが、周りにも気をつかわずに済みます。
- 駐車した場所を覚えておく:広い駐車場は、暗くなると見た目が変わります。停めた区画の番号や目印を、明るいうちにスマートフォンで撮っておくと、帰りに迷いません。
- ガソリンや電池は行く前に:山あいの会場では、帰り道に開いているガソリンスタンドが少ないこともあります。電気自動車なら、冬は電池の減りが早くなるぶん、少し余裕を持って充電しておきたいところです。
こんな人は、こう組み立てる
小さな子ども連れで、週末に行く人
いちばん避けたいのは、点灯直前の入口の列です。日の入りの1時間ほど前に着いて、明るいうちにトイレと食事を済ませ、暗くなったらすぐ見て回るのがおすすめです。子どもが疲れる前、閉まる時刻よりかなり早めに出られれば、帰りの列にもほとんど巻き込まれません。
仕事帰りや平日の夜に行く人
平日は週末より道も駐車場も空きやすく、あしかがフラワーパークのように「平日はスムーズ」と案内している会場もあります。点灯の時刻に間に合わなくても、平日なら混雑はそれほど気にせずに済むことが多いので、閉まる時刻から逆算して、最低1時間は見られる時間に着くようにします。
高速道路を使って遠くから行く人
行きは、高速道路の渋滞も重なるので、出発を早めて会場の近くで時間をつぶすくらいの余裕を見ておきます。帰りは、夜の高速を長く走ることになります。疲れているときは、早めにサービスエリアで休むことを前提に、帰りの時間を組んでおくと無理がありません。
イルミネーションは、明かりがついてからが本番です。でも、車で行く人にとっての本番は、その少し前から始まっています。
日の入りの時刻を調べて、それより早く着く。それだけで、光の中にいる時間が長くなります。
情報源
- 国立天文台 暦計算室「日の出入り(東京)2026年11月・12月」 eco.mtk.nao.ac.jp
- あしかがフラワーパーク「光の花の庭 2026」特設ページ ashikaga.co.jp
- あしかがフラワーパーク 公式サイト ashikaga.co.jp
- さがみ湖イルミリオン 公式サイト sagamiko-resort.jp
- さがみ湖イルミリオン「アクセス」 sagamiko-resort.jp

