
2026年4〜9月(2026年度上期)の国内新車販売台数が、10月1日に発表されました。登録車と軽自動車を合わせた合計は229万2,064台で、前年の同じ時期より5.1%多く、2年続けてのプラスです。ただ、中身を分けてみると、伸びたのは登録車だけで、軽自動車は前年を下回っています。さらに月ごとに並べると、3月と4月にだけ、登録車と軽が正反対の動きをしていました。日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が公表した統計と複数の報道をもとに、この「ズレ」が何を意味するのかを読み解きます。
2026年度上期の新車販売、まず全体の数字
最初に、発表された数字をそのまま並べます。
| 区分 | 2026年4〜9月 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 合計(登録車+軽) | 229万2,064台 | 5.1%増(2年連続のプラス) |
| 登録車 | 150万4,178台 | 9.6%増(3年ぶりのプラス) |
| 軽自動車 | 78万7,886台 | 2.5%減(2年ぶりのマイナス) |
| (参考)9月単月の合計 | 43万3,683台 | 1.3%増(6か月連続のプラス) |
※登録車は自販連、軽自動車は全軽自協の公表値。合計と前年比は日本経済新聞・日刊自動車新聞の報道と一致することを確認しています。登録車には乗用車のほか、トラック・バスも含まれます。
日刊自動車新聞によると、この合計台数は、コロナ禍が始まった2020年以降では最も多い水準です。半年で約229万台というのは、1日あたりにすると約1万2,500台。24時間休まず数えたとしても、1分ごとに9台近い新車が、どこかでナンバーを付けて走り出している計算です。
そして、この表でいちばん大事なのは合計ではなく、その下の2行です。
伸びたのは登録車で、軽自動車は前年を下回った。今回の上期は「片方だけが伸びた半年」でした。
新車全体に占める軽自動車の割合も、前年同期の約37.1%から約34.4%へ下がっています。それでも新車の3台に1台強は軽、という構図そのものは変わっていません。
月ごとに並べると、3月と4月だけ動きが逆になる
半年の合計だけを見ていると気づきにくいのが、月ごとの動きです。年明けからの前年同月比を、登録車と軽で並べてみます。
| 2026年 | 登録車 | 軽自動車 |
|---|---|---|
| 1月 | 4.2%減 | 1.1%増 |
| 2月 | 7.3%減 | 3.2%増 |
| 3月 | 7.3%減 | 8.7%増 |
| 4月 | 17.6%増 | 5.7%減 |
| 5月 | 5.6%増 | 2.1%減 |
| 6月 | 13.7%増 | 0.2%減 |
| 7月 | 9.7%増 | 1.6%増 |
| 8月 | 9.1%増 | 9.5%減 |
| 9月 | 2.5%増 | 0.6%減 |
※自販連「新車車種別登録台数」、全軽自協「軽四輪車 新車販売台数の月別・車種別推移」(いずれも速報値)から松ニュース作成。
1〜3月の登録車は、3か月続けて前年割れでした。それが4月になった途端、17.6%増へ跳ね上がっています。一方の軽自動車は、3月に8.7%増と伸びたあと、4月には5.7%減。ちょうど鏡に映したように、逆向きに動いています。
「3月に減って、4月に急に増えた? しかも軽は反対の動き?」
この動きのカギになっているのが、2026年3月31日で廃止された「環境性能割」です。
環境性能割は、クルマを買ったとき(取得したとき)にかかっていた税金で、燃費性能などに応じて、登録車は取得価額の0〜3%、軽自動車は0〜2%の税率が決まっていました。電気自動車などはもともと非課税で、燃費性能が基準に届かない車ほど負担が重くなる仕組みです。令和8年度の税制改正で廃止が決まり、2026年4月1日以降に登録・届出される車からはかからなくなりました。かかるかどうかは「いつ買ったか」ではなく「いつ登録されたか」で決まります。
そうなると、3月中に納車できそうな車でも、登録を4月以降にずらせば税金がかからない、という状況が生まれます。WEB CARTOPは、廃止が発表されたあと「高額登録車では新規登録を2026年4月以降に先延ばしする動きも目立っていた」と伝えています。4月の新車販売について、共同通信も、環境性能割の廃止が販売を支えたと報じました。
では、軽自動車はなぜ逆に3月が伸び、4月が減ったのか。軽はもともと税率の上限が登録車より低く、廃止による差額も小さくなりやすい区分です。WEB CARTOPは、軽は登録車より需給の体制が整っていて、年度末の登録が間に合わずに4月へずれ込む台数が少ない、と説明しています。また共同通信は、4月の軽の減少について、売れ筋だった新型車の効果が一巡したことを背景に挙げています。
ここで、3月と4月を1つにまとめて計算してみます。
| 3月+4月の合計 | 2026年 | 2025年 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 登録車 | 56万1,346台 | 54万6,982台 | 2.6%増 |
| 軽自動車 | 30万3,246台 | 29万5,642台 | 2.6%増 |
※自販連・全軽自協の月別公表値を松ニュースが合算して計算。
月ごとにはあれほど逆向きだったのに、2か月まとめると、登録車も軽もぴったり同じ2.6%増になります。
3月と4月の「逆向きの動き」は、その多くが「どちらの月に登録されたか」の違いだった、と読むのが自然です。
税がなくなる日をまたいで、登録車は後ろへ、軽は前へと、ナンバーが付くタイミングが寄っただけ。2か月を通してみれば、どちらも同じくらいの勢いで売れていた、ということになります。
では、上期の伸びは「先送り」だけで説明できる?
もし4月の増加が3月からの先送り分だけなら、5月以降は落ち着いて、前年並みに戻るはずです。ところが、登録車は5〜8月も前年を上回り続けました。この4か月を合計すると97万6,908台で、前年同期(88万9,876台)より9.8%多くなっています(自販連の月別公表値から松ニュースが計算)。
つまり、先送りの影響が出やすい3〜4月を除いても、登録車は1割近く伸びています。報道では、この理由として主に次のような点が挙げられています。
- 新型車の投入:日本経済新聞は、トヨタの「RAV4」「bZ4X」の好調、日産「キックス」「エルグランド」の全面刷新、マツダの新型「CX-5」投入を挙げています。共同通信の見出しも「新型投入、税廃止が追い風」でした。
- 購入時の負担が下がったこと:環境性能割の廃止で、4月以降に登録される車は購入時の税負担がその分だけ軽くなりました。これは「先送り」の一時的な効果とは別に、廃止後もずっと続く変化です。
- 供給の回復:日刊自動車新聞は、トヨタの新車供給が回復したことを伸びの背景として伝えています。
ただし、どの要因がどれだけ効いたのかを統計から切り分けることはできません。ここで言えるのは、「先送り」という一時的な動きだけでは、5月以降の伸びまでは説明しきれない、というところまでです。
なお、9月の登録車は2.5%増と、伸び幅はそれまでの月より小さくなりました。合計では6か月連続のプラスを保っていますが、勢いがこの先も続くかどうかは、10月以降の数字を見ないと判断できません。
ブランド別に見ると:増えた台数の約7割はトヨタ
登録車の上積みが、どのブランドから来ているのかも見ておきます。自販連のブランド別速報(2026年4〜9月の各月)を合算すると、主な乗用車ブランドの登録車販売は次のとおりです。
| ブランド(登録車のみ) | 2026年4〜9月 | 前年同期 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| トヨタ | 74万8,193台 | 65万6,240台 | 14.0%増 |
| ホンダ | 17万138台 | 15万5,868台 | 9.2%増 |
| 日産 | 11万1,146台 | 11万1,157台 | ほぼ横ばい |
| スズキ | 8万5,241台 | 7万5,856台 | 12.4%増 |
| マツダ | 5万7,483台 | 5万2,466台 | 9.6%増 |
| SUBARU | 4万7,314台 | 4万6,738台 | 1.2%増 |
| レクサス | 4万3,362台 | 4万4,797台 | 3.2%減 |
| 三菱 | 2万7,108台 | 2万4,780台 | 9.4%増 |
| その他(主に海外ブランド) | 12万1,346台 | 12万458台 | 0.7%増 |
※自販連「ブランド別 登録車新車販売台数速報」の2026年4〜9月各月の当月・前年同月の値を松ニュースが合算。トラック・バス専業ブランドとダイハツ(登録車は少数)は省略。各ブランドの台数には海外生産車を含みます。軽自動車を含めたメーカー合計では、トヨタは75万9,293台で13.5%増と報じられています(日刊自動車新聞)。
登録車全体の増加分は13万1,847台。そのうちトヨタだけで9万1,953台を占めています。割合にすると約7割です。
一方で、日産は前年とほぼ同じ台数(差は11台)、レクサスは3.2%減でした。「新車が売れた半年」とひとくくりにされがちですが、実際にはブランドによって手応えにかなりの差があります。日本経済新聞は、4月にトヨタの販売が大きく伸びたことを、環境性能割の廃止が小型車に大きな恩恵をもたらした例として伝えています。
軽が減ったのは「売れなくなった」から?
軽自動車の2.5%減という数字だけを見ると、軽の人気が落ちたように感じるかもしれません。ただ、比べている相手、つまり前年の上期がどんな半年だったかを確認すると、印象は少し変わります。
2025年4〜9月の軽自動車は、前年同期比5%増と伸びていました。日本経済新聞によると、この時期はダイハツが認証不正問題による生産停止(2024年5月に全工場が再稼働)から回復し、2025年6月には約3年ぶりの新型「ムーヴ」を発売。ダイハツの販売は29%増と急回復していました。全軽自協の月別データでも、2025年4月の軽は前年同月比22.4%増と、大きく伸びています。
2026年の軽は、この「回復で一気に伸びた前年」と比べられている、ということです。
軽の2.5%減には、「前の年が強かった」ことの裏返しという面もあります。
ブランド別に見ると、全軽自協の集計で2026年4〜9月の軽はスズキが26万8,799台(シェア34.1%)、ダイハツが23万2,153台(同29.5%)、ホンダが13万3,426台(同16.9%)、日産が8万6,125台(同10.9%)、三菱が3万4,214台(同4.3%)。報道によると、スズキの軽は3.7%減、ダイハツの軽は6.0%減でした。上位2社で6割強を占める構図は前年から続いています。
ちなみに9月単月では、軽全体は0.6%減とほぼ前年並みでしたが、ブランドごとの差は大きく、日産(36.1%増)や三菱(44.6%増)が大きく伸びた一方、ホンダは21.3%減でした。合計の数字が横ばいでも、その内側では入れ替わりが起きています。
過去の上期と比べると、どのくらいの水準?
「9.6%増」という伸び率は、前年が低ければ大きく見えます。そこで、登録車の4〜9月の台数を過去5年分並べてみます。
| 年度上期(4〜9月) | 登録車の販売台数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2022年 | 117万2,896台 | 9.6%減 |
| 2023年 | 142万5,758台 | 21.6%増 |
| 2024年 | 139万6,995台 | 2.0%減 |
| 2025年 | 137万2,331台 | 1.8%減 |
| 2026年 | 150万4,178台 | 9.6%増 |
※自販連「新車車種別登録台数(年度上半期:4月〜9月)」(2026年10月1日公表)。
2023年に大きく戻したあと、2年続けて少しずつ減っていた登録車が、2026年は150万台を超え、この5年間で最も多くなりました。前年が特別に低かったから伸び率が大きく見えた、というよりは、ここ数年の水準を一段上回った半年だったと言えます。
これから新車を買う人は、この数字をどう受け止めればいい?
新車が売れているというニュースを見ると、「みんな買っているなら、今が買いどきなのかな」と感じる人もいるかもしれません。ただ、販売台数はあくまで「ほかの人がどれだけ買ったか」の記録であって、自分にとっての買いどきを教えてくれる数字ではありません。
この上期の数字から、読者が実際に使える情報を、状況別に整理するとこうなります。
登録車(普通車・小型車)を検討している人
環境性能割は2026年3月31日で廃止されたので、今後は登録が何月になっても、この税のために時期をずらす必要はなくなりました。3〜4月のような「税をにらんだタイミング調整」は、もう考えなくてよい、ということです。一方で、売れ行きが好調なブランドや人気の新型車ほど、納車までの期間は車種ごとに違ってきます。気になる車があるなら、まずは販売店で今の納期を確認するのが確実です。
軽自動車を検討している人
上期の軽は前年割れでしたが、前の年が回復で大きく伸びていたことを考えると、「軽の人気が落ちた」と単純に受け取る必要はありません。新車の3台に1台強は今も軽です。軽を選ぶかどうかは、販売台数の増減より、毎年かかる費用や使い方で考える方が、自分に合った答えに近づけます。
話題の新型車の登場を待っている人
今回の伸びを支えた要因のひとつが新型車でした。秋以降も、三菱の新型パジェロが10月1日に予約受付を始め、10月29日に正式発表される予定と報じられています。待つか今の候補で決めるかは、「その車でなければいけない理由があるか」で分かれます。新型車の情報は新型パジェロの記事や、上期の伸びをけん引した新型RAV4の記事でも整理しています。
下期に向けて見ておきたいポイント
最後に、ここから先の数字を見るときのポイントを挙げておきます。
- 9月に縮んだ伸び幅が、10月以降どうなるか:登録車は9月に2.5%増と、伸びが小さくなりました。税の廃止から半年がたち、その効果が一巡していくのかどうかは、10月以降の数字で見えてきます。
- 軽の前年比:2025年の軽は7月以降、前年割れの月が増えていました(7月2.6%減、8月4.3%減、9月0.9%減)。比べる相手が強かった時期を過ぎると、軽の前年比の見え方も変わってくる可能性があります。
- 輸入車と車名別の動き:今回の統計は登録台数の「速報」です。日本自動車輸入組合(JAIA)が10月6日に公表した9月の輸入車新規登録台数は、外国メーカー車が2万7,265台(前年同月比3.8%増)でした。車名別の販売ランキングも別途公表されているので、どの車が伸びをけん引したのかは、そちらでより細かく見えてきます。
今回の上期を一言でまとめるなら、「税がひとつ消えて、新しいクルマが並び、登録車が一段上の水準に乗った半年」です。3月と4月の大きな上下に目を奪われがちですが、2か月を足せば登録車も軽も同じ伸び。本当の変化は、その後の5月からの数字に表れていました。
数字が教えてくれるのは「みんながいつ買ったか」まで。「自分がいつ買うか」は、自分のクルマの事情で決めていい。
情報源
- 日本自動車販売協会連合会「2026年9月新車車種別登録台数」「新車車種別登録台数(年度上半期:4月〜9月)」(2026年10月1日) jada.or.jp
- 日本自動車販売協会連合会「ブランド別 登録車新車販売台数速報」(2026年4月〜9月実績) jada.or.jp
- 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車 新車販売台数速報(2026年9月)」 zenkeijikyo.or.jp
- 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車 新車販売台数 上半期速報」 zenkeijikyo.or.jp
- 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車 新車販売台数の月別・車種別推移」 zenkeijikyo.or.jp
- 日本経済新聞「4〜9月の国内新車販売5%増、2年連続でプラス トヨタは1割増」(2026年10月1日) nikkei.com
- 日刊自動車新聞「2026年4~9月の国内新車販売、5.1%増で2年連続プラス コロナ禍で最多 トヨタの新車供給が回復」 netdenjd.com
- 共同通信「26年4~9月の新車販売5%増 新型投入、税廃止が追い風」(東京新聞デジタル) tokyo-np.co.jp
- 共同通信「4月の新車販売9.1%増 『環境性能割』廃止が支え」(Yahoo!ニュース) news.yahoo.co.jp
- 日本自動車輸入組合「2026年9月度輸入車新規登録台数(速報)」 jaia-jp.org
- 日本経済新聞「環境性能割の廃止、小型車に恩恵大きく トヨタは3割増」 nikkei.com
- WEB CARTOP「2026年4月の新車販売台数は前年同月比でプラス……だが『復調』を鵜呑みにできない事情」 webcartop.jp
- 日本経済新聞「4〜9月の国内新車販売、2年ぶりプラス ダイハツは3割増」(2025年10月) nikkei.com
- 千葉県「自動車税(環境性能割)【令和8年3月31日をもって廃止】」 pref.chiba.lg.jp
- 中津川市「自動車税環境性能割及び軽自動車税環境性能割が廃止されます」 city.nakatsugawa.lg.jp
- マイナビニュース「3月末に『環境性能割』廃止の罠! クルマは今買うべき? 4月まで待つべき?」 news.mynavi.jp
- 日本自動車輸入組合「輸入車新規登録台数(速報) 発表資料」 jaia-jp.org

