
16年ぶりに全面刷新された日産の大型ミニバン「エルグランド」は、2026年7月16日の発売から10月4日までに1万300台を受注しました。日産が10月中旬に明らかにした内訳を見ると、価格表の入り口にある689万7,000円の「X e-4ORCE」を選んだ人は9%だけ。今から注文した場合の納期は、おおむね4〜5か月とされています。「689万円からって聞いたけど、実際はいくらくらいで買われているの? 今頼んだらいつ届くの?」——日産が公表した受注データと、各報道で確認できた価格をもとに整理します。
日産が公表した受注の中身
まず、日産が公表した数字を一覧にします。いずれも2026年10月4日時点の受注をもとにしたものです。
| 項目 | 公表された内容 |
|---|---|
| 累計の受注 | 1万300台(10月4日時点) |
| 納期の目安 | おおむね4〜5か月。AUTECHとVIPはさらに長い |
| 主な購入層 | 40〜50代 |
| 下取りに出された車 | Lサイズのミニバン50%、Mサイズのミニバン24%、SUV20%など |
| ボディカラー | プリズムホワイト41%、ミッドナイトブラック33%(白と黒で74%)、至極11%、2トーン8%、ダークメタルグレー8% |
| 残価設定ローンの利用 | 3割強(日産車全体の平均か、やや低い水準) |
※Car Watch(2026年10月13日)が伝えた、Japan Mobility Show Bizweek 2026の日産ブースでの説明による。累計1万300台とグレード構成比は、くるまのニュース(2026年10月6日)が伝えた日産の担当者の説明とも一致。ボディカラーは四捨五入のため合計が100%になりません。
日産の担当者は、受注が当初の目標を上回っていると説明しています。下取り車でいちばん多いLサイズのミニバンのうち、過半数は先代エルグランドに乗っていた人で、トヨタのアルファード/ヴェルファイアからの乗り換えも「非常に多い」とされています(具体的な数や割合は公表されていません)。
Xは9%、9割は717万円以上の仕様を選んでいる
新型エルグランドは全車が電動の四輪駆動「e-4ORCE」を組み合わせた7人乗りで、日産の標準モデルは2グレード。そこに、日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)が手がけるカスタムカーが3種類加わります。
| グレード | 価格(税込) | 受注の比率 |
|---|---|---|
| X e-4ORCE | 689万7,000円 | 9% |
| AUTECH LINE e-4ORCE(Xがベース) | 717万9,700円 | 10%(2仕様の内訳は非公表) |
| AUTECH LINE e-4ORCE “G-spec”(Gがベース) | 778万4,700円 | |
| G e-4ORCE | 757万9,000円 | 57% |
| AUTECH e-4ORCE(8月上旬発売) | 824万7,800円 | 14% |
| VIP e-4ORCE | 869万8,800円 | 10% |
※価格はCar Watch(2026年7月16日)・webCG(同日)・くるまのニュース(2026年8月19日ほか)で照合したメーカー希望小売価格。受注の比率は日産の公表値(10月4日時点)。
いちばん多いのは標準モデルの上級「G」で57%。カスタムカー3種類を合わせると34%になり、最安のXは9%にとどまりました。Xより上の仕様は、いちばん安いAUTECH LINEでも717万9,700円なので、受注の91%は717万円以上の仕様ということになります。
「689万円から」なのに、実際に選ばれているのは770万円前後
「689万円から」という価格は、あくまで価格表のいちばん下の数字です。では、実際に受注された車は平均していくらくらいなのでしょうか。公表された比率を使って、ざっと計算してみます。
| 計算の前提 | 受注の比率で平均した車両価格 | Xとの差 |
|---|---|---|
| AUTECH LINEがすべてXベース(717万9,700円)だった場合 | 約768万円 | 約79万円 |
| AUTECH LINEがすべてG-spec(778万4,700円)だった場合 | 約774万円 | 約85万円 |
※公表された比率と車両価格だけを使った計算例(万円単位)。0.09×689.7+0.57×757.9+0.14×824.78+0.10×717.97+0.10×869.88≒768.3、AUTECH LINEを778.47に替えると≒774.4。メーカーオプション・販売店オプション・税金・登録費用は含みません。
受注の比率どおりに平均すると、車両価格だけで約768万〜774万円。入り口の689万7,000円より80万円前後高いところが、実際に選ばれている「真ん中」です。
しかも、ここにオプションが加わります。日産によると、運転支援の「プロパイロット 2.0」とBOSEのサウンドシステムのセットを付けた人が39%、ガラスの屋根「ツインガラスルーフ」はGを選んだ人の39%(Xでは14%)、後席モニターを付けるためのパッケージはGの19%が選んでいます。販売店への取材では、AUTECHをフルオプションにすると支払総額で1,000万円近くになるという話も報じられています。
新型エルグランドは「689万円の車」ではなく、「770万円前後から、オプションでさらに積み上げていく車」として買われています。
Xを選ぶ人が少ない理由は、Gとの68万2,000円の中身
XとGの差は68万2,000円です。運転支援を例にとると、Xは前の車についていく「プロパイロット」が標準で、渋滞時などに手を離せる「ハンズオフ」付きはオプション。Gはハンズオフ付きが標準で、さらに上の「プロパイロット 2.0」をオプションで選べます。インテリアも、2色から選べるのはGだけで、Gを選んだ人の77%が濃い木目調の「紫檀」、23%が明るい「銀雪」を選んでいます。
先代エルグランドやアルファードの上級グレードから乗り換える人にとっては、「装備を下げたくない」という気持ちが強いのは自然なことです。下取り車の半分がLサイズのミニバンという数字は、Xが少ない理由をよく表しています。
ただし、Xでも中身の基本は同じです。全車が第3世代のe-POWER(1.5Lの発電専用エンジン「ZR15DDTe」とモーター)とe-4ORCEの組み合わせで、WLTCモード燃費は16.8km/L。14.3インチのメーターと画面を一体にしたディスプレイや、全席の「ゼログラビティシート」、1500Wまで使える100Vのコンセント3つなども、新型エルグランドの装備として紹介されています。細かい装備の差は、日産の最新の装備表で確認してください。
今注文すると、届くのは2027年の春先
納期の目安は、おおむね4〜5か月です。10月末に契約した場合で数えると、届くのは2027年の2月末から3月末ごろ。AUTECHとVIPはさらに長いとされ、8月の販売店取材でも、オプションを組み込んだAUTECHは半年程度を見込むという声が報じられていました。
※10月28日に契約したと仮定し、4か月後=2027年2月28日ごろ、5か月後=3月28日ごろとした計算例。実際の納期は仕様・地域・販売店で変わります。
納期が長いと気になるのが、今乗っている車の扱いです。届くまでの数か月、今の車には乗り続けることになるので、下取りの金額を契約時に決めるのか、引き渡しのときに決め直すのかは、販売店で最初に確かめておきたいところです。4〜5か月のあいだに走行距離が増えたり、年式が1年古く扱われたりすると、査定の前提が変わることがあるためです。
支払い方では、残価設定ローンの利用は3割強。日産は、発売直後は現金一括の人が多く、今後は残価設定ローンの利用が増えていく可能性があると見ています。
買う前に知っておきたい割り切り
- 大きさ:全長4,995mm・全幅1,895mm・全高1,975mm。先代より全高がおよそ16cm高く、全幅も4.5cmほど広がっています。高さ制限のある機械式駐車場や、自宅の車庫の高さは先に確かめてください。
- 2WDの設定がない:全車e-4ORCEの四輪駆動です。雪道などでは心強い一方で、「四駆はいらないから安く」という選び方はできません。
- パワートレインは1種類:先代のようなエンジン違いはなく、全車がe-POWERです。e-POWERは、エンジンが発電に専念し、タイヤはモーターで回す仕組みです。
- 人気の仕様ほど待つ:AUTECH・VIPは標準モデルより納期が長いとされています。
※寸法はMotor-Fan(2026年2月20日)・ガリバー(Japan Mobility Show 2025のレポート)で照合。先代との差は同じMotor-Fanの記事による。
あなたの場合はどう考える?
先代エルグランドから乗り換える
受注のデータでいちばん多いパターンです。先代の上級グレードに乗っているなら、装備の感覚が近いのはGで、Gの57%という数字もそれを裏づけています。先代はFFも選べたので、全車四駆になった分の価格の上がり方は、見積もりで落ち着いて確かめてください。
アルファード/ヴェルファイアと迷っている
新型エルグランドは、e-POWERと電動四駆、7人乗りの1つの形にしぼった車です。比べるときは、価格表の入り口どうしではなく、自分が付けたいオプションまで入れた金額どうしで比べると差が見えやすくなります。
後ろの席に人を乗せることが仕事や送迎の中心
後席の装備を重視した仕様がVIPで、受注の10%を占めています。869万8,800円とGより111万9,800円高く、納期も長めです。後席モニターだけが目当てなら、Gにパッケージを付ける形と見比べる価値があります。
価格をできるだけ抑えたい
Xは9%と少数派ですが、パワートレインと四駆は上の仕様と同じです。プロパイロットも標準で付きます。「何を付けないか」を決めてから見積もりを取ると、689万7,000円の入り口から大きく離れずに済みます。
入り口の値段より、真ん中の値段で考える
新型エルグランドの価格表は689万7,000円から始まりますが、実際に選ばれているのは、その上の770万円前後の仕様です。予算を考えるときは、最安の数字ではなく、自分が「これは付けたい」と思う装備まで含めた金額を出発点にするのが、届いたあとに後悔しない近道です。
e-POWERの仕組みはe-POWERとハイブリッドの違いの記事、支払い方は残クレの記事も参考にしてください。
情報源
- Car Watch「日産、JMS2026で新型エルグランドを展示」(2026年10月13日) car.watch.impress.co.jp
- くるまのニュース「日産『新型エルグランド』がめちゃ売れ中!」(2026年10月6日) kuruma-news.jp
- Car Watch 新型エルグランド発売の記事(2026年7月16日) car.watch.impress.co.jp
- webCG NMCのAUTECH・AUTECH LINE・VIP発表の記事(2026年7月16日) webcg.net
- くるまのニュース「新型エルグランドAUTECHが人気急騰!?」(2026年8月19日) kuruma-news.jp
- くるまのニュース「新型エルグランドVIP発売」 kuruma-news.jp
- Motor-Fan 新型エルグランドの寸法の記事(2026年2月20日) motor-fan.jp
- ガリバー Japan Mobility Show 2025レポート(エルグランド) 221616.com

