
「ドラレコの駐車監視、つけたほうがいいのかな。でも、バッテリーが上がるって聞くし……」。駐車中の当て逃げやいたずらを記録してくれる駐車監視は、ドライブレコーダーを選ぶときに必ず出てくる機能です。一方で、販売店やメーカーからは、使い方によってはバッテリーを早く傷めるという声も聞こえてきます。駐車監視の方式ごとの違い、バッテリーにかかる負担の大きさ、設定でできる対策をもとに、「自分の車に駐車監視は必要か」を考えるための材料を整理します。
「必要か」は置き場所で、「使えるか」は乗り方で決まる
駐車監視について考えるとき、二つの問いが混ざりがちです。
- 駐車中の記録が、そもそも自分に必要か
- 必要だとして、自分の車のバッテリーがその負担に耐えられるか
一つ目は、車をどこに停めているかでほぼ決まります。人や車が多く行き来する屋外の駐車場に長く停める人と、シャッター付きの自宅車庫に停める人とでは、駐車中に何かが起きる可能性がまったく違います。
二つ目は、車にどのくらい乗っているかで決まります。駐車監視は、エンジンを止めている間も車のバッテリーから電気を使い続ける機能です。使った分は走って充電されますが、走る時間が短ければ、その充電が追いつきません。
駐車監視が必要かどうかは「どこに停めるか」で、使いこなせるかどうかは「どれだけ走るか」で決まります。
この二つを分けて考えると、「ほしいけど不安」というモヤモヤが、かなり整理しやすくなります。
駐車監視には、いくつかの方式がある
ひと口に駐車監視といっても、製品によって録画の仕方が違います。代表的なのは次のような方式です。
| 方式 | どう録るか | 残る映像 | バッテリーへの負担の傾向 |
|---|---|---|---|
| 衝撃検知 | 車に衝撃が加わったときに録画する | ぶつけられた・強く触られたときの映像 | 比較的小さい |
| 動体検知 | カメラの前で動くものを検知して録画する | 近づいてきた人や車の映像 | 中くらい(周囲の動きが多いと録画が増える) |
| タイムラプス | 一定の間隔でコマ撮りのように記録し続ける | 駐車中の様子を早送りのような形で | 大きめ |
| 駐車時の常時録画 | エンジンを切った後も録画し続ける | 駐車中のすべて | 大きい |
※方式の名前や組み合わせは製品ごとに違います。トヨタの純正ドライブレコーダーのFAQでは、駐車時の常時録画について、録画時間が長いとバッテリー上がりになる可能性がある、と注意しています。
衝撃検知は、ぶつけられたときだけカメラが働くので、電気の使い方は控えめです。そのかわり、衝撃が小さいと記録が始まらないことがありますし、ぶつかる前の様子は残りにくくなります。反対に、常時録画やタイムラプスは、近づいてくる車や人まで残せる可能性が高いぶん、電気を多く使います。
記録の確かさと、バッテリーへの負担は、だいたい比例します。どの方式を選ぶかは、「どこまで残したいか」と「どこまで負担をかけられるか」のつり合いで決まります。
ドラレコをつけたら、新車のバッテリーが1年で弱った?
「駐車監視でバッテリーが上がる」と聞いても、ピンとこない人も多いかもしれません。ドラレコの消費電力は、ヘッドライトなどと比べればずっと小さいからです。
ところが、くるまのニュースが紹介した国産メーカーの販売スタッフの話では、新車で買った車のバッテリーが、購入から12か月で交換が必要なレベルまで弱っていた例がありました。原因として挙げられていたのは、駐車監視の起動時間が長い一方で、バッテリーが充電できるほど走っていなかったことです。同じ記事では、車のメーカーとしては駐車監視モードの利用を推奨していない、という声も紹介されています。
小さな消費でも、問題になるのは「時間の長さ」です。どのくらいの量になるのか、ある仮定を置いて計算してみます。
| 駐車監視の時間 | 使う電気の量(400mAで動き続けた場合) | 28Ahのバッテリーに対する割合 |
|---|---|---|
| 4時間 | 1.6Ah | 約6% |
| 8時間 | 3.2Ah | 約11% |
| 12時間 | 4.8Ah | 約17% |
| 24時間 | 9.6Ah | 約34% |
※ドライブレコーダーが駐車中に平均400mAで動き続け、バッテリーの容量を28Ah(軽自動車でよく使われる40B19Lサイズの製品で、5時間率容量としてこの値が表示されているものがあります)とした、仮定に基づく計算例です。パナソニックの前後2カメラのドライブレコーダーの消費電流は製品によって280〜500mAと公表されており、その間の値を仮に置きました。衝撃検知だけで待機する方式なら消費はこれより小さく、実際には製品・設定・気温・バッテリーの劣化具合で大きく変わります。また、バッテリーは容量をすべて使い切れるものではなく、エンジンをかけるための余力を残しておく必要があります。
この計算例でいえば、夜から翌朝まで12時間監視するだけで、容量の2割近くを使う計算になります。毎日長く走る人なら、その分は走行中に取り戻せます。けれど、近所の買い物で数km走っては何時間も停める、という乗り方では、取り戻す前に次の駐車監視が始まります。くるまのニュースの記事でも、バッテリーの充電には30分程度の連続した走行が必要だとされています。
トヨタはバッテリー上がりを防ぐ目安として、2週間に合計30分以上(冬は80分以上)の運転を挙げていますが、同じFAQで、ドライブレコーダーのような後付け用品はバッテリー上がりのリスクを高めると注意しています。目安どおりに走っていても、駐車監視をつけた車では、それだけでは足りないことがある、ということです。
JAFのロードサービスでは、バッテリー上がりが出動理由の1位で、2024年度は全体の約42%を占めました。JAF Mateは、秋から冬にかけてバッテリー上がりが起こりやすくなるとしています。寒い時期は、駐車監視の設定を見直すのにちょうどいいタイミングです。
設定でできる、バッテリーを守る三つの工夫
駐車監視をあきらめる前に、設定で負担を減らす方法があります。多くの製品や、駐車監視用の電源ユニットには、次のような仕組みが用意されています。
1. 監視する時間に上限をつける(タイマー)
エンジンを切ってから何時間で駐車監視を終えるかを決める設定です。たとえばコムテックの駐車監視用の電源ユニット(HDROP-05)の説明書では、オフタイマーをOFF・4時間・8時間・12時間から選べるようになっています。上の計算例でいえば、12時間を4時間にするだけで、使う電気は3分の1になります。
2. 電圧が下がったら止める(電圧監視)
バッテリーの電圧が設定した値まで下がったら、駐車監視を自動で止める仕組みです。同じユニットでは、止める電圧を12.2Vか11.8Vから選べます。止める電圧が高いほど早めに監視を切り上げ、バッテリーに余力を残すことになります。エンジンがかからなくなる前に止めるための「安全装置」と考えるとわかりやすいでしょう。
3. しばらく乗らないときは、電源を切る
コムテックの説明書では、2日以上車を使わない場合は電源スイッチをOFFにすることを勧めています。また、毎日乗らない、1日の走行が1時間以下、バッテリーを1年以上使っている、といった条件に当てはまる場合は、駐車監視の使用に注意するよう呼びかけています。旅行や出張で車を置きっぱなしにするときは、駐車監視を切るか、時間を短くしておくと安心です。
このほか、ドラレコと車のあいだに専用の補助バッテリー(バックアップ電源)をはさみ、走行中にためた電気で駐車監視をする方法もあります。週刊アスキーで紹介された製品では、10,400mAhの内蔵バッテリーで、500mA前後のドラレコをおよそ24時間動かせるとされています。車のバッテリーにほとんど頼らずに済むぶん、ドラレコ本体とは別に費用と取り付けの手間がかかります。
ドラレコを選ぶとき、駐車監視はどのくらい重視されている?
ソニー損保の「2025年 全国カーライフ実態調査」(2025年7月、18〜59歳の1,000人)では、ドライブレコーダーの搭載率は53.8%で、3年連続で半数を超えました。ドラレコを選ぶときに重視した点は、次のような順でした。
| 重視した点 | 割合 |
|---|---|
| 価格 | 42.0% |
| 画質が良い | 32.3% |
| 前後の映像を記録できる | 23.8% |
| 夜間でも映像を記録できる | 20.6% |
| 全方位の映像を記録できる | 20.3% |
※ソニー損保「2025年 全国カーライフ実態調査」を報じた神戸新聞の記事より、上位5項目。
上位に並ぶのは、価格と、走っているときの映像の質です。駐車監視は、ドラレコの機能としてはよく知られていても、「それが決め手で選んだ」という人はまだ多くないのかもしれません。裏を返せば、駐車監視は「ついているから、なんとなくONにしている」という人も少なくないはずです。機能があることと、自分の車に合った設定になっていることは、別の話です。
ドラレコそのものの選び方は、ドライブレコーダーの選び方|後悔しないための5つの基準でまとめています。
停め方・乗り方別:駐車監視との付き合い方
屋外の月極駐車場に停めて、毎日通勤で長く走る人
駐車監視が一番役に立ちやすく、バッテリーの面でも一番使いやすいタイプです。人や車の出入りがある場所に長く停めるので記録の価値があり、毎日まとまった時間を走るので充電も追いつきやすくなります。それでも、電圧監視は入れておき、バッテリーが古くなってきたら監視時間を短めにするのが安心です。
週末だけ、近所を短く走る人
バッテリーの面では一番慎重になりたいタイプです。駐車監視を使うなら、衝撃検知だけにする、タイマーを短くする、電圧監視を高めの値にする、といった「控えめ設定」から始めましょう。どうしても長く監視したいなら、補助バッテリーを使う方法が向いています。数日乗らないことが多いなら、駐車監視を切るという選択も十分ありです。
シャッター付きの車庫や、自宅の敷地に停める人
自宅での駐車中に何かが起きる可能性は低めです。ふだんは駐車監視を切っておき、出先でショッピングモールや観光地の駐車場に長く停めるときだけ使う、という使い分けも考えられます。製品によってはボタンやアプリで切り替えられるので、取扱説明書で確認してみてください。
商業施設や病院の駐車場に、日中だけ停めることが多い人
隣の車のドアがぶつかる、買い物カートが当たる、といった小さな接触が起きやすいのは、こうした出入りの多い駐車場です。停める時間は数時間なので、タイマーを4時間程度に絞れば、バッテリーへの負担を抑えながら必要な時間をカバーできます。動体検知は人の行き来が多いと録画が増えやすいので、衝撃検知との組み合わせ方を調整するとよいでしょう。
駐車監視を入れたら、バッテリーの見方も変える
駐車監視をONにした車では、バッテリーはこれまでより働き者になります。エンジンのかかり方が重くなったなどの変化があれば、早めに点検してもらいましょう。バッテリーの寿命の目安や長持ちのコツは、車のバッテリーは何年で交換?寿命の目安と長持ちのコツでまとめています。
駐車監視は、留守中の愛車を見守ってくれる心強い機能です。ただ、見守りのために使う電気は、次にエンジンをかけるための電気と同じところから出ています。
駐車監視は「つけるかどうか」より、「自分の停め方と乗り方に合わせて、どこまで働かせるか」を決める機能です。
参考にした情報
- トヨタ自動車 よくあるご質問(ドライブレコーダーの駐車時録画について) toyota.jp
- トヨタ自動車 よくあるご質問(バッテリーあがりの防止について) toyota.jp
- くるまのニュース「便利な『ドライブレコーダー』 まさかの『バッテリー上がり』招く可能性も!? 『駐車監視』の注意点とは」(2024年4月22日) kuruma-news.jp
- ベストカーWeb「バッテリーを擦り減らすNG行為4選! DIYでつけたドラレコが悪さをする可能性も??」(2026年2月10日) bestcarweb.jp
- コムテック 駐車監視・直接配線ユニット 取扱説明書 e-comtec.co.jp
- 価格.com 掲示板・製品情報(コムテック HDROP-05 のオフタイマー・停止電圧の設定) kakaku.com
- パナソニック ドライブレコーダー CA-DR03D/DR03TD 製品情報 panasonic.jp
- 週刊アスキー ドライブレコーダー用バックアップ電源の紹介記事 weekly.ascii.jp
- JAF Mate Online バッテリー上がりなどの冬のトラブルに関する記事(2026年1月30日) jafmate.jp
- くるまのニュース「年末年始『クルマのトラブル』全国で8万8301件に」(JAFの出動理由を紹介) kuruma-news.jp
- 神戸新聞(ソニー損保「2025年 全国カーライフ実態調査」の紹介記事) kobe-np.co.jp
- WEB CARTOP「ハザードやスモールの消し忘れは何時間でバッテリーが上がる?」 webcartop.jp

