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冬キャンプのガス缶は10℃を下回ると火が弱くなる 車で行くなら標高・電源・バッテリーの「冷え」を先に見積もる

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冬キャンプに車で行く準備。ガス缶は10℃を下回ると火が弱くなる
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紅葉が終わると、キャンプ場は空いて、焚き火がいちばん気持ちいい季節になります。ただ、冬キャンプでつまずく人の多くは、寒さそのものより「道具が寒さで働かなくなる」ことに驚きます。お湯を沸かそうとしたらバーナーの火が弱い、夜中に電気毛布が止まった、朝になったら車のエンジンがかかりにくい。どれも、出発前に行き先の気温を見積もっておけば、ある程度は防げることです。この記事では、メーカーや公的機関の公開情報をもとに、車で冬キャンプに行くときの準備を「人」「道具」「車」の3つの冷えに分けて整理します。

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準備は「行き先が何℃になるか」から逆算する

冬キャンプの準備でいちばん大事なのは、持ち物リストより先に、泊まる場所の夜の最低気温を知ることです。冷えで困るものは、大きく分けて3つあります。

冷えるもの 起きやすいこと 先にやること
人 夜中や明け方に寒くて眠れない 最低気温に合わせて寝具・服を選ぶ
道具(ガス・電池) ガスの火が弱い、電源が早く切れる・充電できない 低温に強いガスを選ぶ、電源の温度範囲を確かめる
車 朝エンジンがかかりにくい、ガラスが凍る、燃料が心もとない 手前で給油、エンジンを切ったまま電気を使いすぎない

冬キャンプは、寒さに強い人ほど道具の冷えを見落とします。自分は平気でも、ガス缶と電池は気温どおりに正直に弱ります。

天気予報の気温より、キャンプ場は低いことが多い

キャンプ場の多くは、山あいや高原にあります。天気予報で見る気温は、ふもとの町など観測地点の値なので、標高の高いキャンプ場ではそれより下がります。気温は一般に、標高が100m上がるごとに約0.6℃下がるとされています(国内の観測データを使った研究でも、0.5〜0.6℃前後の値がよく得られています)。

キャンプ場の標高(観測地点との差) 下がる気温の目安 観測地点の最低気温が6℃のとき
+500m 約3℃ 約3℃
+1,000m 約6℃ 約0℃
+1,500m 約9℃ 約−3℃

※100mあたり0.6℃下がるという仮定に基づく計算例です。実際の気温は、天気、風、谷に冷たい空気がたまるかどうかなどで大きく変わります。

ふもとの予報が「最低6℃」でも、標高差1,000mのキャンプ場では0℃前後まで下がる計算になります。キャンプ場の公式サイトには標高が書かれていることが多いので、予約したら一度確かめておくと、このあとの道具選びの基準になります。

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ガス缶は10℃を下回ると火が弱くなる

「冬でもバーナーでお湯を沸かしている人はいるのでは?」

います。ただし、その人たちは低温に合ったガスを選んでいることが多いはずです。家庭用のカセットボンベの中身は主にブタンで、イワタニは、気温が10℃を下回ると気化しにくくなり、5℃以下になるとほとんど気化しなくなると説明しています(ITmedia、2020年10月)。同社のカセットガスストーブの注意書きでも、ブタンガスの特性上、5℃以下では点火しにくくなる場合があるとされています。

火が弱くなるのは故障ではありません。ボンベの中の液体のガスが気体になりにくくなり、出てくるガスの量が減るためです。前の章の計算例でいえば、夜の最低気温が0℃前後になるキャンプ場では、ふつうのカセットボンベは夕方の時点ですでに頼りにならない可能性があります。

冬に向いたガスを選ぶときの注意

  • 低温向けのボンベがある:イソブタン(ブタンより低い温度でも気化しやすい成分)の比率を高めた、寒い時期向けのボンベが市販されています
  • 使う器具が対応しているかを確かめる:器具によっては、低温向けのボンベを使えないと取扱説明書に書かれているものがあります。ガスと器具の組み合わせは、器具の説明書で確認してください
  • 火やお湯で温めない:ボンベを直火であぶったり湯せんしたりすると、破裂の危険があります。使う直前まで寒さにさらさない、という置き方の工夫にとどめます

電源は「使える温度」と「充電できる温度」が別

ポータブル電源を持っていく人も増えています。ここで見落としやすいのが、電池には「使える(放電できる)温度」と「充電できる温度」が別々に決まっていることです。たとえばEcoFlowの「DELTA 3 Ultra」の公式仕様では、放電温度が−10〜45℃、充電温度が0〜45℃です。氷点下の夜は、使えても充電はできない、ということが起こります。ホンダのアウトドア情報でも、冷えるとポータブル電源の電池は予想以上に早く切れると注意しています。

容量の見積もりも大事です。ホンダは、50Wの電気毛布を10時間使うには500Whが必要という計算式を紹介したうえで、50Wの電気毛布4枚を500Whの電源で使うと2時間もたない可能性がある、1,000Whでも3〜4時間程度、としています。

50Wの電気毛布の枚数 500Whの電源での計算上の時間 実際の目安
1枚 10時間 変換のロスや低温でこれより短くなる
2枚 5時間 同上
4枚 2.5時間 2時間もたない可能性(ホンダの説明)

※計算上の時間は500÷(50×枚数)で出した単純計算です。実際は変換効率、気温、毛布の温度設定で変わります。機種ごとの温度範囲は、各メーカーの仕様で確かめてください。

家族4人で一晩じゅう電気毛布を使う、という前提だと、ポータブル電源だけでは足りないことが多いと分かります。寝る30分ほど前に電気毛布で寝袋を温めておき、寝るときは切る、という使い方をホンダは紹介しています。電源付きの区画サイトを選ぶのも一つの手です。

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車の準備:燃料、バッテリー、朝の凍結

給油は山に入る前に

山あいのキャンプ場の近くには、ガソリンスタンドが少なかったり、夜は閉まっていたりすることがあります。雪や渋滞で思ったより時間がかかったとき、車の暖房を使うにも燃料が要ります。ふもとの町で満タン近くにしてから山に入ると安心です。雪で動けなくなったときの燃料の考え方は、雪道で立ち往生したときの過ごし方で整理しています。

エンジンを切ったまま電気を使いすぎない

JAFのロードサービスでは、冬の年末年始の出動理由の1位は毎年のようにバッテリー上がりです。寒さでバッテリーの力が落ちるうえに、キャンプ場では、エンジンを切ったまま車のアクセサリー電源でスマートフォンを充電したり、室内灯をつけっぱなしにしたりしがちです。翌朝エンジンがかからないと、キャンプ場から出られません。夜のあいだの充電はポータブル電源やモバイルバッテリーに任せ、車の電気は使わない、と決めておくと安心です。

朝のガラスの凍結

氷点下の朝は、フロントガラスが凍ったり、ワイパーがガラスに張りついたりします。夜のうちにガラスにカバーをかけておく、ワイパーの扱いを決めておくなど、雪の日の前日の準備と同じ考え方が使えます。冬用ワイパーが要るかどうかは、冬用ワイパーの記事にまとめています。雪や凍結の可能性がある道へ行くなら、安全面を考えるとタイヤも冬用にしておきたいところです(冬タイヤへの交換時期)。

車の中やテントの中で火を使わない

寒い夜ほど、閉めきったテントや車の中でストーブやバーナーを使いたくなります。しかし、NITE(製品評価技術基盤機構)は、閉めきった部屋やテントの中で七輪や練炭を使うと一酸化炭素が発生すると注意を呼びかけています。一酸化炭素は色もにおいもないため、気づかないうちに具合が悪くなるのがこわいところです。

車の中は狭く、テントよりさらに空気が少ない場所です。暖を取るのは、着るもの、寝袋、湯たんぽ、電気毛布を基本にし、火を使う道具は屋外で使うのが基本です。車の中で眠る場合の寒さ対策は、エンジンを切って眠る冬の車中泊で、寝袋の選び方や結露の減らし方とあわせて整理しています。

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あなたはどのパターン?

初めての冬キャンプで、標高の低いキャンプ場に行く人

最初の一回は、ふもとから近く、電源付きの区画があるキャンプ場を選ぶと失敗が少なくなります。ガスは低温向けのものを用意し、夜は電気毛布と寝袋で暖を取る組み立てにすれば、道具の冷えで困ることはぐっと減ります。

標高1,000mを超える高原のキャンプ場に行く人

ふもとの予報より6℃前後低くなる前提で準備します。ふつうのカセットボンベは当てにせず、ポータブル電源は充電できない温度になることも考えて、満充電で持っていきます。給油はふもとで済ませておきましょう。

雪の積もったキャンプ場に行く人

車の準備がいちばん大事になるパターンです。冬タイヤや冬用ワイパーに加え、駐車中に雪でマフラーがふさがらないかにも気を配ります。エンジンをかけて車内で暖を取るときは、マフラーのまわりの雪をこまめに確かめてください。

泊まらず、昼だけのデイキャンプにする人

冬の焚き火を楽しみたいだけなら、日が高いうちに過ごすデイキャンプも選択肢です。日の入りが早い時期なので、暗くなる前に片付けて帰る時間を決めておくと、帰りの山道を落ち着いて走れます。

冬キャンプの寒さは、我慢するものではなく、出発前に見積もるものです。

情報源

  • ねとらぼ(ITmedia)「カセットガスストーブ」に関する記事内のイワタニの説明(2020年10月20日) nlab.itmedia.co.jp
  • 防災ベース:寒い時期のカセットガスの火力低下と対策に関する解説 bousai-base.com
  • Honda「冬キャンプのポータブル電源 活用術!使い道や注意点は?」(2022年2月2日更新) honda.co.jp
  • EcoFlow「DELTA 3 Ultra」仕様(充電温度・放電温度) ecoflow.com
  • NITE(製品評価技術基盤機構)一酸化炭素中毒に関する注意喚起資料 nite.go.jp
  • くるまのニュース「年末年始のJAFロードサービス出動」に関する記事 kuruma-news.jp
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