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パワーウインドの挟み込み防止は、スイッチを引き続けると働かない車が多い 子どもを守るのはロックボタンと閉める前のひと声

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パワーウインドの挟み込みから子どもを守るのはロックと閉める前のひと声
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「うちの車には挟み込み防止が付いているから、大丈夫」——そう思っている人は多いかもしれません。ところが、国民生活センターが2026年7月に公表したテストでは、挟み込み防止機能が付いている窓でも、スイッチの操作の仕方によっては窓が止まらずに閉まりきりました。この記事では、国民生活センターのテストとアンケート、消費者庁の注意喚起、自動車メーカーの取扱説明書をもとに、子どもを車に乗せるときの「挟み込み」が起きる仕組みと、今日からできる防ぎ方を整理します。

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防ぐ手は3つ。いちばん効くのは、ボタンを押す前の確認

国民生活センターと国土交通省が、子どものパワーウインドの事故を防ぐポイントとして挙げているのは、次の3つです。

ポイント 防げること
チャイルドシートを正しく使い、ベルトを確実に締める 子どもの手や顔が、窓ガラスやスイッチに届かなくなる
子どもが乗るときは、運転席の「ロック」ボタンを使う 子どもが自分でスイッチを押して窓を動かすことを防ぐ
窓を閉める前に、車を止めた状態で振り返り、声をかける 大人が運転席から閉めて挟んでしまうことを防ぐ

※国民生活センター「パワーウインドによる事故に注意!」(2026年7月1日)、国土交通省の注意喚起(2026年7月7日)より整理。

3つとも「当たり前」に見えますが、実際の事故を見ると、そのどれかが抜けた一瞬に起きています。なぜそれぞれが大事なのかを、テストの数字から見ていきます。

窓は2〜3秒で閉まり、大人でも止めにくい力がかかる

国民生活センターは、販売台数などを参考に、軽自動車からミニバンまでタイプの違う7台を選び、パワーウインドを調べました。結果をまとめると、次のとおりです。

調べたこと 結果(7台)
全開から全閉までの時間 おおむね2〜3秒
挟み込み防止機能が働かないときの閉まる力 173〜375N(約17.6〜38.3kgf)
挟み込み防止機能が働いたときの力 67〜187N(約6.8〜19.1kgf)
いちばん強い力で閉まった車 ハッチバックの軽自動車(平均333.3N)
全部の席の窓に挟み込み防止機能があった車 7台中2台(残り5台は運転席だけ)
窓ガラスの先端の厚さ 約3mm

※国民生活センターのテスト結果(2026年3〜5月実施)より。テストのために入手した7台に限った結果です。

いちばん強かった375Nは、重さにするとおよそ38kg。10kgの米袋4つ分近い重さが、厚さ3mmほどのガラスの縁にかかるイメージです。国民生活センターの過去の調査では、30kg程度の力で上がってくる窓を片腕で止められた女性は約30%しかいませんでした。

閉まる力は、車や窓の大きさに比例しません。7台の中でいちばん強く閉まったのは、軽自動車でした。

「小さい車だから力も弱いだろう」という思い込みは当てにならない、ということです。

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挟み込み防止が付いているのに、なぜ挟まれるのか

「挟み込み防止機能があるなら、止まってくれるのでは?」

ここが、いちばん誤解されやすいところです。国民生活センターのテストでは、挟み込み防止機能は、スイッチを一度強く引いて手を離す「オート」で閉めたときには、7台すべてで働き、窓が反対に開きました。ところが、スイッチを引き続けて閉めると、結果が分かれました。

閉め方 挟み込み防止が働いたか
オート(一度引いて手を離す) 機能のある窓では7台すべてで反転した
スイッチを引き続ける(1回目) 全席に機能のある2台だけ反転。運転席だけに機能のある5台は反転せず閉まった
続けてもう一度引き続ける(2回目) 全席に機能のある2台でも、反転しないことがあった

※国民生活センターのテスト結果より。どの車も、閉まりきる手前1cmほどの隙間でも機能が働いたものの、挟まる位置やつぶれ具合によっては働かないことがありました。

つまり、運転席から後ろの窓を閉めようとスイッチを引き続けた場合、多くの車では、何かを挟んでも窓は止まりません。報告書は、閉まりきる直前は検知しにくい領域があることや、幼児の細い指は検知されにくい場合があることも指摘しています。

挟み込み防止機能は「最後の安全装置」で、閉め方によっては働かない。頼るのではなく、挟まない状態を作ってから閉めるものです。

子どもが挟まれる窓の半分は、運転席から閉めている

国民生活センターは、本人や同乗者がパワーウインドに挟まれた、または挟まれそうになった経験のある500人にアンケートをしています。そのうち76人が、乗せていた乳幼児が挟まれた、または挟まれそうになったと答えました(事例は83件)。その中身は次のとおりです。

項目 結果
実際に挟まれた子どもがいた 42人(76人の55%)
挟まれた席 84%が後部座席(運転席の後ろが48%)
スイッチを操作した人の席 50%が運転席
直前の操作 66%が窓を閉める操作
原因として多かったもの 60%が「周りや窓の状態を十分に確認していなかった」

※国民生活センターのアンケート(2026年3月、インターネット調査)より。挟まれた・挟まれそうになった83件などをもとにした割合。

子どもが自分でスイッチをいじって起きる事故もありますが、それと同じくらい多いのが、大人が運転席から「よかれと思って」閉めたときです。報告書に紹介された重い事故も、この形でした。2024年には、保護者が運転席のスイッチで窓を閉めた際、後ろの席にいた女児の首が挟まれ、亡くなっています。女児はチャイルドシートや座席の上に立ち、窓から顔を出すような姿勢だった可能性も指摘されています。2023年には、夜に寝かしつけのドライブをしていた車で、チャイルドシートから抜け出していた男児の首が後ろの窓に挟まれ、意識不明の重体になりました。

消費者庁と国民生活センターが医療機関から集めている事故情報にも、2010年度以降の約16年間で、子どもがパワーウインドで被害にあった事例が17件寄せられています。駐車して窓を閉めたとき、窓から顔を出していた3歳の男児に気づかず、30秒ほど首を締め付けてしまった例もありました。

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チャイルドシートのベルトが外れていると、かえって窓に近づく

同じアンケートで、子どもが挟まれた・挟まれそうになった76人のうち、年齢に合ったチャイルドシートを取扱説明書どおりに使っていたと答えたのは51%でした。残りの中には、ベルトが外れていた、ベルトを使っていなかった、チャイルドシート自体を使っていなかった、という答えが含まれます。

国民生活センターの再現では、正しく座って固定されていれば、手を伸ばしても窓ガラスやスイッチから一定の距離が保たれていました。ところが、チャイルドシートを使っていてもベルトが外れていると、座面が高いぶん頭や手が窓やスイッチに近づき、使っていない場合より危なくなる可能性もあると報告書は書いています。

報告書は、チャイルドシートを使っていても、気づかないうちにベルトが外れたり、子どもが抜け出したりして、正しい姿勢が崩れている可能性があるとも書いています。窓を閉める前に振り返って確かめるのは、子どもの姿勢が乗せたときのままとは限らないからです。

スライドドアと、ふつうのドアにも同じ考え方を

挟み込みは窓だけではありません。消費者庁の注意喚起(2021年)では、3歳の子どもがスライドドアで左手の中指を挟み、爪の付け根近くで切断して緊急手術になった例が紹介されています。

電動のスライドドアにも挟み込み防止機構がありますが、トヨタ(ヴォクシー)の取扱説明書は、ドアが完全に閉まる直前に挟んだ場合や、挟まれるものの形や挟まれ方によっては作動しないことがあると注意しています。そのうえで、子どもにスライドドアを操作させないこと、後ろの席に子どもを乗せるときは「チャイルドプロテクター」を使って車内からドアを開けられないようにすることを求めています。

ふつうの開き戸のドアでも考え方は同じで、消費者庁は、閉める前に「閉めるよ」「近づかないで」と声をかけ、手や顔が出ていないことを確かめてから操作するよう呼びかけています。

パワースライドドアのある軽自動車の選び方は、ムーヴの記事でも紹介しています。

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場面別の気をつけ方

駐車して、開けていた後ろの窓を閉める

報告書の事例で特に多い場面です。車が止まっていても、運転席から後ろの窓を閉めるときは、いったん振り返って子どもの手や顔が窓から離れていることを見てから、「閉めるよ」と声をかけて閉めます。閉めている間も窓から目を離さず、様子を見ながら操作します。

走っている途中で、子どもが窓を開けたがる

運転中は後ろを十分に確認できないので、国民生活センターは、走行中は運転席以外の窓の操作を控えるよう呼びかけています。開け閉めは安全な場所に止まってからにします。子どもが乗っている間は、運転席の「ロック」ボタンを押したままにしておけば、子どもがスイッチを押しても窓は動きません。

祖父母の車やレンタカーに乗せる

アンケートでは、挟まれた子ども52人のうち12人(約23%)が、レンタカーやカーシェア、代車など、ふだんと違う車で起きていました。車が変わると、ロックボタンの位置や挟み込み防止機能の有無も変わります。乗り込んだら、まずロックボタンの場所を確かめて押しておくと安心です。

スライドドアの車で、子どもが自分で開け閉めしたがる

子どもにとってスライドドアのボタンは押してみたくなるものですが、メーカーの取扱説明書は子どもに操作させないよう警告しています。チャイルドプロテクターを使い、ドアの開け閉めは大人がすること、閉めるときは子どもがドアの近くにいないことを見てからにすることを、家族で決めておくとよいでしょう。長いドライブで子どもを乗せる準備は、子どもの車酔いの記事でもまとめています。

閉める前の、一回の振り返り

パワーウインドは、2〜3秒で閉まります。挟み込み防止機能は付いていても、閉め方によっては働きません。だからこそ頼りになるのは、機械より手前にある人の動きです。子どもが乗ったらロックボタンを押す。窓を閉める前に、一度だけ振り返って声をかける。その数秒が、2〜3秒で閉まる窓との間に入れられる、いちばん確かな安全装置です。

情報源

  • 国民生活センター「パワーウインドによる事故に注意!-窒息や切断、骨折など重篤なけがを負っています-」(2026年7月1日) kokusen.go.jp
  • 国民生活センター 同 報告書本文(PDF) kokusen.go.jp
  • 国土交通省「パワーウインドの挟み込み事故を防ぐために」(2026年7月7日) mlit.go.jp
  • 消費者庁「子どもを事故から守る!事故防止ポータル」Vol.562 車のドア・窓の挟まれ事故(2021年8月) caa.go.jp
  • トヨタ「ヴォクシー 取扱説明書:スライドドア」 manual.toyota.jp
  • ベストカーWeb(2026年8月24日、国民生活センターの調査の紹介) bestcarweb.jp
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