
ホンダのシビックは、2026年6月5日のマイナーチェンジでハイブリッドの「e:HEV RS」が加わり、ガソリン2種類とハイブリッド3種類の5グレードになりました。価格は394万6,800円から465万9,600円です。かつての手ごろなハッチバックという印象で調べ始めると、まず値段に驚くかもしれません。この記事では、最初に5グレードを並べて、ガソリンかハイブリッドか、6速MTかS+シフトかの分かれ目を、燃料代の計算も入れて整理します。タイプRは別の車として扱い、ここでは触れません。
いま選べる5グレード
車の形は5ドアハッチバックの1種類で、駆動方式はすべて前輪駆動(FF)です。違いは主にエンジンと変速機です。
| グレード | 価格(税込) | 動力・変速機 | 燃費(WLTC) | 車両重量 | 指定の燃料 |
|---|---|---|---|---|---|
| EX | 394万6,800円 | 1.5Lターボ・CVT | 15.7km/L | 1,370kg | ハイオク |
| e:HEV LX | 413万2,700円 | 2.0Lハイブリッド | 24.2km/L | 1,460kg | レギュラー |
| e:HEV EX | 444万8,400円 | 2.0Lハイブリッド | 24.2km/L | 1,490kg | レギュラー |
| RS | 448万8,000円 | 1.5Lターボ・6速MT | 15.3km/L | 1,350kg | ハイオク |
| e:HEV RS | 465万9,600円 | 2.0Lハイブリッド・S+シフト | 24.0km/L | 1,470kg | レギュラー |
※価格はホンダ公式サイトの価格帯と、グーネットマガジン掲載の価格表で照合。燃費・重量はカービューのカタログによる。ボディカラーによって追加料金がかかります。
サイズはどのグレードもほぼ同じで、全長4,560mm、全幅1,800mm、全高1,410〜1,415mm、ホイールベース2,735mmです。リアシートを立てたときの荷室容量は404L(VDA方式)あります。全長はセダンに近い長さですが、後ろが大きく開くハッチバックなので、荷物の積み下ろしの使い方はセダンとは変わります。
「シビックって、こんなに高い車だった?」
11代目が2021年9月に発売されたとき、最安のLXは319万円でした。いまの入り口は394万6,800円のEXで、約76万円上がっています。
上がり方には段階があります。2024年9月の改良時点でガソリンのLXは344万8,500円、EXは379万8,300円でした。その後の価格改定を経て、2026年6月のラインアップではガソリンのLXが一覧から姿を消し、ガソリンの入り口は上級のEXになりました。ガソリンのEXも、この2年足らずで約15万円上がっています。
シビックは「安いから選ぶ車」から、「内容を見て選ぶ車」に変わりました。
そのぶん、買う人の見方も変わっています。ホンダの発表では、2021年の発売から約1か月の受注は3,000台を超え、月の販売計画1,000台の3倍以上でした。購入層では20代が23.9%といちばん多く、6速MTは35.1%を占めました。2024年に6速MT専用のRSが出たときは、約1か月強の受注約3,000台のうち約2,000台をRSが占めています。「安さ」ではなく「走りが楽しそう」で選ぶ人が中心にいる車と考えると、この値段の並びも理解しやすくなります。
ガソリンとハイブリッドの差18.6万円は、燃料代で何年か
いちばん迷いやすいのは、EXとe:HEV LXの比較です。差は18万5,900円で、ハイブリッドのほうが高くなります。ただし、燃料の種類が違うため、燃費の差以上に毎年の燃料代が開きます。
| 年間の走行距離 | EX(ハイオク) | e:HEV LX(レギュラー) | 年の差 | 18.6万円を取り戻す年数 |
|---|---|---|---|---|
| 5,000km | 約5万8,000円 | 約3万5,000円 | 約2万3,000円 | 約8年 |
| 10,000km | 約11万5,000円 | 約7万円 | 約4万5,000円 | 約4年 |
| 15,000km | 約17万3,000円 | 約10万5,000円 | 約6万8,000円 | 約2.8年 |
※仮定に基づく計算例:ハイオク181円/L・レギュラー170円/L、燃費はWLTCの値のまま(EX 15.7km/L、e:HEV LX 24.2km/L)。実際の燃費は走り方・季節・道路で変わり、ガソリン価格も地域や時期で動きます。税金や保険料の差は含みません。
年1万km走るなら、差額は約4年分の燃料代にあたります。6速MTのRSとe:HEV RSの差17万1,600円で同じ計算をすると、年1万kmで約3.6年です。
注意したいのは、グレード名が示す装備の違いです。EXは上級の名前で、e:HEV LXはハイブリッドの中では最も手ごろな仕様です。2026年6月の改良でステアリングヒーターの追加が伝えられているのは、EXとe:HEV EXです。e:HEV LXの装備は販売店の装備表で確かめてください。燃料代だけなら計算どおりですが、上級どうしで比べたい人は、e:HEV EXとの差50万1,600円も見ておく必要があります。
燃料タンクは、ガソリン車が47L、e:HEVが40Lです。e:HEVのほうが小さくても、WLTCの値で単純に計算すると満タンの航続距離は約960kmで、ガソリンのEXの約740kmより長くなります。
6速MTで乗れるのはRSだけ
2021年の発売時はLXとEXにも6速MTがありましたが、2024年9月の改良でMTはRSだけになりました。ガソリンのEXはCVTなので、シビックをMTで買うなら選択肢は448万8,000円のRSだけです。タイプRを除けば、CVTのEXとの差は54万1,200円です。
RSは1.5Lターボ(182PS・240N・m)に6速MTを組み合わせ、5グレードで最も軽い1,350kgです。2026年6月の改良では、アルミホイールがマットブラックに変わりました。同じ時期に、スバルもWRXの6速MTを11月に出すと予告しています(WRXの6速MTの記事)。後輪駆動で2ドアのGR86と違い、5ドアで荷物も積めるMT車というのがシビックRSの立ち位置です(GR86の記事)。
e:HEV RSのS+シフトは「MTの代わり」ではない
6月に加わったe:HEV RSの目玉が、プレリュードに続いて搭載された「Honda S+ Shift」です。ペダルは2つのままで、AT限定免許でも運転できます。
e:HEVは、モーターで走ることを基本にしたハイブリッドで、エンジンとタイヤの間に歯車で段を切り替える変速機はありません。S+シフトは、エンジンの回転数の制御と音で、仮想の8段変速があるように感じさせる仕組みです(ハイブリッドの仕組みの記事)。レスポンスの試乗記によると、パドルで減速すると回転の跳ね上がりと減速感が同時に出て、パドルを触らずに走っているときも車が判断して段を切り替えます。
プレリュードとの違いもあります。プレリュードは選んでいるドライブモードのままS+シフトを使えますが、シビックRSではスイッチを押すとSPORTモードに切り替わります。価格は約150万円の差があり、レスポンスは選択肢の幅ではプレリュードが優れるとしつつ、シビックRSは価格を考えるとお値打ちと評価しています。
e:HEV EXとの差は21万1,200円です。S+シフトのほか、専用のサスペンション、18インチのマットブラックのホイール、赤いステッチのステアリング、メタルのパドルシフトが付きます。足まわりはロール剛性が標準比で11%高められ、レスポンスの試乗では、路面からの突き上げはEXよりやや角があるものの、揺れの収まりは速いとされています。Car Watchは、販売側がe:HEV RSを全体の55%と見込んでいると伝えており、この車の主力になる可能性があります。
買う前に知っておきたいこと
- 4WDがない:どのグレードも前輪駆動です。雪の多い地域で4WDを条件にするなら、シビックは候補から外れます
- 車高が低い:最低地上高はRSが130mm、e:HEV RSが135mmです。段差のある駐車場や、雪の轍が深い道は気をつけたいところです。座る位置も低めで、乗り降りの感覚は試乗で確かめたい部分です
- 全幅1,800mm:幅に制限のある古い機械式駐車場では、確認が必要な場合があります。最小回転半径は5.7mです
- ガソリン車はハイオク指定:上の計算のとおり、燃費だけでなく単価の差も毎回の給油に効きます
- RSのタイヤは大きめ:RSは235/40R18です。低扁平のタイヤは、交換時の費用も見積もりに入れておきたいところです
- 納期は注文の前に確認を:2026年3月時点のまとめでは、ガソリン車よりe:HEVの納期が長い傾向でした。改良後の状況は変わっている可能性があるので、販売店で聞くのが確実です
あなたの場合はどう考える?
MTに乗りたい
迷わずRSです。ほかのグレードにはMTの選択肢がありません。計算のうえではe:HEV RSのほうが燃料代は安くなりますが、変速を自分でやること自体が目的なら、比べる意味は小さいでしょう。
走りも楽しみたいが、ふだんは家族も乗る
e:HEV RSが第一候補です。2ペダルで、ふだんは静かに走り、スイッチを押せば変速の感覚を楽しめます。ただし足まわりは硬めになるので、後席に人を乗せることが多いなら、e:HEV EXと乗り比べてからの判断をおすすめします。
通勤や遠出で、年1万km以上走る
走行距離が多いほど、ハイブリッドの差額は早く戻ります。装備で不足がなければe:HEV LX、ステアリングヒーターなどの快適装備が欲しければe:HEV EXを比べる流れです。
年に数千kmしか走らない
年5,000kmだと差額を取り戻すのに約8年かかります。ガソリンのEXは5グレードの中で最も安く、CVTなので運転の手間もかかりません。燃料代の差より最初の出費を抑えたい人に向きます。給油はハイオクになる点だけ、覚えておきましょう。
値札が上がっても、選ばれる理由は変わらない
シビックは5年で入り口が約76万円上がり、もう気軽に買える価格の車ではなくなりました。その代わり、MT、S+シフト、低燃費のハイブリッドと、運転との付き合い方を自分で選べる車になっています。燃料代の計算で決まるのは差額の答えまでです。最後に決めるのは、どんな運転を毎日したいかです。
情報源
- 本田技研工業「CIVIC」公式サイト(価格帯・マイナーモデルチェンジの案内) honda.co.jp
- グーネットマガジン(シビックの価格表) goo-net.com
- カービュー「シビック(ハッチバック)グレード一覧」 carview.yahoo.co.jp
- くるまのニュース「シビック e:HEV RS」発売の記事 kuruma-news.jp
- くるまのニュース「MT専用だったRSにAT限定免許で運転できる新モデル追加」 kuruma-news.jp
- レスポンス「ホンダ シビックe:HEV RS 新型試乗」(2026年8月1日) response.jp
- Car Watch「シビック e:HEV RS」試乗記 car.watch.impress.co.jp
- Car Watch「ホンダ、『シビック』をマイナーチェンジ 6速MT専用モデル『RS』は419万8700円」 car.watch.impress.co.jp
- Car Watch「新型『シビック』発売後約1か月で3000台受注」 car.watch.impress.co.jp
- くるまのニュース「7割がMTを選んだ!」(2024年の受注) kuruma-news.jp
- 新型シビックの納期のまとめ(2026年3月時点) car-repo.jp

