
スバルは2026年10月22日、公式SNSとティザーサイトで「2026年11月。WRX MT搭載モデル登場予定。」と予告しました。春に600台限定・抽選で売られた「WRX STI Sport♯」に続く6速MTですが、今度は台数を限った特別な車ではなく、通常のラインアップ(カタログモデル)として開発されているものです。「抽選に外れたけど、待てば買えるの?」「いまのWRX S4はどうなるの?」と気になっている人に向けて、公式に出ている情報と、まだ決まっていないことを分けて整理します。
決まったこと、まだのこと
| 項目 | いまの状況 |
|---|---|
| 何が出るか | WRXのMT搭載モデル(スバル公式の英語表記は「WRX with TY85 Transmission」) |
| いつ | 2026年11月に発表予定(日付は未発表) |
| トランスミッション | 6速MT「TY85」。歴代のWRX STIにも使われてきた、耐久性の高い型 |
| 売り方 | 限定車ではなく、カタログモデルとして開発中と報じられている |
| 車名・グレード | 未発表 |
| エンジン・出力 | 未発表 |
| 価格・発売日 | 未発表 |
| デザイン | 未公開(ティザーサイトは夜道を走る車のシルエットのみ) |
※スバル公式サイト(WRXティザーページ・WRX S4ページ)、くるまのニュース(2026年10月22日)、Motor-Fanの報道をもとに作成。
ティザーサイトに載っているのは、「WRXは走り続ける。」というメッセージと、「量産MTモデル 復活への軌跡」と題した開発ストーリーの動画です。数字の入った情報は、まだ一つも出ていません。
このため、ネット上で見かける具体的な発表日やグレード名、価格は、現時点ではいずれも公式の情報ではありません。この記事では予想の数字は書かず、判断の手がかりになる確定済みの数字だけを使います。
MTのWRXが「約7年ぶり」と言われる理由
MTのWRXが話題になるのは、国内では長く途切れていたからです。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2019年12月 | WRX STI(6速MT)が、特別仕様車「EJ20 Final Edition」を最後に新規受注を終了 |
| 2020年3月末 | WRX STIの生産が終了。国内向けのMTのWRXがなくなる |
| 2021年 | 現行のWRX S4(2.4Lターボ・CVT)が登場。国内向けはCVTのみ |
| 2026年4月9日 | STIのコンプリートカー「WRX STI Sport♯」を発表。現行WRXの日本仕様で初の6速MT。600台限定・抽選(申し込みは5月17日まで) |
| 2026年6月6日 | 富士24時間レースの会場で、スバルが開発中のMT車3台を予告。その1台がTY85搭載のWRX |
| 2026年10月22日 | 公式SNSとティザーサイトで「11月登場予定」を告知 |
| 2026年11月 | 発表予定 |
※くるまのニュース、Car Watch、オートスポーツweb、ベストカーWebの報道をもとに作成。
2020年3月末から2026年11月までは、6年半あまり。誰でも普通に注文できるMTのWRXは、それだけの間、国内のカタログから消えていたことになります。
「WRX S4は生産終了」なのに、WRXは続く?
いまスバルの公式サイトでWRX S4のページを開くと、次のような注記があります。現行モデルは生産終了にともない販売店の在庫対応のみになったこと、そして現行モデルをもってSTI Sportグレードの展開を終えたこと、の2点です。
「生産終了なら、WRXそのものがなくなるの?」
と読めてしまいますが、同じページには「New MT Models Coming!」というバナーがあり、3つの新しいMTモデルを導入予定と書かれています。その1台目に並んでいるのが「WRX with TY85 Transmission」です。
終わるのは「CVTだけの今のWRX S4」という形で、WRXという車はMTを加えた次の形で続く。
公式の書き方を並べると、こう読むのが自然です。ただし、11月に出るモデルにCVT車が残るのか、車名に「S4」が付くのか、STI Sportの代わりにどんなグレードが並ぶのかは発表されていません。CVTのWRXを考えている人は、在庫がなくなる前に決めるか、11月の発表を見てから決めるかを選ぶことになります。
STI Sport♯にもMTはあった。何が違うのか
春に出たWRX STI Sport♯も6速MTでした。それでも今回が大きく扱われるのは、「誰が買えるか」がまったく違うからです。
| 項目 | WRX STI Sport♯(2026年4月) | 今回のMT搭載モデル |
|---|---|---|
| 売り方 | 600台限定・抽選 | カタログモデルとして開発中(報道) |
| トランスミッション | 6速MT(TY75型と報じられる) | 6速MT(TY85型) |
| エンジン | 2.4L水平対向4気筒ターボ(FA24)275PS/350N·m | 未発表 |
| 価格(税込) | 610万5,000円 | 未発表 |
| 作り手 | STI(スバルのモータースポーツ部門)のコンプリートカー | スバルの量産モデル |
※STI Sport♯の数値はスバル・STIの発表を伝える各社報道(ベストカーWeb、carview!ほか)より。
STI Sport♯の抽選について、報道では申し込みが600台の10倍を超えたと伝えられています。仮に10倍ちょうどだったとしても、申し込みは6,000件で、当たったのは600件。少なくとも5,400件ぶんの「MTのWRXに乗りたかったのに買えなかった」が残った計算です。
今回のモデルは、その人たちの受け皿になり得る車です。スバル自身がティザーで「量産MTモデル」という言葉を使っていることからも、限られた人のための1台ではなく、普通に注文できる形を目指していることがうかがえます。
トランスミッションの型が違う点も見逃せません。報道によると、STI Sport♯は海外仕様と同じTY75型、今回は歴代WRX STIに使われてきたTY85型です。スバルがわざわざ型式まで名前に入れて予告しているのは、昔のWRX STIを知る人に向けたメッセージとも受け取れます。ただし、TY85を積むからといって「WRX STI」の名前が復活するとは限らず、出力も明らかになっていません。
価格の手がかりは、いまの値段の幅
新しいMTモデルの価格は発表されていません。比べる材料として、生産終了となった現行WRX S4の公式サイト掲載価格と、STI Sport♯の価格を並べておきます。
| モデル | トランスミッション | 価格(税込) |
|---|---|---|
| WRX S4 GT-H EX | CVT | 447万7,000円〜 |
| WRX S4 STI Sport R EX | CVT | 502万7,000円〜 |
| WRX S4 STI Sport R-Black Limited/同 Ⅱ | CVT | 530万2,000円〜 |
| WRX STI Sport♯(600台限定) | 6速MT | 610万5,000円 |
※WRX S4はスバル公式サイトの掲載価格(2026年10月24日確認)。STI Sport♯は発表時の価格。
いちばん安いGT-H EXとSTI Sport♯の差は162万8,000円あります。STI Sport♯はブレンボのブレーキやZF製の電子制御ダンパー、バランス取りをしたエンジンなどを備えた特別な車なので、この価格がそのまま今回のモデルの目安になるわけではありません。
一方、エンジンやトランスミッションの数値には注意が要ります。同じ2.4Lターボでも、CVTのWRX S4は最大トルク375N·m、6速MTのSTI Sport♯は350N·mと発表されていました。MTになると数字の上の力強さは同じではない、という前例があるわけです。今回のモデルがどんな数値になるかは、11月の発表を待つ必要があります。
スバルが予告しているMT車は3台ある
今回のWRXは、6月の富士24時間レースの会場でスバルが予告した3台のうちの1台目です。報道によると、スバルは2027年までにこの3台を出す計画としています。
| 公式の名前(英語表記) | わかっていること |
|---|---|
| WRX with TY85 Transmission | 今回の車。11月に発表予定 |
| SUBARU BRZ Complete Car | 2025年発表の「BRZ STI Sport TYPE RA」をもとに、より軽快で扱いやすい方向に仕上げるとされる |
| 5-door Hatchback | 車名は未発表。2025年のジャパンモビリティショーに出た「Performance-B STI concept」の市販版として開発中と報じられる |
※名前はスバル公式サイト(WRX S4ページのバナー)の表記。内容はMotor-Fan・Car Watch・オートスポーツwebの報道より。
会見では、藤貫哲郎CTO(最高技術責任者)が「既存の価値観にとらわれず、より気軽に楽しめるクルマづくり」を掲げたと伝えられています。セダンのWRX、2ドアのBRZ、そして5ドアのハッチバックと、形の違う3台にMTを用意する計画で、WRXはその先頭を切ることになります。
立場別の受け止め方
STI Sport♯の抽選に外れた人
いちばん待つ価値がある立場です。今回はカタログモデルとして開発されているため、抽選ではなく普通に注文できる形になる可能性が高いと考えられます。ただし、STI Sport♯と同じ装備や乗り味になるとは限りません。ブレーキやサスペンションなど、STI Sport♯で惹かれた点が何だったのかを整理しておくと、11月の発表を見たときに判断しやすくなります。
CVTの現行WRX S4を考えていた人
現行モデルは販売店の在庫だけになっています。STI Sportのグレードは今回で終わると公式に書かれているので、STI Sportの装備が欲しい人は在庫を探すことになります。一方で、MTにこだわらず、11月に出るモデルの全体像を見てから選びたい人は、発表まで1か月ほど待つのも一つの考え方です。
BRZやGR86、シビック タイプRとMT車で迷っている人
5人乗りの4ドアセダンで、四輪駆動のMT車という組み合わせは、国内ではかなり珍しくなっています。普段使いで後席や荷物を気にするならWRX、軽さや2ドアの身軽さを取るならBRZのコンプリートカーや既存のスポーツカー、という分け方になりそうです。BRZのコンプリートカーと5ドアハッチバックは時期が未発表なので、「全部見てから決めたい」なら2027年までかかる可能性もあります。
「WRX STI」の復活を待っている人
今回の予告に「STI」の文字はありません。TY85はかつてのWRX STIと同じ型ですが、車名・エンジン出力・グレード構成はいずれも未発表です。過度に期待を膨らませるより、「STIの名前がなくても、普通に買えるMTのWRXが戻ってくる」こと自体を今回のニュースの中心として受け止めておくのが現実的です。
STI Sport♯は、MTのWRXを待っていた人がこれだけいることを数字で見せた車でした。今回のモデルは、その答えを限定車ではなくカタログで出そうとしています。
「当たった人だけが買えるMT」から「選べば買えるMT」へ。11月の発表で見るべきは、価格よりもまず、誰でも注文できる形になっているかどうかです。
参考にした情報
- SUBARU公式サイト「WRX」(2026年11月発表予定のティザーページ) subaru.jp
- SUBARU公式サイト「WRX S4」(生産終了の注記・New MT Modelsのバナー・価格) subaru.jp
- くるまのニュース「スバル『WRX』に“6速MT”が復活へ! 約7年ぶりの『カタログモデル』11月発表を予告!」(2026年10月22日) kuruma-news.jp
- Car Watch「スバル、藤貫哲郎CTOが富士24時間でマニュアルトランスミッション搭載の新型車予告」(2026年6月6日) car.watch.impress.co.jp
- オートスポーツweb「スバルが新スペックの市販車登場を予告。MT搭載WRXとBRZコンプリートカー、5ドアハッチバックを販売へ」(2026年6月6日) as-web.jp
- Motor-Fan「スバルが『退屈だから』と古い開発手法に決別! 2027年までに“3台のMTスポーツ”投入へ」 motor-fan.jp
- ベストカーWeb「スバルファン感涙! 『610万円でMT』のWRX STI Sport♯が降臨」 bestcarweb.jp
- carview!「600台限定のスバル『WRX STIスポーツ シャープ』抽選申込は10倍以上」 carview.yahoo.co.jp
- くるまのニュース(WRX S4の現行モデルの状況、2026年7月28日) kuruma-news.jp

