
「モーターショーって、今はモビリティショーって言うの? 結局、何が見られるの?」――ジャパンモビリティショーは、かつての「東京モーターショー」が2023年に名前と中身を変えて続いているイベントです。ただ、今は一般向けの大きな「ショー」の年と、企業向けの「Bizweek」の年が1年おきに来る仕組みになっていて、年によって行って見られるものがまったく違います。この記事では、2つの年の違いと、ショーの年に会場で何が見られるのかを、主催者の発表と報道をもとに整理します。
新型車を見に行くなら「ショーの年」
主催の日本自動車工業会(自工会)は、2024年から、ジャパンモビリティショーを「2年で1セット」の形に変えました。最新のクルマや技術を広く一般に見せる年を「ショーイヤー」、企業どうしが出会って一緒に事業をつくる年を「プロセスイヤー」と呼び、2024年をプロセスイヤー、2025年をショーイヤーと説明しています。
コンセプトカーや新型車をたくさん見たいなら、行くのは「ショーの年」です。
2026年はプロセスイヤーにあたり、10月13日〜16日に幕張メッセで「Japan Mobility Show Bizweek 2026」が開かれました。無料・事前登録制で一般の人も入れますが、中身は企業どうしの商談や技術展示が中心です。2026年版の詳しい中身は、ジャパンモビリティショー2026の記事にまとめています。
| ショーの年(例:2025年) | Bizweekの年(例:2024年・2026年) | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 最新のクルマ・技術を一般に広く見せる | 企業・スタートアップの出会いと共創 |
| 会場 | 東京ビッグサイト(東京・有明) | 幕張メッセ(千葉・幕張) |
| 会期 | 11日間(土日を含む) | 4日間(平日のみ) |
| 入場 | 有料(2025年の当日券3,000円、高校生以下無料) | 無料(事前登録制) |
| 規模 | 2025年:522の企業・団体、来場者約101万人 | 2024年:203社、2026年:217社(9月18日時点) |
| 見られるもの | 各社のコンセプトカー・新型車、体験型の企画 | 技術展示、会議・マッチング |
※自工会の発表、公式サイト、各社報道より。2026年の出展数は公式発表時点の数字です。
東京モーターショーから何が変わったのか
前身の東京モーターショーは、1954年に日比谷公園で開かれた「全日本自動車ショウ」が始まりです。このときの展示車両は267台で、そのうち乗用車はわずか17台。トラックやバスが中心の、まだクルマが「仕事の道具」だった時代の展示会でした。
その後、会場を晴海、幕張メッセ、東京ビッグサイトへと移しながら規模を広げ、来場者がいちばん多かったのは1991年の約201万人です。ところがそこから減り続け、2017年には約77万人まで落ち込みました。
2019年は約130万人に戻しましたが、この年は無料エリアを含めた集計で、それまでと数え方が違います。数字だけを見て「人気が復活した」とは言い切れない、という点は押さえておきたいところです。
流れが変わったのは2022年11月です。自工会の豊田章男会長(当時)が、東京モーターショーを「ジャパンモビリティショー」に改める方針を発表しました。クルマのスマホ化や小型の乗り物、空を飛ぶ乗り物まで、移動のかたちが広がるなかで、自動車メーカーだけでなく、ほかの産業やスタートアップにも門戸を開く場にする、というのが狙いとされています。
名前を変えて初めての2023年は、10月26日〜11月5日に東京ビッグサイトで開かれ、約111万2000人が来場しました。
2025年のショーでは何が展示されたか
「ショーの年」の中身を知るには、いちばん新しい2025年の例を見るのが早道です。2025年は10月30日〜11月9日(一般公開は10月31日から)に東京ビッグサイトで開かれ、コンセプトは「ワクワクする未来を、探しにいこう!」でした。
各社のブース:コンセプトカーと発売前の新型車
今も昔も、いちばんの目玉は自動車メーカーのブースです。2025年は、トヨタが独立したブランドになった「センチュリー」のクーペや次のハイエースのコンセプト、日産が新型エルグランドを世界初公開し、スズキは軽のEVのコンセプト「Vision e-Sky」を出しました。マツダ・スバル・三菱・ダイハツなどもコンセプトカーを並べ、三菱ふそうは水素で走る大型トラックのコンセプトを出しています。
ショーで見たクルマが、その後に本当に発売されることもあります。新型エルグランドは2026年7月に発売され、受注が1万台を超えました。Vision e-Skyも、スズキ初の軽EV「e SKY」として発表されました。ショーは「1〜2年先に道を走るクルマ」を先に見られる場所でもあるわけです。
メーカーの枠をこえた企画
- Tokyo Future Tour 2035:10年後の暮らしや街を体感する企画展。170以上の企業・団体が「2035年の東京」を表現し、約31万1000人が訪れました。
- タイムスリップ・ガレージ:1960年代から2000年代以降の名車を、メーカーの垣根をこえて年代ごとに並べた展示。初代セルシオや初代ジムニー、ランサーエボリューションIIIなどが並び、関連企画を含めて約34万6000人が訪れました。
- パフォーマンスゾーン:レーシングカーのデモ走行や同乗走行、SUVの悪路走破など、「動いているクルマ」を見られる屋外の企画。
- 子ども向け:キッザニアと組んだ職業体験(約2万7000人が参加)や、働くクルマの展示。
- スタートアップ:約150社が出展し、事業会社との共創を目指すピッチコンテストなども行われました。
出展が522の企業・団体と過去最多になったのは、自動車メーカーだけでなく、IT・通信・電機などの会社やスタートアップが加わったからです。「クルマを眺める場」から「移動の未来をまとめて見る場」へ――名前を変えた意味は、こうした企画の並びにいちばんよく表れています。
来場者が111万人から101万人に減ったのはなぜ?
2025年の来場者は約101万人で、主催者が目標にしていた100万人は上回りましたが、2023年の約111万2000人より10万人ほど少なくなっています。
報道では、その理由として、東京ビッグサイトの東1〜3ホールが工事で使えず会場が狭くなったことや、最終日が雨だったこと、海外ブランドの出展が少なかったことなどが挙げられています。出展数は過去最多なので、「人気が落ちた」と単純に読むより、会場の条件や天気の影響が大きかったと見るほうが自然です。
次の「ショーの年」に行くなら知っておきたいこと
2年で1セットの流れどおりなら、次の一般向けのショーは2027年になる見込みです。ただし、2026年10月時点で、自工会は2027年の日程・会場・入場料を正式には発表していません。日程を書いているサイトもありますが、公式の発表を待つのが確実です。
そのうえで、2025年の例をもとに準備のポイントをまとめます。
- チケットは事前に買う:2025年は前売券2,700円・当日券3,000円で、販売はオンラインのプレイガイドとコンビニだけ。会場の窓口では買えませんでした。
- 割引の入場枠を使う:2025年は、平日の16時以降に入れる「アフター4」(1,500円、日曜を除く)や、土日・祝日に1時間早く入れる「アーリーエントリー」(3,500円、枚数限定)がありました。
- 家族連れは高校生以下が無料:2025年は高校生以下が無料で、キッザニアの職業体験も体験料無料でした。
- 何を見るか先に決める:500をこえる企業・団体が出る規模なので、1日で全部は回れません。各社ブース・企画展・屋外の走行デモのどれを優先するか決めておくと、会場での迷いが減ります。初めての人向けには、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)の会員が案内するガイドツアーもありました。
※料金や企画は2025年の例です。2027年の内容は、発表され次第、公式サイトで確認してください。
ショーの年を待つ間に行ける、ほかのイベント
「次のショーまで1年待てない」という人には、性格の違うイベントもあります。カスタムカーやチューニングが好きなら、毎年1月に幕張メッセで開かれる東京オートサロンが近く、次回は2027年1月15〜17日です。モビリティショーが「メーカーが描く未来」なら、オートサロンは「オーナーやショップが手を入れたクルマ」が主役のイベントです。
ジャパンモビリティショーは、毎年同じものが見られるイベントではありません。「ショーの年」か「Bizweekの年」かを先に確かめることが、行って後悔しないためのいちばんの近道です。
【更新 2026年10月16日】内容を最新の情報に合わせて全面的に見直しました。
参考にした情報
- 日本自動車工業会 Press Release “For the Now Officially Titled JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024″(2024年8月20日) jama.or.jp
- 日本自動車工業会「Japan Mobility Show Bizweek 2026 の出展募集を開始」(2026年4月15日) jama.or.jp
- Japan Mobility Show 公式サイト japan-mobility-show.com
- Car Watch(ジャパンモビリティショー2025 閉幕の報道) car.watch.impress.co.jp
- くるまのニュース「101万人熱狂!ジャパンモビリティショー2025閉幕!」 kuruma-news.jp
- ベストカーWeb「入場者101万人! それでも前回割れの理由は?」 bestcarweb.jp
- レスポンス「クルマ好きも唸るイベント満載!さらに進化した『ジャパンモビリティショー2025』の見どころとは?」(2025年10月27日) response.jp
- JAF Mate Online(ジャパンモビリティショー2023 豊田章男会長の発言) jafmate.jp
- トヨタ自動車「東京モーターショーの歴史 1954-1963」 global.toyota
- マイナビニュース(東京モーターショー2019 来場者数と歴代の推移) news.mynavi.jp

