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秋はシカとの衝突事故が増える? 危ないのは10〜11月の夕方から夜、飛び出してきたら「ハンドルよりブレーキ」と「もう1頭」

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秋はシカとの衝突事故が増える? 10〜11月の夕方から夜が危ない理由と、飛び出してきたときの考え方
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「シカとぶつかるなんて、北海道の山奥の話でしょ?」——そう思っている人ほど、この時期は少しだけ気にしておいてほしい話です。北海道ではエゾシカが関係する交通事故が年々増え、1年分のおよそ4割が10月と11月の2か月に集中しています。しかも時間帯は、仕事帰りや買い物帰りと重なる夕方から夜。紅葉ドライブや連休の旅行で、ふだん走らない山道に出かける人も増える季節です。シカと出会いやすい「時期・時間・場所」と、目の前に飛び出してきたときにどう動くのが一般的に安全と考えられているのかを、公的なデータから整理します。

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危ないのは「10〜11月の、日が沈むころから夜」

北海道庁は、エゾシカが関係する交通事故について、次のような傾向をまとめています。

見るポイント 北海道のデータで分かっていること
時期 年間の発生件数のおよそ41%が10〜11月に集中
時間帯 70%以上が16時〜24時に発生。中でも18〜20時(28.8%)と16〜18時(22.5%)で5割を超える
シカの動き 活動のピークは日の出と日没の前後。秋は繁殖期で、越冬地へ移動する時期とも重なる
件数の推移 2017年以降、毎年2,000件を超えている(届出件数)

※北海道環境生活部「エゾシカとの交通事故防止について」より。時間帯の内訳(18〜20時・16〜18時の割合)は、東京海上ディーアールのコラム(2026年6月)が紹介している北海道のデータより。

10〜11月は、オスがメスを追って動き回る繁殖期であり、雪の少ない越冬地へ群れで移っていく時期でもあります。シカが道路を渡る回数そのものが増えるうえに、日の入りはどんどん早くなり、帰宅の時間帯がちょうど暗くなりはじめの時間と重なっていきます。

シカが一番動く時間と、人が一番車で動く時間が、秋にはぴったり重なります。

件数は増え続けている。2025年は届け出だけで6,700件超

北海道庁のページには、2025年の地域別の届出件数が載っています。

地域(2025年) 届出件数 1日あたり(計算例)
東部 2,340件 約6.4件
中部 2,148件 約5.9件
北部 1,653件 約4.5件
南部 564件 約1.5件
4地域の合計 6,705件 約18.4件

※北海道環境生活部のページに掲載された2025年の地域別届出件数より。合計と1日あたりの件数は編集部が計算したもの(365日で割った単純な平均)。届け出のなかった事故は含まれていません。

北海道全体で、1日に18件あまり。しかもこれは1年をならした数字です。年間の約41%が10〜11月の61日間に集中するという北海道庁の傾向をそのまま当てはめると、6,705件×41%≒2,749件、1日あたりにするとおよそ45件という計算になります(あくまで割合を当てはめた目安です)。秋の北海道では、30分に1回くらいのペースで、どこかの道路でシカとの事故が起きている、というイメージです。

地域ごとの報道を見ても、増加ははっきりしています。北海道新聞によると、釧路・根室・十勝を管轄する釧路方面本部管内では2025年の事故が1,751件で4年前から5割近く増え、胆振・日高管内でも2025年は1,302件と、2020年の734件の約1.8倍になりました。個体数の増加と、捕獲が追いついていないことが背景として挙げられています。

本州でも「秋のシカ」は他人事ではない

ニホンジカも、9〜10月の繁殖期と5〜6月の出産期は動きが活発になるとされています(東京海上ディーアールのコラム)。奈良県は、奈良公園とその周辺の道路だけで、シカと車の衝突が年間100件以上起きているとしています。山あいの道、川沿いや田畑・里山に近い道、「動物が飛び出すおそれあり」の標識がある区間は、地域を問わず秋の夕方から夜に気をつけたい場所です。

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「車が来れば、動物のほうが逃げるのでは?」

シカとの事故の話になると、こう考える人も少なくないはずです。クラクションを鳴らせば、ライトを当てれば、向こうが驚いて逃げていく——。

ところが北海道庁は、逆の注意を呼びかけています。シカは車が近づくと、その場で立ち止まってしまうことがある。アスファルトの上では蹄(ひづめ)が滑って転ぶこともある。そして、シカは群れで動くので、1頭が渡り終わったあとも、続けて出てくることがある、と。

つまり、「逃げてくれるだろう」と速度を保ったまま近づくと、立ち止まったシカの前に突っ込む形になりかねません。1頭をやり過ごしてほっとアクセルを踏んだ瞬間に、2頭目が飛び出してくることもあります。

シカを1頭見たら、近くにもう1頭いると思って走る。

暗い道でヘッドライトの先に「光る目」が見えたら、それがシカかもしれない合図です。北海道庁も、夜間にライトに照らされて目が光るものが見えたらシカがいる可能性がある、としています。

飛び出してきたら:まず「ブレーキで減速」、急ハンドルは避ける

北海道警察や東京海上ディーアールが共通して呼びかけているのは、慌てて急ハンドルを切らず、まずブレーキで速度を落とすことです。急ハンドルでよけようとすると、対向車線にはみ出して正面衝突したり、道路の外に飛び出して木や電柱にぶつかったりする危険があるからです。

シカをよけた結果、ガードレールに突っ込んだ。対向車とぶつかった。こうなると、シカとぶつかるよりも大きな事故になりかねません。シカそのものよりも、「よけようとした動き」が人のけがにつながることがある、というのがこの呼びかけの意味です。

だからこそ、いちばん効くのは「飛び出してくる前」の準備です。東京海上ディーアールのコラムは、夜間・早朝に山あいを走るときは普段より早めに出発して時間に余裕を持ち、5〜10km/hほど速度を控えめにすることを例に挙げています。この「早めに出る」と「速度を落とす」は、次のように組み合わせて考えると実感しやすくなります。

山あいの道を50km走るとき かかる時間 1秒間に進む距離
時速60kmで走る 50分 約16.7m
時速50kmで走る 60分 約13.9m
差 10分 1秒あたり約2.8m短くなる

※一定の速度で走り続けたと仮定した単純な計算例です(50÷60×60=50分、50÷50×60=60分。60km/h÷3.6≒16.7m/秒、50km/h÷3.6≒13.9m/秒)。実際は信号・カーブ・道路状況などで大きく変わります。

50kmの山道なら、10分早く出れば、時速を10km落としても同じ時刻に着く計算です。そのかわり、光る目に気づいてからブレーキを踏むまでの1秒で進む距離は、およそ3mずつ短くなります。10分早く家を出ることは、シカとの間に毎秒3mの余裕を買うことだと考えると、出発を少し早める意味が見えてきます。

ほかにも、次のような心がけがよく挙げられています。

  • 日が沈む前からライトをつける。前の車も対向車もいない区間では、ハイビームを使うと遠くの光る目に早く気づけます。
  • 見通しの悪いカーブや坂の頂上の手前では、すぐブレーキを踏める構えにしておく。
  • 道路わきの電光掲示板や「動物注意」の標識が出ている区間は、その日の「出やすい場所」と受け止める。
  • 前の車との車間距離をふだんより広めにとる。前の車が急に止まったとき、自分も止まれるように。
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ぶつかってしまったら:近づかない、そして連絡を

それでも避けられないことはあります。ぶつかってしまったときに慌てないよう、一般的に案内されている流れを確認しておきます。

  1. 安全な場所に止めて、ハザードランプをつける。後ろから来る車に知らせ、自分や同乗者が二次的な事故に巻き込まれないことを最優先にします。三角表示板を持っていれば使います。
  2. シカには近づかない。けがをしたシカが暴れることがあり、蹴られたり角に当たったりするおそれがあります。生きているかどうかを確かめに行くのも避けたほうが安全です。
  3. 警察に連絡する。損保会社の解説では、保険を使って修理するには事故があったことの証明が必要になるため、警察への連絡を案内しています。道路を管理する国・自治体・高速道路会社への連絡もあわせて求められることがあり、道路上の動物の死骸や落下物は、国道・高速道路の「道路緊急ダイヤル(#9910)」で通報できます。
  4. 保険会社(代理店)に連絡する。

ぶつかった直後は、車が動くかどうかが気になりますが、ラジエーターなど前の部分が壊れていると、走り出してから異常が出ることもあります。少しでも不安があれば、ロードサービスを呼ぶほうが安心です。

修理代は平均60万円前後。車両保険の「型」で差が出る

シカは大きい動物です。北海道開発局のリーフレットが紹介している日本損害保険協会北海道支部の調査では、エゾシカとの衝突で支払われた車両保険の平均額は、2021年度が58.2万円、2023年度が62.3万円とされています(同じ年度でも資料によって数字に差があり、55万円台とする版もあります)。いずれにしても、軽い接触で済むとは限らない、ということです。

野生動物には持ち主がいないので、修理代を誰かに請求することはできません。損保会社の解説では、シカとの衝突は自分の車だけが壊れた事故と同じ扱いになり、自分の車の修理に使えるのは車両保険です。ここで注意したいのが、車両保険の「型」です。

  • 一般型:動物との衝突も補償されるのが一般的です。
  • エコノミー型(補償範囲を絞ったタイプ):動物との衝突は補償の対象外となるケースが多いとされてきました。最近は対象に含める保険会社も増えていますが、会社や契約の時期によって違います。
  • シカをよけてガードレールなどにぶつかった場合:シカに触れていないので、単独事故として扱われることが多く、エコノミー型では補償されないことがあります。

また、車両保険を使えば、翌年以降の等級や保険料にも影響します。60万円前後の修理代を自分で払うか、保険を使うか。その判断の考え方は、車両保険は入るべき?で整理しています。シカの多い地域に住んでいる人や、秋に山道を走る予定がある人は、自分の契約が「動物との衝突」をどう扱っているかを、保険証券や保険会社のページで一度確かめておくと安心です。

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自分の秋の運転に当てはめてみる

北海道で、夕方に郊外の道を通勤・帰宅している人

いちばん事故の多い「10〜11月の16〜20時」に、毎日走っている人です。慣れた道ほど速度が出やすく、「いつもいないから大丈夫」と思いがちですが、シカの通り道は季節で変わります。帰りの時間の運転だけは、意識して速度を控えめにし、ハイビームを使える区間では使う、という習慣が効いてきます。

紅葉ドライブや連休の旅行で、山あいの道に出かける人

行きは明るくても、帰りは日が落ちてから山道を下ることになりがちです。土地勘のない道では、どこにシカが出やすいか分かりません。帰りの出発を早めて、なるべく明るいうちに山を抜ける計画にしておくと、シカにも渋滞にも強くなります(帰りの時間の考え方は紅葉ドライブの渋滞の記事も参考に)。

本州の山あい・郊外に住んでいる人

「シカは北海道の話」と思っていると、心の準備がないまま出会うことになります。ニホンジカも秋は動きが活発になる時期です。家の近くに「動物注意」の標識がある道があるなら、そこが自分にとっての要注意区間です。

早朝や深夜に長距離を走る人

シカの活動のピークは日の出前後にもあります。夜明け前に出発する釣りやスキー、深夜の移動では、眠気と暗さが重なります。光る目に早く気づくためにも、眠いときは無理をせず休むことが、結果的にシカへの備えにもなります。

光る目を見たら、ブレーキ。そして、もう1頭

シカとの事故は、運転のうまさだけでは防ぎきれません。相手は、暗い道の脇から、こちらの都合とは関係なく出てきます。だからこそ、できることは「出会う前」に集まっています。秋の夕方から夜に、山や林や川の近くを走るときは、少しだけ速度を落とし、少しだけ早く家を出る。

そしてヘッドライトの先で何かが光ったら、ハンドルではなくブレーキ。1頭をやり過ごしても、まだアクセルは踏まない。この秋、その「もう1頭」を思い出せるかどうかが、自分と車を守る分かれ目になります。

情報源

  • 北海道 環境生活部「エゾシカとの交通事故防止について」 pref.hokkaido.lg.jp
  • 東京海上ディーアール「ロードキル(動物との衝突)のリスク ~ドライバーが知っておきたい いつ・どこで・どう防ぐか~」(2026年6月30日) tokio-dr.jp
  • 北海道開発局 室蘭開発建設部「エゾシカ衝突事故マップ(胆振・日高版)」 hkd.mlit.go.jp
  • 北海道開発局 釧路開発建設部「エゾシカ衝突事故マップ(釧路・根室版)」 hkd.mlit.go.jp
  • 北海道開発局 札幌開発建設部「エゾシカ衝突事故マップ(石狩・空知版)」 hkd.mlit.go.jp
  • 北海道新聞「シカ絡む事故4年で5割増 北海道警察釧本管内 午後4~8時に集中」(2026年7月28日) hokkaido-np.co.jp
  • 損保ジャパン(SOMPOダイレクト)「おとなの自動車保険」ロードキル(動物との衝突)の解説sompo-direct.co.jp
  • ベストカーWeb「野生動物は要注意!? 回避した結果ぶつけちゃった場合どうなる!? 車両保険の注意点」(2026年6月17日) bestcarweb.jp
  • 乗りものニュース「動物接触事故、秋は『鹿』要注意 平均修理費50万越え 対策は」 trafficnews.jp
  • 奈良県の資料(奈良公園周辺のシカと車両の衝突について)pref.nara.lg.jp
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