
日産は10月6日、7月に16年ぶりのフルモデルチェンジを受けた大型ミニバン「エルグランド」の受注が、10月4日時点で1万300台になったと発表しました。中身を見ると、目立つのは「高いほうから売れている」ことです。最も安い「X e-4ORCE」でも689万7,000円の車で、受注の9割以上がそれより上の仕様でした。この記事では、発表された数字を整理し、なぜ上級仕様に集中しているのか、これから検討する人が知っておきたい価格差と納期をまとめます。
発表された数字
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 累計受注 | 1万300台(7月16日の発表・発売から10月4日まで) |
| 最も多いグレード | G e-4ORCE:57% |
| ボディカラー | 白(プリズムホワイト)41%、黒(ミッドナイトブラック)33%、新色の2トーン(FUJI DAWN/至極)8% |
| 購入者 | 日産車からの乗り換え62%、他社から38%(発売当初の30%から上昇) |
| 販売目標 | 公表されていない |
※日産の発表内容を報じたレスポンス、マイナビニュース、くるまのニュース、自家用車(いずれも2026年10月6日)で照合しました。
発売時点で、先行受注はすでに6,000台を超えていたと報じられています。単純に引き算すると、発売後の約2か月半で積み上がったのは4,000台あまり。1か月あたりに直すと、1,500〜1,600台前後のペースです(先行受注を「6,000台」として計算した目安です)。
日産の担当者は、実物を見たり乗ったりすることで「クルマの真価が伝わっている状況が続いています」とコメントしています。
グレード別:9割以上が「最安グレードより上」
報道によると、受注のグレード別の内訳は次のとおりです。価格は消費税込みのメーカー希望小売価格です。
| グレード | 価格 | 受注に占める割合 |
|---|---|---|
| X e-4ORCE | 689万7,000円 | 9% |
| G e-4ORCE | 757万9,000円 | 57% |
| AUTECH LINE e-4ORCE | 717万9,700円〜 | 10% |
| AUTECH e-4ORCE | 824万7,800円〜 | 14% |
| VIP e-4ORCE | 869万8,800円 | 10% |
※割合は自家用車・くるまのニュース(2026年10月6日)の報道、価格は日産・オーテックの発表と各報道で照合。AUTECH LINE・AUTECH・VIPは日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)が手がけるカスタムカーです。
700万円近い最安グレードですら、選んだ人は10人に1人もいません。
「最安グレードが買い得」と言われるのに、なぜ上級に集中?
ここで、ちょっと不思議な点があります。
自動車メディアのグレード解説では、最も安い「X e-4ORCE」を買い得とする声が少なくありません。新型エルグランドは全車が同じパワートレーン(発電用の1.5Lターボエンジン+前後2つのモーター)と電動4WDの「e-4ORCE」を積んでいるので、走りの中身は最安グレードでも変わらないからです。MOTAの試算では、Xにオプションを34万8,700円分足すと、Gとの差は33万3,300円まで縮まるとされています。
それでも、実際の受注はGが57%、Xは9%です。理由は、数字の中に見えています。
- Gでしか選べない装備がある:ベストカーWebによると、プロパイロット2.0(高速道路での手放し運転支援など)とヘッドアップディスプレイのセット(47万4,100円)は、Gだけに用意されたメーカーオプションです。報道では、プロパイロット2.0を含むオプションの装着率は約4割(39%)にのぼります。
- Gには標準で付くものが多い:前席と2列目のシートベンチレーション、明るい色の内装(紫檀・銀雪)、スライドドアのハンズフリー機能などは、Gでは標準、Xではオプションか選べない装備とされています。
- 乗り換え元が同じクラスの高級ミニバン:自家用車によると、下取りに出された車の半数は「LLミニバン」と呼ばれる大型の高級ミニバン。もともとこのクラスに乗っていた人が、装備を落とさずに乗り換えていると考えると、上級仕様に集中するのは自然です。
つまり、「Xが買い得」というのは走りと価格のバランスで見た場合の話で、実際に買っている人の多くは、今乗っている高級ミニバンと同じかそれ以上の快適装備を求めて選んでいる、ということになります。
誰が買っている?
購入者の6割強は日産車からの乗り換えです。一方で、他社からの乗り換えは発売当初の30%から38%に増えたと発表されています。報道では、トヨタのアルファード/ヴェルファイアからの乗り換えも目立つとされています。
くるまのニュースによると、年代別では40〜50代の男性が過半数を占め、60代が20%、70代以上が14%、30代以下が13%でした。
新型エルグランドの価格は、アルファードの価格帯と重なる、あるいはそれを上回る水準です。日刊自動車新聞によると、アルファードのハイブリッド4WDは581万9,000円から。新型エルグランドの最安グレードは、それより約107万8,000円高い設定です。安さで選ばれているわけではないことは、価格表からも読み取れます。
新型エルグランドの基本
| 項目 | 新型 | 先代との差 |
|---|---|---|
| 全長 | 4,995mm | +30mm |
| 全幅 | 1,895mm | +45mm |
| 全高 | 1,975mm | +160mm |
| ホイールベース | 3,000mm | - |
| パワートレーン | 第3世代e-POWER(1.5L VCターボ・発電専用)+前後モーター | - |
| 駆動方式 | 全車 e-4ORCE(電動4WD) | - |
| WLTCモード燃費 | 16.8km/L(X・Gとも) | - |
※Motor-Fan(2026年7月)、日刊自動車新聞の報道で照合。モーターの最高出力は前205PS・後136PS、エンジンは140PSと報じられています。
いちばん大きく変わったのは高さで、先代より160mm高くなりました。グレード名も整理され、先代まであった「ハイウェイスター」の名前はなくなり、標準車は「X」と「G」の2つになっています。開発の責任者は、スポーティーな走りと乗り心地、静かさを高い次元で両立するには、e-POWERとe-4ORCEの組み合わせが「ベストだ」と説明しています。販売の現場でも、走りと乗り心地が購入の決め手として伝えられていると報じられています。
今から注文すると、いつ届く?
MOTA(2026年10月2日)によると、XとGの納期は約5か月。プレミアム2トーンのボディカラーや、VIPなどの上級仕様を選ぶと約8か月まで延びるとされています。
| 選ぶ仕様 | 納期の目安 | 10月上旬に注文した場合の目安 |
|---|---|---|
| X・G(通常色) | 約5か月 | 2027年3月ごろ |
| 2トーン色、VIPなど | 約8か月 | 2027年6月ごろ |
※納期は報道時点の目安で、販売店や仕様、生産状況によって変わります。右の列は、報道の月数を10月上旬に足しただけの単純な目安です。正確な時期は販売店で確認してください。
新色の2トーンは、塗装の工程を3回通す手間のかかる色と報じられています。イメージカラーとして8%が選んでいる一方で、選ぶと納期が長くなりやすい点は知っておきたいところです。
これから検討する人は、どう考える?
走りが目当てで、装備はほどほどでいい
パワートレーンと4WDは全車共通なので、Xでも走りの中身は同じです。必要なオプションだけを足していけば、Gとの差は30万円台まで縮まるという試算もあります。
高速道路の長距離移動が多い
プロパイロット2.0やヘッドアップディスプレイを付けたいなら、選べるのはGです。オプション代を含めると、車両価格は800万円前後になります。今回の受注で約4割が選んでいるのは、この使い方を重視する人が多いからだと考えられます。
アルファード/ヴェルファイアと比べている
価格だけを見ると、アルファードのハイブリッド4WDのほうが100万円以上安く始まります。新型エルグランドは「全車4WDの電動パワートレーン」と「走りの味つけ」に重心を置いた車なので、両方に試乗して、乗り心地や運転したときの感覚で比べるのが近道です。アルファードの特徴はアルファードとはどんな車かで整理しています。
今の車を手放す時期が決まっている
通常色でも約5か月、上級仕様なら約8か月かかる可能性があります。今の車をいつまで乗るかから逆算して、早めに販売店で納期を確認しておくと安心です。
「高いのに売れている」の意味
新型エルグランドの1万300台は、「700万円近い最安グレードですら少数派」という、珍しい売れ方をしています。買っている人の多くは、もともと高級ミニバンに乗っていて、乗り換え先に同じクラスの快適さを求めている人たちです。
16年ぶりの新型は、値段で選ばれる車ではなく、「何が付いているか」と「どう走るか」で選ばれる車として、まずは好調な滑り出しを見せています。
情報源
- レスポンス「日産『エルグランド』新型が受注1万台を突破、上級Gグレードが9割」(2026年10月6日) response.jp
- マイナビニュース「日産エルグランドが受注1万台突破! 新規客が4割に迫る? 販売状況を聞く」(2026年10月6日) news.mynavi.jp
- くるまのニュース「日産『新型エルグランド』がめちゃ売れ中!」(2026年10月6日) kuruma-news.jp
- 自家用車「【新型エルグランド】受注1万台突破!10月4日時点で1万300台」(2026年10月6日) jikayosha.jp
- Motor-Fan「約16年ぶりの世代交代! 日産が新型『エルグランド』発売、第3世代e-POWER搭載で689万円から」(2026年7月) motor-fan.jp
- 日刊自動車新聞「日産、新型エルグランド発売 689万円から すでに6000台超受注」(Yahoo!ニュース掲載) news.yahoo.co.jp
- オーテックジャパン「新型エルグランド『AUTECH』、『AUTECH LINE』、『VIP』、『ステップタイプ』を発売」(2026年7月16日) autech.co.jp
- ベストカーWeb「新型エルグランドは実質約33.3万円差!!」(2026年6月9日) bestcarweb.jp
- MOTA「新型エルグランドの『買い得』『やめとけ』グレードはどれ? 納期はどれくらい?」(2026年10月2日) autoc-one.jp

