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EVの充電、自宅と外出先でいくら違う? 同じ1kWhで4倍以上の差、急速充電だけならガソリン車より高くなることも

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EVの充電、自宅と外出先でいくら違う? 家のコンセントと急速充電器のイメージ
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「EVは燃料代が安い」とよく言われます。けれど、その「安い」は、どこで充電するかによって大きく変わります。自宅のコンセントと高速道路の急速充電器では、同じ1kWhの電気でも4倍以上の値段の差があり、充電の仕方しだいではガソリン車より高くつくことさえあります。2026年4月に始まった急速充電の「kWh課金」も含めて、自宅と外出先の充電料金を同じ物差しにそろえて比べ、どんな使い方ならEVの燃料代が安くなるのかを計算例で整理します。

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1kWhあたりで並べると、こうなる

まず、充電する場所ごとの料金を「電気1kWhあたり」にそろえて並べてみます。

充電する場所・方法 1kWhあたりの料金 メモ
自宅(電気代の目安単価) 約31円 契約プランや時間帯、地域で変わる
急速充電・会員カード利用(時間課金) 約83円+月会費(計算例) eMPカード:27.5円/分、月会費4,180円。30分で10kWh入ると仮定
急速充電・ビジター(一般道、kWh課金) 110円 e-Mobility Power直営の対象スポット
急速充電・ビジター(高速道路、kWh課金) 143円 同上
急速充電・ビジター(時間課金、一般道・50kW以下) 約165円(計算例) 55円/分。30分で10kWh入ると仮定

※自宅は、全国家庭電気製品公正取引協議会の「新電力料金目安単価」(31円/kWh、税込)。急速充電はe-Mobility Power(eMP)の公表料金(税込)。時間課金を1kWhあたりに直した値は、「30分で10kWh充電できた」という仮定に基づく計算例で、車や充電器、電池の温度・残量によって大きく変わる。充電時のロスは含まない。

いちばん安い自宅の約31円に対して、高速道路のビジター料金は143円。同じ電気でも、どこで入れるかで4倍以上の差があります。

この差を前提にすると、EVの燃料代を考えるときに見るべきなのは「EVかガソリン車か」より先に、「自分は、走る電気のうち何割を家で入れられるか」だということがわかります。

100km走るのに、いくらかかる?

1kWhあたりの料金だけではイメージしにくいので、100km走るのにかかる金額に直してみます。例として、軽EVの日産サクラ(WLTCモードの電力消費率124Wh/km、つまり100kmで12.4kWh)を使います。比較のガソリン車は、燃費20km/L、レギュラーガソリン1L=170円と仮定しました。

充電・給油の方法 100kmあたりの燃料代(計算例) ガソリン車との比較
自宅で充電(31円/kWh) 約380円 半分以下
ガソリン車(20km/L・170円/L) 850円 -
急速・ビジター 一般道(110円/kWh) 約1,360円 約1.6倍
急速・ビジター 高速道路(143円/kWh) 約1,770円 約2.1倍

※日産サクラの電力消費率はメーカー公表のWLTCモード値。実際の電費は、速度(同じ諸元で高速道路モードは142Wh/km)、気温、エアコンの使用などで変わる。ガソリン価格は、資源エネルギー庁の調査で2026年5〜8月の全国平均が169〜170円台で推移していたことから170円とした。いずれも仮定に基づく計算例。

家で充電すれば、100kmあたりの燃料代はガソリン車の半分以下になります。ところが、同じ車でも急速充電のビジター料金だけで走ると、ガソリン車の1.6〜2倍になってしまいます。

「EVは燃料代が安い」と「EVは充電代が高い」。正反対に聞こえる二つの話は、どちらも本当です。違いは、家で充電した電気で走っているか、外で買った電気で走っているかだけです。

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なぜ外の充電はこんなに高いのか

家庭の電気代とくらべて急速充電が高いのには、理由があります。急速充電器は1基あたりの設置費用が大きく、高い出力に対応した電気の契約(基本料金)や、保守の費用もかかります。しかも、利用されない時間帯にもそのコストはかかり続けます。家で使う電気は「電気そのものの値段」に近いのに対し、急速充電の料金には「短い時間で大量の電気を入れるための設備」の費用が上乗せされている、と考えるとわかりやすいでしょう。

つまり、急速充電は「燃料を買う場所」というより、「時間を買う場所」です。旅先や急ぎのときに短時間で走れる状態に戻すためのサービスで、毎日の燃料を入れる場所としては割高になります。

2026年4月の「kWh課金」で何が変わった?

急速充電の料金は、これまで「何分充電したか」で決まる時間課金が中心でした。e-Mobility Powerは2026年4月1日から、直営の急速充電スポット96か所(高速道路81か所、一般道15か所)で、ビジター向けに「何kWh入れたか」で決まるkWh課金を始めています(高速道路143円/kWh、一般道110円/kWh)。

時間課金では、充電の受け入れが遅い車ほど損になります。同じ30分でも、たくさん電気を受け入れられる車は多く入り、そうでない車は少ししか入らないのに、払う金額は同じだからです。たとえば時間課金(一般道・50kW以下は55円/分)で30分充電すると1,650円。10kWhしか入らなければ1kWhあたり165円ですが、20kWh入れば約83円です。

kWh課金なら、入れた量に対して払うので、受け入れの遅い車でも「1kWhあたりいくら」がはっきりします。一方、30分で多く入れられる車にとっては、時間課金のほうが割安になる場面もあります。どちらがお得かは、充電器ではなく「自分の車の充電の速さ」で決まるというわけです。なお、kWh課金はeMP直営の対象スポットに限られ、提携先の充電器などは引き続き各社ごとの料金になる点にも注意が必要です。

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会員カードは、どのくらい使えば元が取れる?

外で充電する機会が多い人は、充電カードの会員になる選択肢もあります。eMPカードの急速・普通併用プランは、月会費4,180円で急速充電が27.5円/分です。

30分で10kWh入る車の場合、1kWhあたりは約83円。ビジターの料金との差は、一般道(110円)なら1kWhあたり27.5円、高速道路(143円)なら60.5円です。月会費4,180円をこの差額で割ると、元が取れる目安は次のようになります。

主に使う急速充電 月会費の元が取れる目安 サクラで走れる距離に換算
一般道のスポット(ビジター110円/kWhと比較) 月に約150kWh以上 約1,200km
高速道路のスポット(ビジター143円/kWhと比較) 月に約70kWh以上 約560km

※「30分で10kWh充電できる」「電費124Wh/km」と仮定した計算例(4,180÷27.5=152kWh、4,180÷60.5=69kWh)。充電がもっと速い車なら会員の1kWhあたりの単価は下がり、元が取れる量も少なくなる。料金やプランは変更されることがあるため、契約前に最新の内容を確認してほしい。

自宅で充電できて、外での急速充電は旅行のときくらい、という人なら、毎月の会費を払うよりビジターで使ったほうが安く済むことが多いでしょう。逆に、自宅で充電できず、外の急速充電が日常の燃料補給になる人は、会員プランを検討する価値があります。車のメーカーや販売店が独自の充電プランを用意していることもあるので、あわせて比べてみてください。

月800km走る人の、4つのパターン

最後に、月に800km(年間でおよそ1万km)走る人を例に、充電の仕方ごとの1か月の燃料代を計算してみます。車は先ほどと同じサクラ(124Wh/km)で、1か月に必要な電気は約99kWhです。

パターン 1か月の燃料代(計算例)
A:ほぼすべて自宅で充電 約3,100円
B:8割を自宅、2割を高速道路のビジター料金で 約5,300円
(参考)ガソリン車(20km/L・170円/L) 6,800円
C:すべて一般道の急速充電、ビジター料金で 約10,900円
D:すべて急速充電、eMPカード会員で 約12,400円(月会費込み)

※すべて仮定に基づく計算例。Aは99.2kWh×31円、Bは自宅分と高速道路分(143円/kWh)の合計、Cは99.2kWh×110円、Dは30分で10kWhとして約10回分の充電料金(27.5円×30分)に月会費4,180円を加えたもの。実際には電費・充電の速さ・電気料金プランで変わる。

A:ほぼ自宅で充電する人

ガソリン車の半分以下の燃料代で走れます。EVの「燃料代が安い」というイメージは、このパターンのことです。夜間の電気が安くなる料金プランを選べば、さらに下げられる可能性があります。ただし、契約を変えると昼間の単価が上がるプランもあるので、家全体の電気の使い方で判断する必要があります。

B:基本は自宅、遠出のときだけ外で充電する人

2割を高速道路の急速充電で入れても、ガソリン車より安く収まります。家での充電が土台にあれば、外での割高な充電を多少混ぜても全体ではそれほど響かない、ということです。遠出のときは「急速充電は30分まで」という利用時間の制限がある点も頭に入れて、休憩の計画と一緒に考えておくと安心です(長距離ドライブの休憩間隔も参考に)。

C・D:自宅で充電できない人

急速充電だけで走ると、ビジターでも会員でも、燃料代はガソリン車を上回ってしまいました。もちろん、これは月800km・この車・この料金という条件での計算で、勤務先や商業施設に安い普通充電がある、販売店のプランがお得に使える、といった事情があれば結果は変わります。ただ、「家で充電できないなら、燃料代の安さはEVを選ぶ理由になりにくい」ことは覚えておきたいポイントです。

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自宅充電を始めるには、初期費用もかかる

自宅で充電するには、ふつう200Vの充電用コンセントや充電設備の設置工事が必要です。費用は家の配線や分電盤からの距離によって変わり、コンセントタイプで5万〜10万円程度が目安とされています。充電の時間はかかり、サクラの場合、200V(3kW)の普通充電で、残量警告が出た状態から満充電まで約8時間が目安です(急速充電なら約40分で80%)。

工事費を仮に10万円とすると、上のパターンDとAの差(月約9,300円)で割れば、およそ11か月分です。工事費は一度きりなので、自宅で充電できる環境があるなら、長く乗るほど効いてくる出費といえます。なお、賃貸住宅やマンションでは、設置に管理会社や管理組合の合意が必要になることが多い点にも注意してください。

家で充電できるかどうかで燃料代がこれだけ変わるという点は、PHEVを選ぶときも同じです。PHEVとハイブリッド車の比較はPHEVとHEV、結局どっちを選ぶ?で詳しく取り上げています。また、冬は暖房などで電費が落ちるため、同じ距離でも必要な電気が増えます(EVの冬の航続距離については、EVは冬に航続距離がどれくらい落ちる?で詳しく扱っています)。

「EVは安いか」ではなく「自分の電気はどこから来るか」

EVの燃料代は、車そのものより、充電の仕方で決まります。家で入れた電気で走ればガソリン車の半分以下、外で買った電気だけで走ればガソリン車より高い。そのあいだのどこに自分が入るかは、「家で充電できるか」と「月にどれだけ遠出するか」でほぼ決まります。

EVの燃料代を見積もるときは、カタログの電費より先に、自分の家のコンセントを見てください。そこから入る電気の割合が、EVの「安さ」の正体です。

参考にした情報

  • e-Mobility Power ビジター利用料金のご案内 e-mobipower.co.jp
  • EVsmartブログ「e-Mobility Powerが『kWh課金』導入と高速道路の充電料金変更などを発表」(2026年3月11日) blog.evsmart.net
  • ELECTRICLIFE「e-Mobility Powerが4月1日よりビジター向け『kWh課金』を開始」 electriclife.jp
  • パナソニック「電気自動車(EV)の電気代はいくら?」(電力料金目安単価31円/kWhの解説) panasonic.biz
  • セレクトラ 電気料金の1kWhあたりの単価 selectra.jp
  • モーターファン 日産サクラ 主要諸元(電力消費率・一充電走行距離) motor-fan.jp
  • くるまのニュース 日産サクラ(充電時間) kuruma-news.jp
  • carview! レギュラーガソリン全国平均価格(資源エネルギー庁 石油製品価格調査、2026年8月) carview.yahoo.co.jp
  • くらしのマーケットマガジン EV充電用コンセントの設置費用 curama.jp
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