
「タイで約705万円? 日本で報道されている619万円より高いけど、日本の値段も上がるの?」。三菱自動車の新型「パジェロ」が、2026年10月19日にタイで発売されました。世界で最初の発売で、生産もタイの工場です。日本とオーストラリアでは12月中旬に販売が始まると、三菱自動車が公式に発表しています。タイの価格表は、日本の正式な価格が出る前に見られる、いちばん具体的な手がかりです。ただし、そこから読み取れることと読み取れないことがあります。分かったことを整理し、日本で買う人がタイの数字をどう使えばいいかをまとめます。
タイで発売された3つのグレードと価格
タイで売り出されたのは3つのグレードです。現地の価格と、日本円に直した目安を並べます。
| グレード(タイ) | 駆動方式 | タイの価格 | 日本円の目安 |
|---|---|---|---|
| GLS | 2WD | 149万9,000バーツ | 約705万円 |
| GSR | 2WD | 169万9,000バーツ | 約799万円 |
| SUPER EXCEED(スーパーエクシード) | 4WD(S-AWC) | 199万9,000バーツ | 約940万円 |
※タイの価格は日本経済新聞、タイの自動車メディア(Bangkok Motorhaus)、マレーシアの自動車メディア(paultan.org)などで一致。日本円は1バーツ=4.7円で編集部が換算した参考値です(日本経済新聞はGLSを約705万円、くるまのニュースは約706万円と換算)。為替によって変わります。
エンジンは3グレードとも同じ2.4Lディーゼルターボ(204PS・480Nm)で、8速ATと組み合わせます。座席は3グレードとも3列の7人乗りです。
注目したいのは駆動方式です。タイでは、GLSとGSRが2WDで、本格的な4WDの仕組み(S-AWC)が付くのは最上級のスーパーエクシードだけです。タイの現地メディアの価格表でも、日本経済新聞の記事でも、グレード名に「2WD」「4WD」が書き分けられています。
「悪路に強いパジェロ」が4WDになるのは、タイでは最上級の1グレードだけです。
なお、タイの現地メディアによると、この価格は2026年12月31日までに予約して納車まで済ませる人向けの発売記念価格で、それより後の価格はまだ示されていません。
「タイで作るのに、タイのほうが高い?」
ここで、多くの人が引っかかるはずです。
新型パジェロの日本の価格は、まだ正式には発表されていません。ただ、販売店への取材をもとに、4つのグレードの価格を伝えている媒体が複数あります。その数字とタイの価格を、同じ名前のグレードで並べると次のようになります。
| グレード | タイ(円換算の目安) | 日本(報道されている価格・税込) | 差 |
|---|---|---|---|
| GLS | 約705万円(2WD) | 619万3,000円 | タイが約86万円高い |
| GSR | 約799万円(2WD) | 676万5,000円 | タイが約123万円高い |
| EXCEED(エクシード) | タイには設定なし | 693万円 | ― |
| SUPER EXCEED | 約940万円(4WD) | 795万800円 | タイが約145万円高い |
※日本の価格は、carview!・MOTAなどが販売店情報として報じたもので、三菱自動車の正式な発表ではありません。差は編集部の計算(例:705万円−619万3,000円=85万7,000円)で、万円未満は四捨五入。
工場があるタイのほうが、海を渡って運ばれる日本より高い。しかも、タイの下の2グレードは2WDです。一見すると、話があべこべに見えます。
これは、車の値段が「工場から出るときの値段」ではなく、「その国で売るときの値段」だからです。店頭の価格には、その国の税金や販売にかかる費用、為替の水準、どこまで装備を付けるかといった、国ごとの事情がまとめて入っています。たとえばタイでは、2026年1月から、二酸化炭素の排出量などで税率が変わる新しい物品税の仕組みが始まっています。日本では、車両価格とは別に、買うときや持っているときの税金がかかります。税金の乗せ方そのものが違うので、店頭の価格を為替で直しただけでは、同じものさしで比べたことになりません。
同じ名前のグレードでも、中身が同じとは限りません。日本にはタイにない「EXCEED」があり、グレードの数からして違います。日本仕様のGLS・GSRが2WDなのか4WDなのかも、正式にはまだ示されていません。
タイの値段から日本の値段を当てることはできません。安い・高いを比べるより、タイの価格表は「グレードの並び方」を読むのに使うのが正解です。
タイの価格表から読めること:グレードで何が変わるか
値段は国ごとに違っても、「どのグレードで何が足されるか」という組み立て方は、日本仕様を考えるうえでも参考になります。タイ仕様の主な違いを、現地メディアの情報から整理します(日本仕様が同じになるとは限りません)。
| 項目(タイ仕様) | GLS | GSR | SUPER EXCEED |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 2WD | 2WD | 4WD(S-AWC) |
| ホイール | 18インチ | 20インチ | 20インチ |
| ヘッドライト | LED(オートハイビーム) | アダプティブLED | アダプティブLED |
| 画面 | 12.3インチ | 12.3インチ | 14.3インチ |
| オーディオ | 6スピーカー | ヤマハ製12スピーカー | ヤマハ製12スピーカー |
| シート | 革・合成皮革 | 革・合成皮革 | セミアニリン本革(ベンチレーション付き) |
| パノラマルーフ | なし | なし | あり |
| 運転支援 | 標準 | 標準 | MI-PILOT(運転支援)などを追加 |
※Bangkok Motorhaus・paultan.orgの情報をもとに編集部が主な項目を抜き出したもの。7つのエアバッグ、ハンズフリーの電動テールゲート、ワイヤレスのApple CarPlay・Android Auto、車の周りを映すカメラは3グレード共通とされています。
並べてみると、グレードごとの役割がはっきりしています。
- GLS→GSR(20万バーツ、約94万円の差):ライト、音、ホイールなど「見た目と快適さ」が上がる。走りの仕組みは同じ2WD。
- GSR→SUPER EXCEED(30万バーツ、約141万円の差):4WDの仕組み、パノラマルーフ、上級の運転支援など「走りの仕組みそのもの」と上級装備が加わる。
タイでは、いちばん大きな値段の段差が、4WDが付くところにあります。
日本で報道されている価格を見ると、GLSからGSRまでの差は57万2,000円、GSRからスーパーエクシードまでの差は118万5,800円です(いずれも報道の数字からの計算)。日本でも、最上級との間にいちばん大きな段差がある、という形は似ています。その段差に何が含まれるのか、特に4WDの仕組みがどのグレードから付くのかが、日本の正式発表でいちばん確かめたいところです。
ここまでの流れと、これからの予定
| 時期 | 出来事 | 出どころ |
|---|---|---|
| 2026年9月2日 | 新型パジェロを世界初公開 | 三菱自動車の公式発表 |
| 10月1日 | 日本で予約の受付開始(価格は未発表のまま) | 三菱自動車の公式サイト |
| 10月14日 | 国内の予約が約2週間で4000台に。2026年度の国内目標を上回った | 社長の発言として日本経済新聞などが報道 |
| 10月19日 | タイで発売(世界で最初) | 三菱自動車の公式発表 |
| 10月下旬 | 日本での正式発表(10月29日とする報道あり) | 報道 |
| 12月中旬 | 日本とオーストラリアで販売開始 | 三菱自動車の公式発表 |
| 2027年度から | 中東・中南米など約100の国と地域へ順次展開 | 三菱自動車の公式発表 |
生産はタイ東部チョンブリ県にあるレムチャバン工場です。三菱自動車は、ラダーフレームの車を長く作ってきた経験をいかして生産すると説明しています。日本向けもこの工場から運ばれてくるので、タイで発売が始まったことは、日本向けの生産が予定どおり進んでいるかを見るうえでも一つの目安になります。
岸浦恵介社長は、タイでの発売について「世界に先駆けてタイで発売できることを大変嬉しく思います」とコメントしています。
予約が4000台に届いた経緯と、日本向けの増産を検討しているという話は新型パジェロ、予約2週間で4000台で、車の中身と先代からの変化は新型パジェロ、10月1日から予約開始で詳しく扱っています。
日本の正式発表で確かめたい4つのこと
タイの価格表を見たうえで、日本の発表で特に見ておきたいのは次の4点です。
- どのグレードが4WDか:タイでは下の2グレードが2WDでした。日本のGLS・GSRが4WDなのかどうかで、グレード選びの前提が変わります。
- EXCEEDの中身:タイにはない日本独自のグレードです。GSRとスーパーエクシードの間で、何が付いて何が省かれるのか。
- 座席の数:タイは全車7人乗りですが、オーストラリアでは、GLSに5人乗りも用意されると現地の自動車メディアが伝えています。日本で選べるのはどちらか。
- 価格と納期:報道されている619万3,000円〜795万800円と同じかどうか。予約が年度の目標を超えているので、グレードごとの納車のめやすも合わせて確かめたいところです。
すでに予約している人は
自分が選んだグレードが4WDかどうかは、まず確かめておきたい点です。雪道や未舗装の道を走るつもりでパジェロを選んだのなら、なおさらです。正式発表の内容が予約時に聞いていた話と違ったときの扱いも、販売店に聞いておくと安心です。
価格を見てから決めたい人は
タイの円換算を見て「日本も700万円台からになるのでは」と心配する必要は、今のところありません。上で書いたとおり、国ごとの値段は比べられないからです。待つあいだにできるのは、自分に4WDの仕組みが必要か、3列目の席が必要か、という「欲しい中身」を先に決めておくことです。それが決まっていれば、正式発表の日にどのグレードを見ればいいかがすぐに分かります。
ランドクルーザー250などと迷っている人は
新型パジェロは全長4,920mm×全幅1,925mm、ホイールベース2,870mmで、ランドクルーザー250とほぼ同じ大きさのクラスです。比べるときは、値段だけでなく「4WDの仕組みがどのグレードから付くか」をそろえて見ると、同じ条件での比較になります。ランドクルーザー250の今の状況はランドクルーザー250とはどんな車かで整理しています。
タイで最初に走り出したパジェロは、日本で報道されている価格より高い値札を付けていました。でも、その数字が教えてくれるのは日本の値段ではありません。
見るべきは値札ではなく、4WDがどこから付くか。日本の発表の日には、まずそこを確かめてください。
情報源
- 三菱自動車「新型『パジェロ』をタイで発売」(2026年10月19日) mitsubishi-motors.com
- 日本経済新聞「三菱自動車、タイでパジェロ販売再開 日本やオーストラリアにも出荷」(2026年10月19日) nikkei.com
- Car Watch「三菱自動車、新型クロスカントリーSUV『パジェロ』をタイで発売」 car.watch.impress.co.jp
- くるまのニュース「三菱『新型パジェロ』発売! 泰国で販売開始…日本導入は12月中旬予定」 kuruma-news.jp
- Bangkok Motorhaus「All-new Mitsubishi Pajero 2026 Thailand price」 bangkokmotorhaus.com
- paultan.org「2027 Mitsubishi Pajero launched in Thailand」(2026年10月23日) paultan.org
- 三菱自動車「三菱自動車、新型クロスカントリーSUV『パジェロ』を世界初披露」(2026年9月2日) mitsubishi-motors.com
- carview!「予約開始の新型『パジェロ』…800万円弱の最上級『スーパーエクシード』が一番人気」(2026年10月10日、販売店情報) carview.yahoo.co.jp
- MOTA「【価格判明】新型パジェロは619万3000円〜!」(販売店情報) autoc-one.jp
- マークラインズ「タイ政府、自動車と二輪車を対象とした新たな物品税制を導入」 marklines.com

