
国内最高峰のフォーミュラレース、全日本スーパーフォーミュラ選手権。2026年シーズンは残り4レースとなり、10月9日(金)〜11日(日)に富士スピードウェイで第9戦・第10戦が行われます。ランキング首位の太田格之進選手は、2位に45.5点の差をつけて独走中。主催者の日本レースプロモーション(JRP)も「チャンピオンを決定する可能性もある大会」としています。では、王座が富士で決まるのはどんなときで、決まらないのはどんなときか。この記事では、公表されている得点の仕組みからその境目を計算例で整理し、あわせて今回の大会の日程・チケット・催しをまとめます。
【追記 2026年10月14日】富士の2レースが終わり、王座は最終大会の鈴鹿(11月20日〜22日)へ持ち越しになりました。結果と鈴鹿の見どころはこちらの記事で整理しています。
富士で決まるかどうかの目安は「46点」
先に結論から書きます。富士の2レースが終わった時点で、太田選手と2位以下の全員との差が46点を上回っていれば、最終大会の鈴鹿を待たずに太田選手のチャンピオンが決まる計算です。46点は、最終大会・鈴鹿の2レースで1人のドライバーが取れる最大の点数(後述の仮定による)にあたります。
いまの岩佐歩夢選手との差は45.5点。つまり、富士の週末で太田選手が岩佐選手との差をあと1点でも広げられるかどうかが、最初の分かれ目になります。
45.5点という大差は、それでも「あと1週末」で消えうる差でもあります。
第8戦終了時点のランキング
| 順位 | ドライバー | チーム | ポイント | 首位との差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 太田格之進 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 105 | — |
| 2 | 岩佐歩夢 | TEAM MUGEN AUTOBACS | 59.5 | 45.5 |
| 3 | 福住仁嶺 | NTT docomo Business ROOKIE | 58 | 47 |
| 4 | イゴール・オオムラ・フラガ | PONOS NAKAJIMA RACING | 51 | 54 |
| 5 | 牧野任祐 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 41 | 64 |
※ポイントはSUPER FORMULA公式サイトおよびauto sport webの第8戦(8月9日・スポーツランドSUGO)終了時点のランキングより。「首位との差」は松ニュースによる計算。
2026年は4月の開幕から8月の第8戦SUGOまでを消化し、残りは10月の富士(第9戦・第10戦)と11月20日〜22日の鈴鹿(第11戦・第12戦)の計4レースです。当初4月に予定されていたオートポリスの第3戦は開催されず、7月の富士大会が3レース制で行われました。
太田選手は、その7月の富士大会で3レース中2勝。今回と同じ富士スピードウェイを得意にしていることも、「富士で決まるかも」と言われる理由の一つです。
なぜ46点なのか:1レースで取れる点数から考える
スーパーフォーミュラでは、決勝の順位に応じた点数に加えて、予選の上位3人にも点数が付きます。公表されている2026年の配点は次のとおりです。
| 決勝の順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 点数 | 20 | 15 | 11 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
※決勝のレース距離が150km以上の場合の配点。これとは別に、予選1位に3点、2位に2点、3位に1点が付きます。
ここで、1レースあたりの最大は「予選1位の3点+優勝の20点=23点」と仮定します。鈴鹿は2レースなので、1人が取れる最大は23点×2=46点。富士が終わった時点で46点を超える差がついていれば、2位以下の誰かが鈴鹿で2戦とも予選1位・優勝をそろえても、もう追いつけません。差がちょうど46点の場合は同点の可能性が残るため、ここでは「46点を上回る差」を決定の目安としています。
同じ考え方で、富士と鈴鹿を合わせた残り4レースの最大は92点。ランキング5位の牧野選手まで64点差なので、計算の上では上位5人全員にまだチャンピオンの可能性があります。
※ここでの「最大23点」は、決勝が150km以上で行われ、予選の得点が各レースに付くと仮定した計算です。天候によるレースの短縮などがあると実際の得点は変わります。正式な規定と結果は、主催者の発表で確認してください。
どんな結果なら決まる? 4つの計算例
実際にどうなれば決まるのか、富士の2レースの結果をいくつか仮定して計算してみます。分かりやすくするため、予選の得点は入れずに決勝の点数だけで計算しています。
| 仮定した富士の結果 | 太田選手の得点 | ライバルの得点 | 富士の後の差 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| A:太田選手が2連勝、岩佐選手は2戦とも2位 | 40 | 岩佐30 | 岩佐と55.5 | 富士で決定(他の選手も同程度以下なら) |
| B:太田選手が2戦とも2位、岩佐選手は2戦とも3位、フラガ選手が2連勝 | 30 | 岩佐22/フラガ40 | 岩佐と53.5/フラガと44 | 鈴鹿へ持ち越し |
| C:太田選手が2戦とも4位、岩佐選手が優勝と3位 | 16 | 岩佐31 | 岩佐と30.5 | 鈴鹿へ持ち越し |
| D:岩佐選手が2戦とも予選1位・優勝、太田選手は無得点 | 0 | 岩佐46 | 岩佐が0.5点リード | 順位が入れ替わって鈴鹿へ |
※いずれも結果を仮定した計算例で、予想ではありません(Dのみ予選の得点を含む)。差は第8戦終了時点の点差(岩佐選手45.5点、フラガ選手54点)に、富士での得点の差を足し引きしたもの。
Dの例が示すとおり、45.5点という差は「1つの週末に取りうる最大の点数」とほとんど同じ大きさです。独走とはいえ、富士で太田選手がつまずき、ライバルが完璧な週末を送れば、ランキングの順番は入れ替わります。
「45点も差があるなら、もう決まりでは?」と思った人へ
数字だけ見ると、優勝2回分(40点)を超える差です。それでも富士での決定が確実と言えないのには、2つの理由があります。
一つは、比べる相手が岩佐選手1人ではないことです。計算例Bでは、太田選手は2戦とも2位に入って岩佐選手との差を広げているのに、フラガ選手が2連勝したことで、フラガ選手との差が46点を下回り、決定は鈴鹿に持ち越されます。富士で決めるには、2位の選手だけでなく、2位以下の全員に対して差を保つ必要があります。3位の福住選手との差は47点なので、富士の2レースで福住選手に1点でも差を縮められれば、それだけで「46点を上回る差」の条件から外れます。
もう一つは、スーパーフォーミュラが1レースの結果で点数が大きく動くシリーズだということです。第8戦SUGOでは、7番手スタートの福住選手が、レース中盤のセーフティカー導入をきっかけに優勝しました。予選の速さだけでなく、ピットインのタイミングひとつで順位が入れ替わります。
実際、昨季(2025年)は最終大会の鈴鹿まで複数のドライバーがチャンピオンを争い、最終戦をポール・トゥ・ウインで制した岩佐選手が逆転で初の王座を手にしました。今季の岩佐選手は、その「追う側から勝ち切った」経験を持つ前年王者として、富士に乗り込みます。
3人の立ち位置
- 太田格之進選手(105点):7月の富士大会で3戦2勝。第8戦SUGOでも4位に入り、点数を積み上げています。富士で決めるには、ライバル全員に対して差を広げる、少なくとも縮めないことが条件です。
- 岩佐歩夢選手(59.5点):2025年のチャンピオン。第8戦SUGOは2位。富士で太田選手との差を縮めれば、最終大会での再逆転が現実味を帯びます。
- 福住仁嶺選手(58点):第8戦SUGOで今季2勝目。岩佐選手とはわずか1.5点差で、2位争いそのものも混戦です。
つまり、富士の週末は「太田選手が決めるか」と同時に、「誰が鈴鹿で太田選手を追う立場に残るか」が決まる週末でもあります。
大会の日程とチケット
今回の富士大会は、1日に1レースずつ行う形式です。どちらの日にも予選と決勝があります。
| 日付 | 主な内容 |
|---|---|
| 10月9日(金) | フリー走行 |
| 10月10日(土) | 第9戦 予選・決勝 |
| 10月11日(日) | 第10戦 予選・決勝、決勝後にAFTER RACE PARTY |
富士で王座が決まるとすれば、決まる可能性があるのは土曜の第9戦の後ではなく、2レースを終えた日曜の第10戦の後です。土曜の第9戦は「決定に向けて差がどう動くか」、日曜の第10戦は「決まるかどうか」を見るレース、と考えると流れがつかみやすくなります。
| チケット | 価格 | 対象・内容 |
|---|---|---|
| 観戦券(大人) | 6,800円 | 3日間有効 |
| ファミリー特別優待券 | 3,400円 | 中学生以下の子どもを同伴する大人。3日間有効・観戦料込み |
| U-25半額パス | 3,400円 | 高校生以上25歳以下。3日間有効・観戦料込み |
| AFTER RACE PARTY参加券 | 3,000円 | 10月11日の第10戦決勝後、イベント広場で開催。1,000円分の飲食券込み |
※JRPおよび富士スピードウェイの発表(2026年9月18日・10月2日)より。富士スピードウェイの案内では、中学生以下は保護者同伴で観戦無料。駐車券とキャンプスペースは先着順の販売で、なくなり次第終了です。最新の販売状況は公式サイトで確認してください。
ファミリー特別優待券とU-25半額パスは、通常6,800円の観戦券が半額になる計算です。家族4人(大人2人・子ども2人)で行く場合、大人2人分が6,800円×2=13,600円から3,400円×2=6,800円になり、子どもは無料なので、観戦料は合計6,800円です(駐車券などは別)。
レース以外の催し
10月のハロウィン時期に合わせ、今回の大会では「ハロウィン仮装バトル」などの催しが予定されています。週末のゲスト解説には、スーパーフォーミュラの前身時代からチャンピオン経験を持つ本山哲さんが登場します。また、2027年春にフジテレビで放送予定の、スーパーフォーミュラを舞台にした連続ドラマの撮影も、この富士大会で行われると報じられています。
どう見る? 観戦スタイル別の楽しみ方
- 王座決定の瞬間を見たい人:決まるとすれば日曜・第10戦の後です。ただし土曜の第9戦の結果次第で、日曜を待たずに「富士では決まらない」ことがほぼ見えてくる場合もあります。土曜の結果を見て、日曜の差がどう動けば決まるのかを確認しておくと、日曜のレースが何倍も面白くなります。
- 家族で行く人:ファミリー特別優待券で大人の観戦券が半額になり、中学生以下は無料。仮装バトルなどレース以外の催しもあるので、レースの合間の時間も過ごしやすい週末です。
- 25歳以下の人:U-25半額パスで3日間3,400円。金曜のフリー走行から通しで見られるので、マシンやチームの動きを最初から追えます。
- 現地に行けない人:この記事の表のランキングと「46点」の目安を手元に置いておけば、結果のニュースを見ただけで、王座が決まったのか、鈴鹿に持ち越しになったのかを自分で判断できます。
富士スピードウェイへ車で向かう場合は、首都圏から1〜2時間のドライブになる人も多いはずです。行楽シーズンの3連休にあたるため、道路の混雑も見込んで、時間に余裕を持った計画を立てておくと安心です。長めの運転になる人は、長距離ドライブの休憩の目安もあわせて確認しておくと、帰り道まで集中を保ちやすくなります。
45.5点差は、決まりかけた数字ではなく、1つの週末で動かせるぎりぎりの数字。富士の2日間は、その数字が「46」を越えるかどうかを見届ける週末です。
参考にした情報
- SUPER FORMULA公式サイト「2026年 第8戦 東北大会 チームの頭脳的な作戦で福住仁嶺が今季2勝目」(2026年8月9日) superformula.net
- SUPER FORMULA公式サイト「10.9(金)・10(土)・11(日) 2026 SUPER FORMULA 第9・10戦 富士スピードウェイ」(2026年9月18日) superformula.net
- SUPER FORMULA公式サイト「Rd.9・10富士イベント情報」(2026年10月2日)、「第9戦・第10戦のゲスト解説は本山哲に決定」(2026年9月29日)、「2027年春、SUPER FORMULAを舞台にフジテレビ連続ドラマ放送決定」(2026年9月25日) superformula.net
- auto sport web「【正式結果】2026スーパーフォーミュラ第8戦SUGO 決勝」 as-web.jp
- 富士スピードウェイ「年間王座をかけた秋の富士決戦!2026年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第9戦・第10戦」(PR TIMES、2026年10月2日) prtimes.jp
- 日本レースプロモーション「2026 SUPER FORMULA 第9・10戦 富士スピードウェイ」(PR TIMES、2026年9月18日) prtimes.jp
- Honda「2025年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第12戦 鈴鹿」(2025年11月23日) global.honda
- Wikipedia「2026年のスーパーフォーミュラ」(得点配分・カレンダーの確認用) ja.wikipedia.org

