
「ガソリン、ずっと170円くらいで止まっているけど、これっていつまで続くの?」――2026年10月5日時点のレギュラーガソリンの全国平均は1Lあたり170.2円。2週続けて170円ちょうど付近です。この値段は、国が毎週の補助金で「170円程度」に抑えている結果で、補助がなければ220円を超える計算になります。10月8日からは補助の単価も変わりました。いまの数字と仕組み、終わったときに家計にどれくらい響くのかを整理します。
いまの数字:店頭170.2円、補助がなければ220.9円
まず、2026年10月上旬の数字を並べます。
| 項目 | 金額(1Lあたり) | 時点 |
|---|---|---|
| レギュラーガソリン 全国平均 | 170.2円(前週から横ばい) | 10月5日 |
| ハイオク 全国平均 | 181.0円 | 10月5日 |
| 軽油 全国平均 | 159.6円 | 10月5日 |
| 補助の支給単価(10月1日〜7日) | 50.7円 | — |
| 補助の支給単価(10月8日以降) | 42.4円 | — |
| 補助がなかった場合のレギュラー(計算上) | 約220.9円 | 10月5日 |
※全国平均は資源エネルギー庁の石油製品価格調査(10月7日公表)を伝えたグーネットマガジンの報道、10月8日以降の支給単価は国の「燃料油価格定額引下げ」公式サイト、10月1日〜7日の単価は補助金ポータルの整理によります。補助がなかった場合の価格は「店頭の全国平均+その週の支給単価」で計算したもので(170.2+50.7)、国の資料でも9月28日時点の「補助なし価格」を221.2円(170.2+51.0)と示しています。都道府県別では沖縄県の180.0円が最も高く、宮城県の162.9円が最も安くなっています(10月5日時点)。
いま給油している170円のうち、1Lあたり約50円分は国が肩代わりしている、ということです。
どういう仕組み? 170円を超えた分を国が埋める
この補助は、正式には「中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」といいます。中東情勢の悪化で原油価格が急に上がったことを受けて、2026年3月19日の出荷分から始まりました。
仕組みはシンプルです。
- 目標は全国平均170円程度:補助がなければ全国平均が170円を超えそうなとき、その超える分を国が補助します。
- お金を受け取るのは石油元売り:補助金はガソリンスタンドや私たちではなく、石油元売りなどに支給され、卸値を下げることで店頭の価格に反映されます。だから給油する人が申請する必要はありません。
- 単価は毎週変わる:原油価格や為替の動きに合わせて、1Lあたりの補助額(支給単価)が毎週見直されます。2026年7月からは、月ごとの「調整単価」も上乗せされていて、10月分は3.7円です。
- ガソリン以外も対象:軽油・灯油・重油もガソリンと同じ単価、航空機燃料はそれより低い単価で補助されています。
ここで混同しやすいのが、2025年12月31日に廃止されたガソリンの「暫定税率」(1Lあたり25.1円)です。暫定税率の廃止は税金そのものを下げた話で、今回の補助とは別の制度です。報道でも、補助金が終わったからといって暫定税率が元に戻るわけではない、と説明されています。
「補助が8.3円減ったのに、値段は上がらないの?」
10月8日から、支給単価は50.7円から42.4円へと8.3円減りました。
「補助が減るなら、来週は8円くらい値上がりするの?」
そう心配になるかもしれませんが、この補助の仕組みでは、そう単純にはなりません。支給単価は「補助がなかったら何円になるか」と「170円」の差を埋める金額として決まるからです。
つまり、支給単価が減ったのは、国が補助を渋ったからではなく、補助がなかった場合の価格の見込み自体が下がった(原油価格や為替が落ち着いた)ことを意味します。補助が減っても、目標の170円程度は変わっていません。
支給単価は「ガソリンの値段」ではなく、「170円との差」の大きさです。単価が減るのは、むしろ元の値段が下がってきたサインです。
実際、店頭価格は毎週ほぼ170円台前半で推移している一方、支給単価は週によって大きく動いてきました。
| 適用期間(2026年) | ガソリンの支給単価(1Lあたり) |
|---|---|
| 3月19日〜25日(開始) | 30.2円 |
| 4月2日〜8日 | 49.8円 |
| 6月4日〜10日 | 33.3円 |
| 7月9日〜15日 | 2.8円(開始以降で最も低い) |
| 8月20日〜26日 | 26.0円 |
| 9月17日〜30日 | 51.0円(これまでで最も高い) |
| 10月1日〜7日 | 50.7円 |
| 10月8日〜 | 42.4円 |
※補助金ポータルの整理から主な週を抜き出したもので、6〜8月の値は別の補助金情報サイト(助成金インサイト)の記録と一致することを確認しています。10月8日以降は国の公式サイトで確認しました。
7月には補助がわずか2.8円まで減りましたが、9月には51円まで戻っています。原油価格の動き次第で、補助の大きさは数週間で10倍以上も変わる、ということです。
補助がなかったら、家計ではいくら違う?
1Lあたり約50円と聞いてもピンとこないかもしれません。1か月に入れる量ごとに、補助がどれくらいの金額になっているかを計算してみます。
| 1か月の給油量 | 想定する使い方 | 補助の分(1か月) | 1年に直すと |
|---|---|---|---|
| 30L | 週末の買い物・送り迎え中心 | 約1,500円 | 約1万8,000円 |
| 50L | 毎日の通勤に使う | 約2,500円 | 約3万円 |
| 80L | 長距離通勤・仕事で毎日走る | 約4,100円 | 約4万9,000円 |
※1Lあたり50.7円(10月1日〜7日の支給単価)の補助が、同じ額のまま1年続いたと仮定した編集部の単純な計算例です(30×50.7=1,521円、×12=18,252円/50×50.7=2,535円、×12=30,420円/80×50.7=4,056円、×12=48,672円)。実際の補助額は毎週変わり、店頭価格も地域や店によって違います。
灯油も同じ単価の補助を受けています。冬に18Lのポリタンクで買う家庭なら、1缶あたり約900円(18×50.7≒913円)分を補助が支えている計算です。暖房に灯油を使う地域では、ガソリンと合わせた影響はさらに大きくなります。
いつまで続く? 決まっていることと、決まっていないこと
いちばん気になる「いつまで」については、2026年10月8日時点で終了日は発表されていません。分かっていることと、まだ分からないことを分けておきます。
| 決まっていること | まだ決まっていないこと |
|---|---|
| 170円程度に抑える目標で、補助を続けている | いつ終わるのか(終了日の発表はない) |
| 2026年9月1日、予備費6,160億円の支出を閣議決定。経済産業省は10月末までの必要経費をまかなえると説明(日本経済新聞) | 11月以降の財源をどうするか |
| 財源の予備費は、中東情勢などに対応するために2026年度補正予算で用意した2兆5,000億円の枠 | 終わるときに一気にやめるのか、少しずつ減らすのか |
| ガソリンの暫定税率は2025年12月31日に廃止済みで、補助とは別の制度 | 目標の170円が見直されるかどうか |
なお、2026年7月には目標を175円に引き上げる案が政府内で出ていると報じられましたが、10月8日時点で正式な決定は確認できませんでした。
過去の例を見ると、2022年から続いた補助では、終わりに向けて補助を少しずつ減らした時期がありました。ただし、今回も同じやり方になるかは分かりません。「いつ終わるか」は、原油価格と国の判断しだいで、現時点では誰にも言い切れません。
一つ言えるのは、補助の仕組み上、原油価格が下がって「補助がなくても170円以下」になれば、支給単価は自然に0円になるということです。補助の終わり方には、国が決めて終える場合と、原油が下がって自然に要らなくなる場合の2通りがあります。
給油する側は、いま何を気にすればいい?
補助で価格がほぼ一定に保たれている間は、「来週まで待てば安くなる」「今週のうちに満タンにしておく」といった、週単位の駆け引きの効果は小さくなります。店頭価格の差を生むのは、むしろ地域と店の違いです。セルフとフルサービスでどれくらい違うのかは、セルフとフルサービス、結局どっちが得?で整理しています。
注意したいのは、補助の終了や縮小が発表されたときです。発表のあと、ガソリンスタンドに車が集中することがあります。補助の終わりに備えるつもりで慌てて満タンにするより、ふだんから「半分になったら入れる」習慣にしておくほうが、値上がりの直前にも災害のときにも困りにくくなります。この考え方は災害に備えて、ガソリンは半分になったら入れる?でも紹介しています。
車を毎日使う人
上の表のとおり、補助がなくなると年に3万〜5万円ほど負担が増える可能性があります。補助がある今のうちに、燃費を落とす原因(空気圧の不足、不要な荷物、長いアイドリング)を減らしておくことが、終わったときの備えになります。
ハイオク車に乗っている人
ハイオクにもガソリンとして同じ単価の補助が出ているため、補助が終われば同じように1Lあたり数十円上がる可能性があります。ハイオク指定の車にレギュラーを入れて節約しようとするのはおすすめできません。理由はガソリンの入れ間違い、実際どうなる?で詳しく書いています。
冬に灯油も使う家庭
灯油も同じ補助の対象です。これから寒くなる季節は、ガソリンと灯油の両方で補助の影響を受けます。補助の終了が発表されたら、ガソリンだけでなく灯油の買い方も見直す必要が出てきます。
170円という数字は、ガソリンの本当の値段ではなく、国が毎週引いている「線」です。線が引かれている今は、値段を気にせず給油できます。ただ、その線がいつか消える日に備えて、本当の値段――いまなら1Lあたり220円前後――を一度は頭に入れておくと、ニュースが流れたときに慌てずに済みます。
情報源
- 燃料油価格定額引下げ 公式サイト(支給単価・措置の概要) nenryo-teigakuhikisage.go.jp
- 燃料油価格定額引下げ「ガソリン全国平均価格の推移」(9月28日時点の補助なし価格221.2円) nenryo-teigakuhikisage.go.jp
- 資源エネルギー庁「中東情勢を踏まえた燃料油の『緊急的激変緩和措置』」 enecho.meti.go.jp
- グーネットマガジン「【26’ 10/5最新】レギュラーガソリン平均価格170.2円、前週から変わらず」 goo-net.com
- 日本経済新聞「ガソリン補助継続に6160億円 予備費の支出を閣議決定」(2026年9月1日) nikkei.com
- 補助金ポータル「ガソリン補助金はいつまで続く?」(支給単価の推移) hojyokin-portal.jp
- JAF Mate「ガソリンや軽油の補助金、2023年6月から減額 2023年9月末には終了へ」(過去の補助の段階的な縮小) jafmate.jp
- 助成金インサイト「ガソリン補助金はいつまで続く?週ごとの単価推移と終了条件」 joseikin-insight.com

