
「新しいCX-5、ディーゼルがなくなったって聞いたけど、それでも買う価値はあるの? グレードはどれを選べばいい?」——マツダのCX-5は、2026年5月21日に9年ぶりのフルモデルチェンジで3代目になりました。人気だったディーゼルをやめてガソリン1本にしたにもかかわらず、発売から約1か月で受注は1万台を超え、月間販売計画の5倍を上回っています。この記事では、新しいCX-5がどんな車なのかを先代と比べながら整理し、「なぜディーゼルなしでも売れているのか」と、受注の65%が最上級の「L」に集まっている理由、買う前に知っておきたい割り切りをまとめます。
ひとことで言うと:ひと回り大きくなって「後ろの席」が広がった、5人乗りのSUV
| 項目 | 新型(3代目) | 先代(2代目) |
|---|---|---|
| 発売 | 2026年5月21日 | 2017年(日本) |
| 全長×全幅 | 4,690×1,860mm | 4,575×1,845mm |
| 全高 | 1,695mm | — |
| ホイールベース | 2,815mm | 2,700mm |
| エンジン | 2.5Lガソリン+マイルドハイブリッド「Mハイブリッド」のみ | 2.0L・2.5Lガソリン、2.2Lディーゼルなど |
| 出力 | エンジン178PS・237N・m+モーター6.5PS・60.5N・m | — |
| 変速機 | 6速AT | — |
| WLTCモード燃費 | FF 15.2km/L、4WD 14.2km/L | — |
| 荷室容量 | 466L(5人乗車時) | — |
| 最小回転半径 | 5.6m | — |
| 価格 | 330万円〜430万6,500円(税込) | — |
※新型の数値はwebCG・Car Watch・くるまのニュースの発売時の記事で一致したもの。先代の全長・全幅・ホイールベースはWEB CARTOPの新旧比較表による。先代の項目のうち「—」は、この記事で比べる必要がない、または複数の資料で値を確かめられなかったもの。
初代CX-5は2012年に登場し、マツダの「顔」といえるSUVとして世界で売れてきました。3代目は、全長とホイールベースをどちらも115mm伸ばし、その長さのほとんどを室内、とくに後ろの席と荷室に回しています。
新しいCX-5をひとことで言うなら、「運転する人のための車」から「後ろに乗る家族のことも考えた車」に軸足を広げたSUVです。
そのほか、マツダとして初めてGoogleを搭載したインフォテインメント(ナビ・音楽・エアコン操作などをまとめた画面)を採用し、センターディスプレイはタッチパネル式の12.9インチ(Lは15.6インチ)になりました。先代までの「手元のダイヤルで操作する」スタイルから大きく変わった部分です。
ディーゼルがなくなったのに、なぜ計画の5倍も売れている?
先代のCX-5は、力強くて燃料代も抑えやすい2.2Lディーゼルが人気の中心でした。そのディーゼルをやめて、エンジンを2.5Lガソリンのマイルドハイブリッド1種類に絞ったのが3代目です。
「売れ筋をなくしたら、売れなくなるのでは?」と考えるのが自然ですが、結果は反対でした。マツダの発表では、5月21日の発売から6月21日までの国内受注は1万台超え。月間販売計画は2,000台なので、1か月で5か月分以上の注文が入ったことになります。
この数字を読み解くヒントは、同じ発表に載っている買った人の声です。マツダが紹介している評価は、次のようなものでした。
- 後部座席の空間が広くなり快適になった
- 車中泊も視野に入れられる
- ドアの開口部が広く、チャイルドシートの乗せおろしが楽になった
- 大型ディスプレイと最新の操作系で、車内の時間が快適になった
どれもエンジンの話ではありません。新しいCX-5が選ばれている理由は、エンジンの種類より「後ろの席と荷室」と「画面」にあると読むのが自然です。
では、なぜディーゼルをやめたのか。マツダがニュースリリースなどで理由を詳しく説明した資料は、確認できた範囲では見当たりませんでした。手がかりになるのは、ベストカーWebに掲載された渡辺陽一郎氏のコラムです。
- 日本ではCX-5のディーゼル比率が50〜60%に達していたが、CX-5の世界販売に占める日本の割合は約10%。世界全体で見ると、ディーゼルは少数派だった
- マツダ関係者の話として、欧州の新しい排出ガスの基準「ユーロ7」はかなり厳しく、ディーゼルで対応するのは難しい
- 2.2Lディーゼルは技術的には対応できても、開発にかかる費用と売れる台数のつり合いが取れない
つまり、日本では売れ筋でも、世界で売る車としてはエンジンを絞ったほうが合理的だった、というのがこのコラムの見立てです。なお、CX-60やCX-80に積まれている3.3Lの6気筒ディーゼルは引き続き販売されています。
どれくらい広くなった? 先代との数字の差
「後ろが広くなった」と言われても、実感しにくいかもしれません。WEB CARTOPに掲載された中谷明彦氏の試乗記の新旧比較から、乗る人と荷物に関わる数字を抜き出すと、次のとおりです。
| 項目 | 先代 | 新型 | 差 |
|---|---|---|---|
| 後席のひざ前の余裕(ニークリアランス) | 67mm | 131mm | +64mm(約2倍) |
| 後席の頭上の余裕(ヘッドクリアランス) | 991mm | 1,020mm | +29mm |
| 後ろのドアの開口部の高さ | 779mm | 816mm | +37mm |
| 後ろのドアの開口部の前後の長さ | 750mm | 825mm | +75mm |
| 荷室の奥行き(後席を使うとき) | 949mm | 994mm | +45mm |
| 荷室の奥行き(後席を倒したとき) | 1,751mm | 1,845mm | +94mm |
| 荷室の入口の地面からの高さ | 745mm | 727mm | −18mm(低くなった) |
※WEB CARTOP(2026年5月23日、中谷明彦氏の試乗記)の新旧比較表による。ひざ前64mm・頭上29mmの拡大はマツダの海外向け資料、荷室の入口が18mm低くなったことはCar Watchの記事でも一致。差は編集部で計算。
いちばん大きいのは、後席のひざ前の余裕が67mmから131mmへ、ほぼ2倍になったことです。64mmは、大人の握りこぶしひとつ分くらいの差。後ろに座ったとき、前の座席の背中にひざが近い感覚が、ひと目で分かるほど変わる数字です。
荷室は466L(5人乗車時)で、Car Watchによるとゴルフバッグなら4つ、スーツケースなら4つが入り、後席を使ったままベビーカーを縦に置ける奥行きがあります。後席の背もたれは4:2:4の3分割で倒せるので、真ん中だけを倒して長い荷物を通す使い方もできます。後席を倒したときの奥行きは1,845mmで、「車中泊も視野に入れられる」という声が出るのもこの数字があるからです。
グレードは3つ。受注の65%が最上級の「L」
| グレード | FF | 4WD | 主な違い | 受注構成比 |
|---|---|---|---|---|
| S | 330万円 | 353万6,500円 | 17インチホイール、布(クロス)シート、12.9インチ画面、ルーフレールなし | 3% |
| G | 352万円 | 375万6,500円 | 19インチホイール、合成皮革とスエード調のシート、ヘッドアップディスプレイ | 32% |
| L | 407万円 | 430万6,500円 | 15.6インチ画面、本革シート、BOSEのスピーカー(12個)、パノラマサンルーフをオプションで選べる | 65% |
※価格(税込)はwebCG・Car Watch・WEB CARTOPで一致。主な違いはwebCG・くるまのニュースの記事による(すべての装備差ではありません)。受注構成比はマツダの発表(2026年6月23日、発売から6月21日までの受注)による。360度ビューモニターは全グレードに標準装備。
受注のうち、Lが65%、Gが32%、いちばん安いSは3%。1万台で考えると、Sを選んだ人は300台ほどという計算になります。
いちばん安いSが、なぜ3%しか選ばれない?
「ふつうは安いグレードがいちばん売れるのでは?」と思うところですが、価格表を見ると理由が見えてきます。SとGの差は22万円しかありません。
22万円で、ホイールが17インチから19インチになり、シートが布から合成皮革とスエード調になり、フロントガラスに速度などを映すヘッドアップディスプレイが付きます。5年乗るとすると、22万円は1か月あたり約3,700円の差です。新しく買う車の見た目と毎日の使い心地にこの金額なら、Gを選ぶ人が多いのは自然です。
反対に、GとLの差は55万円あります(5年で割ると1か月あたり約9,200円)。それでもLが過半数を占めているのは、15.6インチの大きな画面と本革シート、BOSEのオーディオという「乗るたびに目に入る・耳に入る部分」が、今回のCX-5の魅力の中心だからだと考えられます。マツダによると、Lのうち約4割は「スポーツタン」という明るい茶色の内装が選ばれています。
| グレードの差 | 価格差 | 5年(60か月)で割ると |
|---|---|---|
| S → G | 22万円 | 1か月あたり約3,700円 |
| G → L | 55万円 | 1か月あたり約9,200円 |
| FF → 4WD(どのグレードも同じ) | 23万6,500円 | 1か月あたり約3,900円 |
※価格差を60か月で割っただけの単純な計算例です(例:220,000÷60≒3,667円、550,000÷60≒9,167円、236,500÷60≒3,942円)。ローンの金利や、売るときの価格の差は含んでいません。
ただし、「高いグレードほど乗り心地もいい」とは限りません。中谷明彦氏は試乗記で、SとGは乗り味のしなやかさが際立ち、Lは装備や質感が高い一方で乗り味はやや硬めだと評価しています。19インチのGとLでも感じ方は分かれるので、乗り心地を重視する人は、グレードを決める前に試乗で比べておきたいところです。
FFか4WDか:燃料代の差は年に8,000円ほど
どのグレードにもFF(前輪駆動)と4WDがあり、4WDは一律で23万6,500円高くなります。燃費はFFが15.2km/L、4WDが14.2km/Lです。
| 年間走行距離 | FF(15.2km/L) | 4WD(14.2km/L) | 1年の差 |
|---|---|---|---|
| 5,000km | 約5.6万円 | 約6.0万円 | 約4,000円 |
| 10,000km | 約11.2万円 | 約12.0万円 | 約7,900円 |
| 15,000km | 約16.8万円 | 約18.0万円 | 約1.2万円 |
※レギュラーガソリン1L=170円、WLTCモード燃費どおりに走ったと仮定した単純な計算例です(例:10,000km÷15.2≒657.9L×170≒111,842円、10,000km÷14.2≒704.2L×170≒119,718円、差≒7,876円)。実際の燃費は走り方・季節・道路状況で変わり、ガソリン価格も時期によって変わります。
4WDを選ぶかどうかは、燃料代より住んでいる場所と行き先で決まります。雪の多い地域や、冬にスキー場へ通う人なら、価格差と燃料代の差を払ってでも4WDを選ぶ理由があります。中谷氏の試乗記では、FFと4WDのハンドリングの差は小さくなっていると評価されています。雪道を走らない人にとっては、FFで十分という判断もできます。
ハイブリッドは「待つべき」?
CX-5には、マツダが自社で開発するハイブリッドの追加も予定されています。マツダは2025年の経営方針の中で、新しいエンジン「SKYACTIV-Z」と自社開発のハイブリッドシステムを組み合わせ、次期CX-5から導入する計画を示しており、報道では時期は2027年(年度)中とされています。
ただし、日本でいつ発売されるのか、価格や燃費がどうなるのかは、まだ発表されていません。今のMハイブリッドは、モーターが6.5PSとエンジンを手助けする小さなもので、モーターだけで走るタイプのハイブリッドとは別物です。
「ハイブリッドが出るまで待つか」は、今の車をいつまで乗れるかで決まります。まだ1〜2年は今の車に乗れるなら情報を待つ手もありますが、出てくる時期も価格も分からないものを待つ間に、今の車の修理やメンテナンスの費用がかさむこともあります。
買う前に知っておきたい割り切り
- 全幅1,860mm。先代より15mm広くなりました。機械式駐車場には全幅1,850mmまでとしているところもあるため、自宅や職場の駐車場に入るかは最初に確かめておきたいポイントです。全高も1,695mmあり、高さ1.55m前後までの機械式駐車場には入りません。
- ディーゼルはない。先代のディーゼルから乗り換える人は、燃料が軽油からレギュラーガソリンに変わり、燃費の数字も変わります。力強さの感じ方も変わるので、試乗で確かめておくと安心です。
- 燃費は「ハイブリッド車並み」ではない。マイルドハイブリッドなので、WLTCモードで15.2km/L(FF)。同じクラスのモーターで走るハイブリッドSUVと比べると、燃費の数字は控えめです。
- 操作は画面が中心。大きなタッチパネルとGoogleの音声操作が中心になり、先代の手元のダイヤル操作に慣れた人は、最初に戸惑うかもしれません。
- Sは見た目が控えめ。17インチホイールでルーフレールもなく、写真やカタログで見るCX-5の印象とは少し違います。ただし、360度ビューモニターなどの安全装備は全グレードで共通です。
- 車両重量は1.6〜1.7t台。Car Watchによると、FFで1,640〜1,670kg、4WDで1,710〜1,740kg。19インチを履くGとLは、冬タイヤの費用も大きめに見込んでおきたいところです。
自分に当てはめると
先代のディーゼルから乗り換えを考えている人
いちばん気になるのは、エンジンの力強さと燃料代でしょう。ガソリンになって燃料の単価は上がりますが、後席の広さや画面まわりは大きく進化しています。今の車の調子がよく、まだ乗り続けられるなら、ハイブリッドの情報が出るのを待つ選択もあります。乗り換えるなら、必ずディーゼルとの違いを試乗で確かめてから決めたいところです。
小さな子どもがいて、チャイルドシートを使う家族
今回のCX-5がいちばん合う人です。後ろのドアの開口部が前後に75mm広がり、ひざ前の余裕も約2倍になったので、チャイルドシートの乗せおろしや、後ろに座る家族の快適さが大きく変わります。ベビーカーを縦に積める荷室も、毎日の使い勝手に効いてきます。
雪国に住んでいる、または冬にスキーへ通う人
4WDを選ぶ理由がはっきりある使い方です。FFとの燃料代の差は年に数千円から1万円あまりの計算なので、雪道での安心感と比べて判断できます。全グレード四駆で地上高の高いSUVと比べたいなら、スバルのフォレスターも候補に入ります。
価格を抑えつつ、見た目と快適さもほしい人
受注の数字が示すとおり、Gが「ちょうどいい」選択肢です。Sとの差は22万円で、19インチホイールやヘッドアップディスプレイが付き、乗り味のしなやかさも評価されています。燃料代を抑えたい、もうひと回り小さいサイズでいいという人は、カローラクロスのようなハイブリッドのSUVと比べてみるのもひとつの方法です。
エンジンを1つに絞って、空間を広げたCX-5
新しいCX-5は、人気のディーゼルを手放した代わりに、後ろの席と荷室、画面まわりを大きく変えた車です。発売1か月で計画の5倍の注文が集まったのは、その割り切りを多くの人が受け入れたということでもあります。
カタログでエンジンの欄を見る前に、ふだん後ろの席に誰が座っているかを思い浮かべてみてください。そこに家族の顔が浮かぶなら、新しいCX-5は試乗してみる価値のある1台です。
情報源
- マツダ ニュースリリース「『MAZDA CX-5』の受注が好調 -発売後約1ヵ月時点での累計受注台数が10,000台超え-」(2026年6月23日) newsroom.mazda.com
- webCG「マツダが3代目となる新型『CX-5』を発売 価格は330万円から」 webcg.net
- Car Watch(新型CX-5 発売の記事) car.watch.impress.co.jp
- Car Watch(新型CX-5 受注1万台超えの記事、2026年6月23日) car.watch.impress.co.jp
- WEB CARTOP(中谷明彦氏による新型CX-5の試乗記、2026年5月23日) webcartop.jp
- くるまのニュース(新型CX-5の最安グレード「S」の紹介、2026年5月30日) kuruma-news.jp
- ベストカーWeb「新型CX-5はディーゼルなしでも魅力十分? e-SKYACTIV G 2.5一本勝負の狙い」(2026年6月11日) bestcarweb.jp
- ベストカーWeb「なぜ新型CX-5にディーゼルエンジンは搭載されないのか?」 bestcarweb.jp
- Mazda Media Packs(All-New Mazda CX-5 インテリア、英語) mazdamediapacks.com

