
「パンダって、あの小さくて四角いフィアットのこと?」――名前は同じでも、今回日本に来るのは一回り大きいコンパクトSUVです。ステランティスジャパンは2026年10月16日、フィアットの新型「グランデ パンダ ハイブリッド」を発表しました。発売は11月7日、価格は369万円からです。この記事では、公式発表と複数の報道を突き合わせて、決まったことと、2つのグレードの40万円の差で何が変わるのか、燃費の数字の読み方を整理します。
決まったこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表/発売 | 2026年10月16日発表/11月7日発売(全国のフィアット正規ディーラー) |
| 価格(税込) | 369万円〜420万円 |
| グレード | ICON(アイコン)/La Prima(ラプリマ)の2つ |
| パワートレーン | 1.2L 直列3気筒ガソリンターボ+モーター(15kW)の48Vマイルドハイブリッド、6速DCT |
| システム最高出力 | 110PS |
| 燃費(WLTCモード) | 20.8km/L(両グレード共通) |
| 大きさ | 全長4,010mm × 全幅1,765mm × 全高1,630mm(La Prima)、ホイールベース2,540mm |
| 荷室 | 通常412L、後席を倒すと最大1,366L |
| 駆動方式・ハンドル | FF(前輪駆動)・右ハンドル、5人乗り |
| 燃料・タンク | 無鉛プレミアム(ハイオク)・44L |
※発表日・発売日・価格・寸法・荷室・燃費はステランティスジャパンの公式発表(2026年10月16日)で確認し、Car Watch・マイナビニュース・AUTOSPECの記事とも一致。システム出力110PSと6速DCTは公式発表とCar Watch、駆動方式・燃料・タンク容量・定員はトランスカーウェブの記事(諸元)により、右ハンドルはAUTOSPECの記事とも一致。
パワートレーンは日本ではこのマイルドハイブリッドの1種類だけで、四輪駆動もありません。選ぶのは実質、グレードとボディカラーの2つです。
価格は「グレード」と「色」で6通り
| グレード | ジェラート ホワイト | ほかの3色 |
|---|---|---|
| ICON | 369万円 | 374万5,000円 |
| La Prima | 409万円 | 414万5,000円 |
| La Prima ウィンターパッケージ | 414万5,000円 | 420万円 |
※メーカー希望小売価格(税込)。ステランティスジャパン公式発表による。ほかの3色はリモーネ イエロー、アクア アジュール、チネマ ブラック。登録などの諸費用は含みません。
白以外の色は、どのグレードでも5万5,000円高くなります。ウィンターパッケージも同じ5万5,000円で、前席のシートヒーター、ハンドルのヒーター、熱線入りのフロントガラスがまとめて付きます(AUTOSPEC・トランスカーウェブの記事で一致)。ウィンターパッケージはLa Primaだけに用意されています。
もう1つ注意したいのは、いちばん安いICONが受注生産だと案内されている点です(Car Watch、AUTOSPECの記事で一致)。販売店に在庫が並ぶ前提のグレードではないので、369万円の仕様を選ぶなら、納車までの時間を販売店で確認しておくと安心です。
40万円の差で付くもの
ICONとLa Primaの差は40万円です。報道で確認できた装備の違いをまとめると、次のようになります。
| 項目 | ICON(369万円〜) | La Prima(409万円〜) |
|---|---|---|
| ホイール・タイヤ | 16インチ スチール(205/60R16) | 17インチ アルミ(205/55R17) |
| エアコン | マニュアル | オート |
| バックカメラ | ― | あり |
| 駐車用センサー | 後ろのみ | 前と後ろ |
| ルーフレール | ― | あり |
| スマホのワイヤレス充電 | ― | あり |
| ダッシュボード | ― | 竹の繊維を約33%含む素材 |
| そのほか | ― | 雨を感知するワイパー、ヒーター付き電動格納ミラー、後席の濃い色のガラス、後席のUSB-C、エンジンのスタートボタンなど |
※ホイール・エアコン・バックカメラ・前のセンサー・ルーフレール・ワイヤレス充電はAUTOSPECとトランスカーウェブの記事で一致。竹の素材はステランティスジャパン公式発表、Car Watch、マイナビニュースで一致。「そのほか」はトランスカーウェブの記事による。装備の正確な扱いは、販売店の見積もりや公式の装備表で確かめてください。
見た目の違いはホイールとルーフレールですが、毎日の使い勝手に効くのはエアコンとバックカメラです。
40万円の差は、飾りよりも「毎日の手間を減らす装備」の差です。
特にバックカメラは、あとから付けようとすると、別に費用と手間がかかる装備です。ふだん狭い駐車場に停める人や、バックでの駐車が苦手な人は、価格だけでICONに決める前に、カメラなしで困らないかを考えておきたいところです。
「パンダ」なのに、大きい?
パンダという名前から、小さな車を思い浮かべる人は多いはずです。1980年に登場した初代パンダは、ジョルジェット・ジウジアーロ氏がデザインした、四角くて飾り気のない実用車でした。
今回の車の名前にある「グランデ」は、イタリア語で「大きい」という意味です。全長は4,010mmと、日本のコンパクトカーと同じくらいの長さですが、全幅は1,765mmあり、いわゆる3ナンバーのサイズです。全高はLa Primaで1,630mm、ルーフレールのないICONは1,585mmと伝えられています(トランスカーウェブの記事)。
古いタイプの機械式駐車場には、高さ1,550mm前後までの制限があるところが少なくありません。どちらのグレードもそれより高いので、マンションなどの機械式駐車場を使っている人は、契約している区画の制限を先に確かめておくと安心です。
大きくなった一方で、デザインは初代の考え方を引き継いでいると説明されています。フィアットの旧本社工場「リンゴット」の屋上にあった楕円形のテストコースを、画面のふちやヘッドレストの形に取り入れたり、上級グレードのダッシュボードに竹の繊維の素材を使ったりしています。竹を選んだのは「竹はパンダの食べ物だから」というユーモアから、と紹介されています(マイナビニュース)。
燃費20.8km/Lは、どんな道で出る数字か
公式の燃費(WLTCモード)は20.8km/Lです。ただ、道の種類ごとの数字を見ると、かなり差があります。
| 走り方(WLTCの内訳) | 燃費 | 総合を100とすると |
|---|---|---|
| 市街地 | 14.8km/L | 約71 |
| 郊外 | 24.1km/L | 約116 |
| 高速道路 | 22.8km/L | 約110 |
| 総合(WLTC) | 20.8km/L | 100 |
※各モードの数値はトランスカーウェブの記事(諸元)と、Yahoo!ニュースに配信された記事の要約で一致。「総合を100とすると」は、各モードの燃費を総合の20.8km/Lで割った単純な比較です。
「ハイブリッドなのに、街中がいちばん苦手なの?」と意外に思うかもしれません。
理由は、ハイブリッドの「強さ」の違いにあります。日本でよく見るトヨタやホンダのハイブリッドは、大きめのモーターと電池を積み、街中の低い速度ではモーターだけで走る時間が長いので、市街地の燃費が良く出やすい仕組みです。一方、グランデパンダの48Vマイルドハイブリッドは、モーターが15kWと小さく、モーターだけで走れるのは時速30km以下で最大約1kmまでと発表されています。発進や加速をモーターが手伝うのが主な役割で、止まったり走ったりを繰り返す街中では、エンジンが働く時間が長くなります。
グランデパンダは、街中よりも、信号の少ない郊外の道や高速道路で燃費が伸びる車です。
ハイブリッドの種類による燃費の出方の違いは、e-POWERとハイブリッドの違いの記事でも整理しています。
燃料代はどれくらい?
燃料はハイオク指定です。経済産業省が10月15日に発表した10月13日時点の全国平均は、ハイオクが1Lあたり181.0円、レギュラーが170.1円でした。この値を使って、年間8,000km走る場合を計算してみます。
| 走り方の想定 | 使う燃料(年間) | 燃料代(年間) | 満タン44Lで走れる距離 |
|---|---|---|---|
| 街中が中心(市街地モード14.8km/L) | 約540L | 約9.8万円 | 約650km |
| いろいろな道を走る(WLTC 20.8km/L) | 約385L | 約7.0万円 | 約915km |
| 郊外が中心(郊外モード24.1km/L) | 約332L | 約6.0万円 | 約1,060km |
※年間8,000km、ハイオク181.0円/L(経済産業省、2026年10月13日時点の全国平均)という仮定に基づく計算例です。満タンで走れる距離はタンク容量×燃費の単純計算で、実際にはタンクを空になるまで使い切ることはありません。実際の燃費や燃料代は、気温、道路、乗り方、燃料価格で変わります。
街中が中心か郊外が中心かで、同じ車でも年間の燃料代に4万円ほどの差が出る計算です。また、ハイオクとレギュラーの差(この時点で1Lあたり10.9円)は、WLTCの燃費で年間8,000km走った場合、約385L×10.9円で年に約4,200円分です。ハイオク指定だからといって、燃料代が大きくふくらむわけではありません。
同じフィアットの小型SUV「600ハイブリッド」は、WLTCモードで23.2km/Lと発表されています(ステランティスジャパン、2025年5月)。燃費だけで比べると600のほうが上ですが、グランデパンダは荷室412Lと、四角い形を生かした使い勝手を前に出しています。
まだ分からないこと
- アダプティブクルーズコントロール(前の車についていく機能)の有無。公式発表の安全装備の一覧には、自動ブレーキ、車線を保つ支援、自動で切り替わるハイビームなどが並びますが、この機能の記載は見当たりませんでした。高速道路をよく使う人は、販売店で確認しておきたい点です。
- ICONの納期。受注生産のため、注文から納車までの期間は販売店で確認が必要です。
- 画面の大きさ、スマホとの連携の詳細。中央の画面とデジタルメーターを備えるとされていますが、今回確認できた資料には大きさの記載がありませんでした。
11月7日の発売日から14日まではデビューフェアが開かれると伝えられています(レスポンス、cartuneの記事)。実車を見て確かめるなら、この時期が近道です。
どんな人に合う?
街乗り中心で、とにかく安く買いたい人
ICONの369万円は魅力ですが、バックカメラとオートエアコンが付かず、受注生産です。また、燃費の数字がいちばん伸びにくいのは街中です。燃料代の安さを重視するなら、国産のハイブリッド車とも並べて比べたほうが納得しやすいはずです。それでも「この形と色が好き」という気持ちが決め手なら、ICONでも十分に楽しめる車です。
郊外や高速道路をよく走る人
燃費がいちばん伸びるのは、この使い方です。満タン44Lで、計算上は900km前後走れます。長い距離を走るならLa Primaのオートエアコンも快適さに効いてきます。前の車についていく機能の有無だけは、事前に確かめておきましょう。
初めて輸入車を考えている人
右ハンドルで、全長も約4mと日本の道で扱いやすいサイズです。値段も輸入車としては手が届きやすいところに置かれています。同じステランティスのSUVでは、ジープの新型コンパスが520万円からなので、ひと回り下の選択肢になります。ハイオク指定であることと、近くに正規ディーラーがあるかどうかは、買う前に確かめておきたい点です。
雪の多い地域に住んでいる人
駆動方式はFFだけで、四輪駆動は選べません。雪道を走る機会が多いなら、スタッドレスタイヤの準備を前提に考えることになります。寒い地域なら、シートヒーターや熱線入りのフロントガラスが付くLa Primaのウィンターパッケージ(5万5,000円高)が候補です。
大きくなっても、パンダはパンダ
グランデパンダは、名前のとおり初代より大きくなり、SUVの形になりました。それでも、四角い形で荷物をたくさん積めることや、竹の素材に込めたユーモアなど、「人を助けるための道具」という初代の考え方を、今の大きさに合わせて作り直した車だと言えます。
選ぶときに大事なのは、グレードの40万円の差を、見た目ではなく「毎日の駐車と空調」の差として考えること。そして、燃費の数字は街中より郊外で伸びる、という性格を知っておくことです。
情報源
- ステランティスジャパン(毎日を、もっと “PANDASTIC” に フィアット 新型「FIAT Grande Panda Hybrid」日本上陸、2026年10月16日) stellantis.jp
- Car Watch(フィアット、新型コンパクトSUV「グランデ パンダ ハイブリッド」デビュー 価格は369万円から) car.watch.impress.co.jp
- マイナビニュース(フィアットの新型グランデパンダが日本上陸! 車内にパンダの好物を使用?、2026年10月16日) news.mynavi.jp
- レスポンス(フィアット『グランデパンダ』日本発売、価格は369万円から…初代の機能美を継承、2026年10月17日) response.jp
- トランスカーウェブ(フィアット新型グランデ パンダ HV日本発売、価格369万円から) transcarweb.com
- AUTOSPEC(グランデパンダ、ついに日本正式発表!国内仕様と価格) autospec.co.jp
- ステランティスジャパン(Fiat 600 Hybrid 発表資料、2025年5月27日) stellantis.jp
- 経済産業省 石油製品価格調査(2026年10月15日発表分、福井新聞・デイリースポーツの報道で確認) fukuishimbun.co.jp

