
「車は3月に買うと安いって聞くけど、本当?」——新車がいちばん売れるのは、たしかに3月です。ただ、納車まで数か月かかる車が増えた今、3月に販売店へ行っても、決算の条件に間に合わないことがあります。この記事では、自販連の月別の販売台数、販売の現場を取材した記事、自治体の税金の案内をもとに、新車を買う時期、軽自動車を買う日にち、今の車を売る時期を、それぞれ分けて整理します。
目的によって「良い時期」は違う
| やりたいこと | 目安になる時期 | 理由 |
|---|---|---|
| 新車を決算の条件で買いたい | 3月(9月)に登録できるよう、前の年末〜1月上旬に契約 | 決算の実績になるのは契約ではなく登録・納車 |
| 新車をゆっくり交渉して買いたい | 4月・10月、6月・11月、連休明け | 来店が減る時期で、接客や条件に余裕が出やすい |
| 軽自動車を買う | 4月2日以降の取得 | 4月1日の持ち主に1年分の軽自動車税がかかる |
| 今の車を売る | 1〜3月に需要が高まるとされるが、基本は「早いほど」 | 待つあいだに年式・走行距離で値が下がる |
※各項目の根拠は本文で説明します。時期はあくまで目安で、車種・地域・販売店によって変わります。
「何月が安いか」より先に決めたいのは、いつ契約して、いつ登録するかです。
3月は、1年でいちばん車が売れる月
まず、3月がなぜ「買い時」と言われるのかを数字で見てみます。
| 時期 | 新車販売台数(登録車+軽) |
|---|---|
| 2025年3月 | 49万9,734台 |
| 2025年12月 | 33万5,459台 |
| 2025年の1か月あたり平均 | 約38万台(年間456万5,777台÷12) |
| 2026年1月 | 36万7,720台 |
| 2026年2月 | 39万4,961台 |
| 2026年3月 | 49万628台 |
※日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計表(新車登録台数と軽四輪車新車販売台数の合計)、2025年12月と年間はMarkLines・nippon.comによる。平均は編集部の計算(4,565,777÷12≒380,481台)。
2025年の3月は、1か月あたり平均の約1.3倍売れています。2026年も、1月から3月にかけて約12万台増えました。
※499,734÷380,481≒1.31、490,628−367,720=122,908台(編集部の計算)。
日本の多くの販売店やメーカーは3月が決算で、目標の台数に届かせるために、値引きを増やしたり、オプションを付けたり、ローンの金利を下げたりする「決算フェア」を行います。9月の中間決算にも、同じようなフェアがあります。3月が買い時と言われてきたのは、この売る側の事情があるからです。
いちばん売れる月なのに、いちばん安く買えるとは限らない
ところが、販売の現場を取材した記事を読むと、「3月なら大きく値引きしてもらえる」とは言い切れなくなっています。理由は3つあります。
- 実績になるのは「登録」したとき。決算フェアの特典の多くは、決算の月のうちに登録(軽自動車は届け出)することが条件です。契約書にはんこを押しただけでは、販売店の実績になりません。
- 納車まで数か月かかる車が多い。以前は契約から1〜2か月で納車できる車が多かったのに対し、今は3〜6か月かかる車も少なくないと報じられています。3月に契約しても、登録は4月以降になってしまいます。
- 3月の販売店は忙しい。新車の納車だけでなく、点検や整備の入庫も集中します。一人ひとりの商談に時間をかけにくく、結果として大きな値引きが出にくいとされています。
※乗りものニュース(2025年3月5日)・ベストカーWeb(2024年11月15日)の記事による。
さらに、半導体不足で納期が長くなってからは、買いたい人のほうが多い「売り手市場」になり、販売店も無理な値引きより1台ごとの利益を大事にするようになった、という指摘もあります。
乗りものニュースの記事では、3月中に納車するには、前の年の年末に商談を始め、1月上旬までに契約する必要があるとしています。
3月の決算フェアを使いたいなら、販売店に行くのは3月ではなく、その前の年末です。
今(10月)から逆算すると、来年3月の登録を狙うなら、11〜12月に候補を絞って見積もりを取り、年内から1月上旬に契約する流れになります。ただし、納期が半年を超えるような人気車は、それでも3月に間に合わないことがあります。契約の前に「この車は何月に登録できそうか」を販売店に確かめるのが確実です。
3月以外の狙い目は、決算の直後と、お客さんが少ない月
乗りものニュースの記事では、3月を外した時期として、次のようなタイミングが紹介されています。
| 時期 | どんな時期か |
|---|---|
| 4月・10月 | 決算の直後で、来店がぱったり減る。接客が丁寧になりやすく、交渉の余地が出やすい |
| 6月・11月 | 1年の中で新車が売れにくい時期。少ないお客さんを逃さないよう、最初から良い条件を出す担当者もいる |
| 5月・8月・9月の連休明け | 連休で営業日が減り、その月の目標に届くか不安な担当者が少なくない |
※乗りものニュース(2025年3月5日)による。販売店や担当者によって事情は違います。
ちょうど今の10月は、9月の中間決算が終わった直後にあたります。急いで買う理由がないなら、決算の混雑を避けて、落ち着いて比べられる時期とも言えます。もうひとつ、3月を外すと、納車後の点検の予約が混む時期と重なりにくくなる、という利点も挙げられています。
また、フルモデルチェンジや改良の直前・直後には、古い型の在庫車に大きな値引きが付くことがあります。同じ記事では、改良前の在庫車に70万円の値引きを提示された例が紹介されていますが、これは条件のそろった一例です。見た目や装備の違いに納得できる人なら、在庫車を選ぶのも1つの方法です。
軽自動車は「何日に買うか」で1年分の税金が変わる
値引きとは別に、買う日にちで支払いが変わるのが税金です。普通車と軽自動車で、しくみが違います。
| 項目 | 普通車(自動車税) | 軽自動車(軽自動車税) |
|---|---|---|
| 誰にかかるか | 4月1日時点の持ち主に1年分 | 4月1日時点の持ち主に1年分 |
| 年度の途中で買ったとき | 月割り(登録した翌月の分から) | 月割りはなく、4月2日以降に取得した年度は課税されない |
| 買う日で変わる額 | およそ1か月分 | 1年分(自家用乗用の標準的な税額で1万800円) |
※滋賀県(自動車税)、東京都中央区・さいたま市(軽自動車税)の案内による。月割りの起算はDIMEの解説記事による。軽自動車税の1万800円は、2015年4月以降に初めて検査を受けた自家用乗用車の標準税率で、市区町村によって変わることがあります。電気自動車などは軽減される場合があります。
軽自動車を3月31日に買うと、翌日の4月1日の持ち主として、その年度の1年分がかかります。4月2日に買えば、その年度はかかりません。決算フェアで少し値引きしてもらっても、数日の違いで1万円あまりの差が出ることがあります。
普通車は月割りなので、差は小さめです。たとえば排気量1.5Lの車(2019年10月以降に登録、年3万500円)なら、1か月分は2,500円ほどです。
※30,500÷12≒2,541円(編集部の計算)。実際の月割りの額は都道府県の計算方法で端数が調整されます。
ただし、決算の月に軽自動車を登録すると、販売店の条件が良くなることもあります。税金の差と、値引きやオプションの差を、見積もりで並べて比べてみてください。
今の車を売る時期は「待つほど得」とは限らない
買い替えでは、今の車をいつ売るかも気になるところです。中古車の買取店などは、1〜3月を「高く売れやすい時期」としています。中古車販売店が3月の需要に向けて在庫をそろえるため、その前に仕入れを増やす、という説明です。
一方で、1〜3月が高めだとする中古車大手の解説の中でも、「1日でも早い方が高く売れる」のが大原則とされています。車は時間がたつほど年式が古くなり、走行距離も増えるからです。
売る時期を待つあいだにも、車の値段は少しずつ下がっていきます。
たとえば今が10月なら、1〜3月まで待つより、新しい車の納車日に合わせて売る段取りを先に決めておくほうが、現実的なことが多いはずです。なお、こうした時期の情報は買取業者の発信が多く、自社に有利な書き方になっている場合もあります。時期よりも、複数の店で査定額を比べることのほうが、差が出やすいポイントです。下取りと買取の違いは下取りと買取の記事、今の中古車の相場の動きは中古車価格の記事でまとめています。
状況別の考え方
人気の新車を、決算の条件で買いたい人
年内に候補を決め、1月上旬までに契約するつもりで動きましょう。契約前に、登録できそうな月と、決算フェアの特典が「何月の登録まで」なのかを確かめておくと安心です。
急いでいないので、じっくり比べたい人
今の10月や11月は、決算の直後や閑散期にあたります。複数の販売店で見積もりを取り、在庫車や改良前のモデルにも目を向けると、条件の良い1台に出会いやすくなります。
軽自動車を買う予定の人
3月末に納車される予定なら、4月2日以降の登録にずらせないか相談してみましょう。ただ、決算フェアの値引きが1万円より大きいなら、3月のうちに登録するほうが得なこともあります。
今の車に大きな出費が迫っている人
時期を待つより、今の車にかかる費用と比べて決めるのが先です。大きな整備や修理にお金をかけてから数か月後に売るより、そのお金を新しい車に回すほうが合理的な場合もあります。
カレンダーより先に、登録日を決める
3月は、たしかに1年でいちばん車が売れる月です。けれど今は、契約した月ではなく登録した月で、決算の条件も税金も決まります。
「何月に買うか」ではなく、「何月に登録したいか」から逆算する。それだけで、決算フェアを取り逃すことも、軽自動車の税金を1年分多く払うことも避けられます。
情報源
- 日本自動車販売協会連合会(自販連)新車販売台数の統計表 jada.or.jp
- nippon.com(国内新車販売、3.3%増の456万台) nippon.com
- MarkLines(日本の新車販売 2025年) marklines.com
- 乗りものニュース(「3月決算=大幅値引き」は過去のハナシ!? 新車で“イチバン”の買い時はいつなのか、2025年3月5日) trafficnews.jp
- ベストカーWeb(新車の納期と買い時、2024年11月15日) bestcarweb.jp
- 滋賀県(自動車税種別割) pref.shiga.lg.jp
- 東京都中央区(軽自動車税に月割制度はありますか) city.chuo.lg.jp
- さいたま市(軽自動車税種別割の税率) city.saitama.lg.jp
- DIME(自動車税の月割りの解説) dime.jp
- ガリバー CAR-TOPICS(車を高く売る時期) 221616.com

