
「冬タイヤに替えたのはいいけど、外した夏タイヤ4本、どこに置こう」——毎年この時期、玄関先やベランダに積まれたタイヤを前に迷う人は少なくありません。結論から言うと、置き方そのものは難しくありません。ホイール付きなら空気を半分ほどに下げて横に積む、ホイールなしなら立てて並べる。この2通りだけです。迷うのは「どこに置くか」のほう。この記事では、タイヤメーカーやJAFが案内している保管の考え方と、タイヤ店・ディーラーの公開料金をもとに、ベランダ・物置・家の中・預かりサービスの比べ方を整理します。
置き場所の比べ方:決め手は「日光・雨・熱・オゾン」を避けられるか
| 置き場所 | お金 | 気をつけたいこと | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 家の中(玄関・納戸など) | 0円 | 暖房器具や調理器具などの熱から離す。床に直接置かない | 置くスペースがある人 |
| 車庫・ガレージ | 0円 | オイルや燃料、モーターのついた機器の近くを避ける | 屋根付きの車庫がある人 |
| 物置 | 0円 | 夏は中が高温になりやすい。冬の夏タイヤより、夏のスタッドレスで要注意 | 戸建てで物置に空きがある人 |
| ベランダ・軒下 | カバー代程度 | 直射日光と雨。エアコンの室外機のそばは避ける | ほかに置き場所がない人 |
| 預かりサービス | 1シーズン数千円〜1万円台 | 工賃は別のことが多い。出し入れに予約と日数がかかる | 置き場所がない・運ぶのが大変な人 |
※タイヤメーカー(コンチネンタル公式サイト、ブリヂストンの広報コメントを紹介した報道)、JAF Mate、タイヤ店・ディーラーの公開情報をもとに編集部で整理。
タイヤのゴムを傷めるものは、ほぼ共通しています。直射日光(紫外線と熱)、雨や湿気、ストーブなどの熱、油や溶剤、そしてオゾンです。コンチネンタルは、温度が一定の涼しい屋内が理想で、屋外には置かないよう案内しています。国内のタイヤメーカーも、直射日光や雨、油、熱源を避け、涼しい屋内が理想としています。
いい置き場所とは、「暗くて、涼しくて、濡れなくて、モーターから遠い場所」です。
最後の「モーター」は見落とされがちです。JAF Mateによると、オゾンはエアコンの室外機のほか、モーターを使う機器やバッテリー、家庭用の蓄電池からも出ていて、近くに長く置くとひび割れなどの劣化が起こるおそれがあります。ベランダの室外機の横は、熱とオゾンの両方を受ける場所になります。
置き方は2通り:ホイール付きは「空気半分で横積み」
| ホイール付き(ホイールごと保管) | タイヤだけ(ホイールなし) | |
|---|---|---|
| 置き方 | 横に寝かせて積む(専用のラックやフックに掛けてもよい) | 縦に立てて並べる |
| 空気圧 | ふだんの半分程度に下げる。使う前に元に戻す | — |
| やってはいけないこと | 長いあいだ縦に置きっぱなしにする | 横に積み重ねる、吊るす |
| ひと手間 | 床に段ボールやすのこを敷く | ときどき向きを変えて、同じところに重さがかからないようにする |
※ブリヂストンの見解(くるまのニュース 2024年11月の記事で紹介。トーヨータイヤ、ダンロップ、横浜ゴム、ミシュランも同様の見解とされる)、JAF Mate(2022年4月)、コンチネンタル公式サイトによる。
ホイールが付いたまま縦に置くと、重いホイールの重さが地面に接しているところに集まり続け、長く置くとそこだけ平らに変形するおそれがあります。横に寝かせれば、重さがホイールを通して分散されます。空気を半分ほどに下げるのは、ゴムや中のコードが張りつめた状態をゆるめるためだと、ブリヂストンは説明しています。
たとえば指定の空気圧が230kPaの車なら、保管中は115kPa前後が目安という計算になります(指定の空気圧は車ごとに違い、運転席のドアの内側などに書かれています)。大切なのは、次に履く前に必ず指定の空気圧に戻すことです。半分のまま走り出すのは危険です。
反対に、ホイールなしのタイヤを横に積むと、下のタイヤの横の部分(サイドウォール)に上の重さがかかります。ホイールなしは立てて並べ、ときどき転がして向きを変えるのが基本です。ホイールなしのタイヤを吊るすと、ゆがんだり傷んだりすることがあるとコンチネンタルは注意しています。
「冬のあいだ置くだけだから、ベランダでも平気?」
夏タイヤを保管するのは、11月ごろから翌年の3〜4月ごろまで。真夏の強い日差しや暑さとは無縁の季節なので、「冬なら外でも大丈夫そう」と考えたくなります。
たしかに、熱の心配は夏より小さくなります。ただ、冬ならではの条件もあります。
- 雨や雪にさらされる。JAF Mateは、雨に濡れる場所や湿度の高い場所はゴムの変質やタイヤ内部の劣化につながるとしています。雪の多い地域では、ベランダにも雪が吹き込みます。
- 暖房で室外機が動いている時間が長い。冬はエアコンの暖房で室外機が回り続けます。オゾンと熱の両方が出る室外機のそばは、季節を問わず避けたい場所です。
- 日差しは弱まっても、ゼロにはならない。南向きのベランダは、冬でも日が差し込みます。カバーで日光と雨を防ぎ、床に直接置かずにすのこなどで浮かせるのが基本です。
つまり、冬のベランダは「暑さ」の心配が減るかわりに、「雨・雪」と「室外機」の心配が残る場所です。どうしてもベランダに置くなら、室外機から離し、カバーをかけ、床から浮かせる。この3つがそろって、やっと「ほかに場所がないときの選択肢」になります。
もうひとつ気をつけたいのが、同じ場所に夏はスタッドレスタイヤを置くことになる点です。夏の物置やベランダは、中がかなり高温になります。スタッドレスはゴムのやわらかさが性能の決め手なので、夏の置き場所のほうがむしろ大切です。スタッドレスの劣化についてはスタッドレスタイヤの寿命の記事で整理しています。
預かりサービスは「1シーズン数千円〜1万6,000円台」、ただし工賃は別
家に置き場所がない、重いタイヤを4本運ぶのがつらい、という人には、タイヤ店やカー用品店、ディーラーの預かりサービスがあります。15〜16インチのタイヤを預ける場合の公開料金を並べてみると、店によってかなり幅があります。
| お店(公開料金、税込) | サイズ | 半年(1シーズン) | 1年 | 主な条件 |
|---|---|---|---|---|
| グッドタイヤ 小田原店 | 16〜18インチ | 8,580円 | —(月1,430円) | 交換作業料・バランス料は別 |
| マルーゼン | 15・16インチ | 13,750円 | 27,500円 | 脱着費は別。延長は1か月2,750円(最大3か月) |
| タイヤ館 梅坪 | 16〜19インチ | 14,000円(冬季:10月〜翌5月) | — | 同店で買ったタイヤ・ホイールのセットのみ。脱着費は別 |
| 日産東京販売 | 15〜16インチ | 16,170円 | 32,340円 | 脱着料・バランス料は別 |
※各店の公式サイトの掲載料金(グッドタイヤ小田原店:2024年12月掲載、タイヤ館 梅坪:2024年10月の改定のお知らせ、マルーゼン・日産東京販売:閲覧時点の掲載)。料金は店舗・地域・時期で変わります。同じチェーンでも店舗によって違うことがあるので、必ず利用する店で確認してください。
夏タイヤだけを冬のあいだ預けるなら1年に1回分、スタッドレスも夏のあいだ預けるなら2回分かかります。マルーゼンの料金で計算すると、夏タイヤだけなら年1万3,750円、両方預けると年2万7,500円。5年続ければ、それぞれ約6万9,000円と13万7,500円になります。
※計算例:13,750円×5年=68,750円、27,500円×5年=137,500円。実際の料金は店舗や契約内容で変わります。
料金表だけでは見えない条件もあります。
- 交換の工賃は別のことが多い。4社とも、表の料金にはタイヤの履き替え(脱着)の作業料が含まれていません。日産東京販売の例では、付け替え工賃は時期によって違い、17インチ以下で6〜9月は4,840円、12〜3月の通常料金は7,260円です。
- 出し入れに日数がかかる。タイヤ館 梅坪は保管場所が提携運送会社の倉庫で、依頼から作業まで7〜10日ほど。マルーゼンや日産東京販売も1週間前後前までの連絡を求めています。「雪の予報が出たから明日替えたい」には向きません。
- 繁忙期は予約が取りにくい。タイヤ館 梅坪は、11月下旬〜12月下旬と3月下旬〜4月中旬を予約が取りにくい時期として案内しています。
- 引き取らないと処分されることがある。マルーゼンは、保管期間が終わって3か月たっても連絡がない場合、所有権を放棄したとみなして廃棄すると定めています。
- ナットやホイールキャップは預からない。タイヤ館 梅坪と日産東京販売は、付属の部品は自分で保管するよう案内しています。
預かりサービスで買っているのは、置き場所だけではありません。重いタイヤを運ぶ手間と、交換のついでにプロが空気圧や溝を見てくれる安心も含まれています。日産東京販売は、配送したタイヤの空気圧と溝を点検してから履き替えるとしています。
しまう前の5つの手順
- 洗って、しっかり乾かす。泥や油を水洗いで落とし、水分が残らないように乾かします。濡れたまま袋に入れると湿気がこもります。
- 溝に挟まった石を取る。トレッド(地面に接する面)に刺さった小石などの異物を取り除きます。釘などが刺さっていたら、しまう前に店で点検してもらいましょう。
- タイヤワックスは塗らない。保管中はタイヤ同士が触れるため、ワックスが変質するおそれがあります。油性のワックスを塗っていた場合は拭き取ります。
- 空気を半分ほどに下げ、バルブキャップを付ける(ホイール付きの場合)。
- どこに付いていたタイヤか印を付ける。「右前」「左後ろ」などをメモしておくと、次に履くときに前後を入れ替えて減り方をそろえる目安になります。
※1〜4はブリヂストンの見解を紹介した報道、JAF Mate、井上ゴム工業への取材記事(Motor-Fan、2026年7月)による。5は一般的なタイヤ店の案内を参考にした編集部のすすめです。前後の入れ替え(ローテーション)は、駆動方式やタイヤの種類によってやり方が違うので、店に相談してください。
自分に当てはめると
マンション住まいで、置けるのはベランダだけ
ベランダに置くなら、室外機から離れた場所に、カバーをかけて、すのこなどで床から浮かせます。避難経路をふさがない置き方にすることも大切です。それでも置き場所に不安が残るなら、夏タイヤとスタッドレスのどちらかだけでも預かりサービスに出すと、ベランダの負担が半分になります。
戸建てで、物置に空きがある
冬のあいだの夏タイヤなら、物置は有力な置き場所です。床に段ボールやすのこを敷き、ホイール付きなら空気を下げて横積みに。ただし、夏にスタッドレスを同じ物置に置く場合は、中が高温にならないかが分かれ目になります。日の当たり方によっては、夏だけ家の中や預かりに切り替える方法もあります。
屋根付きの車庫がある
雨と日光を避けやすく、車からの出し入れもいちばん楽な場所です。気をつけたいのは、オイルや燃料の缶、コンプレッサーなどモーターのついた機器のそばに置かないこと。タイヤラックを使えば、横積みの高さも抑えられます。
交換はいつも店に頼んでいる
預かりサービスとの相性がいちばんいい人です。どうせ店で交換するなら、タイヤを積んで運ぶ手間がなくなります。料金の比べ方は「保管料+交換工賃」の合計で。自分で交換する人は、保管の前に交換後の増し締めの記事も確かめておいてください。ホイールごと用意するか組み換えるかで保管の仕方も変わるので、ホイールごと買うか組み換えるかの記事も参考になります。
タイヤが休むあいだにも、ゴムの時間は進んでいる
外したタイヤは、半年近く動かないまま過ごします。そのあいだに傷むかどうかを決めるのは、走った距離ではなく、置かれていた場所です。
暗くて、涼しくて、濡れなくて、モーターから遠い場所。そこに、ホイール付きなら空気を半分にして寝かせておく。それだけで、次の春にまた気持ちよく履けるタイヤが待っています。
情報源
- コンチネンタルタイヤ「タイヤの点検とメンテナンス方法(タイヤの保管)」 continental-tires.com
- JAF Mate Online「スタッドレスタイヤの適切な保管方法は?」(2022年4月6日) jafmate.jp
- くるまのニュース「外した『夏タイヤ』の『正しい積み方』正解はどっち!?」(2024年11月24日、ブリヂストンの見解を紹介) kuruma-news.jp
- Motor-Fan「外したタイヤはどう保管すればいいの?」(2026年7月、井上ゴム工業への取材) motor-fan.jp
- マルーゼン「タイヤ&ホイール預かりサービス」 maluzen.com
- タイヤ館 梅坪「タイヤ保管(タイヤクローク)料金の価格改定のお知らせ」(2024年10月1日) taiyakan.co.jp
- 日産東京販売「タイヤ・ホイールセットお預かりサービス」 nissan-tokyo.co.jp
- グッドタイヤ小田原店「タイヤの預かり保管費用」 mobile-yg.com

