
「中古車って、こんなに高かったっけ?」——数年前の感覚で探し始めた人ほど、そう感じるはずです。業者が売り買いするオートオークションの平均価格は、2026年の4〜9月で1台あたり約129万円と、前の年より6.5%高い水準でした。なぜ上がったのか、そして2026年秋の今はどんな局面なのかを、最新の数字で整理します。
先に結論:上がった理由は「海外」と「新車」、今は高いまま足踏み
中古車の値段を押し上げてきたのは、大きく2つです。ひとつは、円安を背景に日本の中古車が海外でよく売れていること。もうひとつは、新車そのものの値段が上がり、中古車に人が流れていることです。
ただし2026年の夏以降、オークションの数字には「上がり続ける」とは違う動きも出ています。
今の中古車相場は、下がり始めたのではなく、高いところで足踏みしている状態です。
「待てば安くなる」とも「今すぐ買わないともっと上がる」とも言い切れない時期だ、ということを先に押さえておくと、この先の話が読みやすくなります。
数字で見る2026年の相場
中古車の店頭価格は、多くの場合、販売店がオートオークションで仕入れた値段がもとになっています。国内最大手のUSSが毎月公表している「成約車両単価」(オークションで売れた車の1台あたりの平均価格)を見ると、相場の流れがつかめます。
| 期間 | 成約車両単価 | 前の年の同じ時期と比べて |
|---|---|---|
| 2026年4〜9月(6か月) | 128万6000円 | 6.5%高い |
| 2026年8月 | 124万8000円 | 1.9%高い(前年は122万4000円) |
| 2026年9月 | 127万5000円 | 2.2%低い |
出典:USSの月次実績を報じたLOGISTICS TODAY(2026年9月8日・10月6日)。USSグループの会場だけの数字です。
半年の合計では前の年より高いのに、9月だけを見ると前の年を下回りました。春から夏にかけて大きく上がり、秋にかけて伸びが止まってきた、という流れです。
「出品は増えたのに、売れる割合は下がった」の意味
同じUSSの7〜9月の数字を見ると、オークションに出された台数は前の年より14.7%増えた一方、実際に売れた台数の伸びは8.5%にとどまりました。出された車のうち売れた割合(成約率)は64.8%で、前年の68.6%から3.8ポイント下がっています。
一見すると「車が余ってきたのに、値段は高い」という矛盾した状態に見えます。これは、売る側が高値を期待して出品を増やした一方、買う側(販売店や輸出業者)がその値段では手を出しにくくなり、折り合わない車が増えている——と読むのが自然です。値段が一気に崩れているわけではなく、「これ以上は上がりにくい」というところまで来ているサインと言えます。
理由1:日本の中古車が海外で売れている
日本の中古車は、整備状態のよさから海外での人気が高く、輸出が国内の相場を下支えしています。業界の報道によると、2025年の中古車輸出は年間170万台を超え、過去最高を更新しました。170万台は、2025年に国内で売れた新車(約457万台)の3分の1を超える規模です。
円安が続くと、海外の買い手から見て日本の車は割安になります。国内の販売店と海外向けの輸出業者が同じオークションで同じ車を競り合うため、輸出が強い時期は国内の相場も上がりやすくなります。特に、年式が新しく走行距離の少ない車や、車齢5〜7年ほどの車は海外での需要が強いと報じられています。
中東情勢で、輸出先の顔ぶれが変わった
2026年は、中東情勢の悪化で事情が変わりました。日本の中古車の大きな行き先だったUAE(アラブ首長国連邦)向けは、2026年5月に227台と、前年同月の約1万9000台からほぼ止まった状態になっています。それでも輸出全体の落ち込みは数%にとどまり、ロシアやアフリカ向けが増えて穴を埋めました(2026年7月は全体で前年同月比6.9%減、ロシア向けは約4割増)。
輸出先が入れ替わったことで、全体としての需要は大きく崩れず、相場を支え続けている——これが、夏まで相場が高かった理由のひとつです。一方で、輸出の勢いが前年ほどではなくなったことが、秋の足踏みにもつながっていると考えられます。
理由2:新車の値段が上がり、中古車に人が流れる
新車は、材料費や物流費、人件費の上昇を受けて値上げが続いています。たとえばトヨタは、車をつくる材料費の増加を約1.3兆円と見込み、その半分ほどを価格改定で回収する方針だと報じられています。部品メーカーとの取引価格の見直しも、半年ごとから3か月ごとに短くしたとされます。
新車が高くなれば、「同じ車の数年落ちで十分」と考える人が増えます。さらに、新車が高い分、乗り換えをためらって今の車に長く乗る人も増え、中古車市場に出てくる車がそのぶん少なくなります。需要が増えて供給が細る、という2つの動きが同時に起きるため、中古車の相場は新車の値上げにつられて上がりやすいのです。
すべての車が同じように上がっているわけではない
相場の動きは、車の種類や年式で大きく違います。中古車の買取会社などのレポートでは、次のような傾向が指摘されています。
- 高年式・低走行の良質な車:海外でも国内でも欲しい人が多く、高値が続きやすい。
- SUV:冬に向けて需要が高まりやすい(ヤリスクロスやヴェゼルなどが例に挙がっている)。
- 人気の高級ミニバン:アルファード・ヴェルファイアは入札は多いものの、出回る台数が増えたことで、突出した高値は出にくくなっている。
- 300万円未満の車:取引の件数が3年続けて増えており、手の届く価格帯に需要が集まっている。
「中古車が高い」とひとくくりにせず、自分が探している車種と年式の相場がどう動いているかを見ることが大切です。
買う人・売る人、それぞれの考え方
これから買う人
相場がすぐに大きく下がる材料は、今のところ見当たりません。「下がるまで待つ」よりも、年式・走行距離・グレード・色のうち、どれなら妥協できるかを先に決めておく方が、予算に合う1台を見つけやすくなります。値段が高い時期ほど、保証の有無や修復歴など、価格以外の条件の差が後から効いてきます。
近いうちに売る人
中古車の買取会社のレポートでは、9〜12月は相場全体が落ちにくい時期とされています。一方、年が明けると年式の上で「1年古い車」として見られるようになります。年内に手放すかどうか迷っているなら、年内のうちに一度査定額を確かめておくと、判断の材料になります。
しばらく乗り続ける人
相場が高いと「今が売りどき?」と気になりますが、売ったあとに次の車を買うなら、その車も同じように高い相場で買うことになります。乗り換えの予定がないなら、相場の上げ下げに振り回される必要はありません。
相場を自分で確かめるには
いちばん手軽なのは、中古車情報サイトで、探している車種・年式・グレードに近い車の価格をいくつも並べて見ることです。台数が多いほど、その時点の相場感がつかめます。売る側なら、メーカーの公式サイトにある下取り参考価格のシミュレーションや、複数の買取店の査定を比べる方法があります。どの方法で出た金額も、実際には車の状態で変わるため「目安」として使いましょう。
中古車の値段は、海外と新車の動きを映す鏡。今は、その鏡が高いところで止まっている時期です。
【更新 2026年10月15日】内容を最新の情報に合わせて全面的に見直しました。
情報源
- LOGISTICS TODAY「USSの4-9月実績」(2026年10月6日) logi-today.com
- LOGISTICS TODAY「USSの8月実績」(2026年9月8日) logi-today.com
- LOGISTICS TODAY「中古車輸出・買取価格レポート」(2026年7月1日) logi-today.com
- ユーカーパック「中古車相場レポート 2026年9月号」(PR TIMES配信、2026年9月24日) response.jp
- ファブリカコミュニケーションズ「中古車買取相場推移レポート(2026年6月版)」 response.jp
- ニュースイッチ(日刊工業新聞)トヨタの材料費上昇への対応に関する記事(2026年8月28日) newswitch.jp
- 日本自動車販売協会連合会 統計資料 jada.or.jp

