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車の火災は1日に約10件、いちばん多い火の元は「排気管」 点検後に置き忘れた布と「焦げたにおい」が分かれ目

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車の火災、いちばん多い出火元は排気管。点検後の布の置き忘れと焦げたにおいに注意
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高速道路の渋滞情報で「車両火災のため通行止め」という表示を見かけることがあります。自分の車が燃えるとは、なかなか想像しにくいものです。ただ、総務省消防庁の統計では、車両火災は2024年の1年間に全国で3,546件。毎日どこかで約10台の車が燃えている計算です。この記事では、消防庁の統計と、国土交通省が実際の車を使って行った発火試験の結果をもとに、車の火災がどこから起きるのか、ふだんの点検や乗り方で何ができるのかを整理します。

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車の火災は、1日に約10件起きている

消防庁の「令和7年版 消防白書」によると、2024年中の車両火災は3,546件で、前年より25件増えました。亡くなった人は74人(放火自殺者などを含む)、損害額は約24億5,000万円です。

この件数を、身近な単位に置き換えてみます。

項目 2024年の数字 置き換えると
車両火災の件数 3,546件 1日に約10件、約2時間半に1件
うち「排気管」が原因 636件(17.9%) 1日に2件近く
損害額 約24億5,415万円 1件あたり約69万円

※件数・損害額は消防庁「令和7年版 消防白書」。損害額には、車両火災以外の種別に分類された車の被害は含まれません。置き換えは編集部の計算例(2024年はうるう年のため366日で計算。3,546÷366≒9.7件、366日×24時間÷3,546≒2.5時間、24億5,415万円÷3,546≒69万円)。

出火原因の上位は、多い順に「排気管」636件(17.9%)、「電気機器」316件(8.9%)、「交通機関内配線」311件(8.8%)でした。上位の3つだけで1,263件、全体の約36%を占めます。

車の火災でいちばん多い火の元は、エンジンでもガソリンでもなく、排気管です。

排気管は、街中を走るだけで300℃を超える

排気管は、エンジンから出た高温の排気ガスが通る管です。国土交通省が2010年にまとめた調査では、実際の車でエンジンルームの中の排気系の温度を測っています。その結果は、次のとおりでした。

測った車と場所 時速40kmで平らな道 時速70kmで6%の上り坂
普通乗用車(2,400cc)の排気マニホールド出口 317℃ 493℃
軽自動車Bの排気マニホールドパイプ 290℃ 612℃
軽自動車Cの排気の酸素センサー部 359℃ 574℃

※国土交通省自動車交通局「エンジンルーム内の可燃物置き忘れなどに関する調査結果」(平成22年4月)の表2-8から抜粋。車や部位によって温度は大きく違います。

同じ調査では、ふだん点検や整備に使う布などが、何度で火が付くかも調べています。

燃えたもの 火が付いた温度(前後)
綿のウエス(メリヤス地・タオル地) 375℃
綿の手袋(軍手) 350℃
エンジンオイル 350℃
綿の手袋にブレーキフルードが付いたもの 300℃

上の2つの表を並べると、街中を時速40kmで走っているだけでも、排気系の熱い部分は布に火が付く温度に近いか、それを超えていることが分かります。油が染みた布はさらに燃えやすく、調査では発火する温度が25〜50℃下がりました。報告書のまとめでも、油の付いた可燃物は300〜350℃で発火し、これは一般の市街地を走っていても十分に起こりうる温度だとしています。

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排気管が最も多い原因なのに、排気管が壊れているわけではない

「そんなに熱いのに、ふつうの車はなぜ燃えないの?」

ここで一つ、勘違いしやすい点があります。統計で「排気管」が最も多いからといって、排気管が壊れて火を噴いているわけではありません。排気管は、熱くなるように作られている部品です。熱いだけなら火事にはなりません。

火事になるのは、その熱い排気管に、燃えるものが触れたときです。国土交通省の調査では、メーカーから報告された車の火災情報717件のうち、エンジンルームに入り込んだ燃えるものが原因だったのは72件(約10%)。その中身は次のとおりでした。

燃えたもの 件数
置き忘れた布・ウエス・タオル・軍手・段ボールなど(推定を含む) 56件
枯れ草(積み荷を含む) 7件
小動物が持ち込んだもの 4件
鳥が持ち込んだもの(巣など) 4件
外から飛んできたビニール 1件

※国土交通省「エンジンルーム内の可燃物置き忘れなどに関する調査結果」(平成22年4月)。平成20年12月〜21年9月に自動車メーカーから報告された事故・火災情報の分析。古い調査ですが、エンジンルームの中の温度と燃えるものの関係は、今の車でも考え方は同じです。

72件のうち56件、約8割が「置き忘れ」でした。報告書は、置き忘れの多くは点検・整備のときに使ったものと推測しています。オイル交換のあとや、自分でボンネットを開けて作業したあとに、布や軍手を1枚置いたままにしてしまうケースです。走っている間の風や振動で、エンジンルームの中を移動し、熱い部分に引っかかることもあるとしています。

車の火災の多くは、熱い部分と燃えるものが出会ったときに起きます。熱い部分は避けられないので、防げるのは「燃えるもの」の側です。

火が付くまでは1分前後、その前に「焦げたにおい」がする

国土交通省は、実際の車の排気系にタオル地のウエスを載せて走らせる試験もしています。普通乗用車では53秒後、軽自動車の1台では39秒後に火が付きました(いずれも排気系が十分に熱くなった状態から)。タオル地は火が付いてから3.5〜6分ほどで燃え尽き、その間に周りの樹脂部品や配線の被覆に燃え移っていくと見られています。

大事なのは、その前ぶれです。試験では、すべての車で、火が付く前に焦げたにおいが車内で感じられました。においは発火する温度の近くから始まり、火が付いたあとの2〜3分が特に強かったとしています。

走行中に焦げたにおいがしたら、それは火災の手前のサインです。「そのうち消えるだろう」と走り続けないことが、いちばん効く対策です。

報告書がユーザーへの注意としてまとめたのは、次の3つでした。

  • 走り出す前に、エンジンルームに燃えるものを置き忘れていないか確かめる
  • 長く乗らなかった車は、小動物や鳥が小枝などを持ち込んでいないか確かめる
  • 走行中に焦げたにおいを感じたら、走り続けない
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ほかにも多い原因:エンジン部のトラブルと、配線・電気

置き忘れのほかに多いのが、車そのもののトラブルです。首都高速道路の発表を紹介したJAF Mateの記事(2026年8月)によると、首都高での車両火災の推定原因は、オーバーヒートやオイル漏れなど「エンジン部からの出火」が全体の35%で最も多く、タイヤのバーストから火災になるケースもあるとしています。首都高では2025年度に26件の車両火災(交通事故が原因のものを除く)が起きており、消火のための通行止めは平均で約4時間におよぶそうです。

漏れたオイルが熱い排気系にかかれば、それも「燃えるものが熱い部分に触れる」のと同じことです。JAF Mateの記事は、出発前の点検として、冷却水とエンジンオイルの量、タイヤの劣化と空気圧を確かめるよう勧めています。

消防庁の統計で2位・3位の「電気機器」「交通機関内配線」は、車の中の電気の部品や配線から火が出たものです。年数のたった車の配線の劣化や、バッテリーの端子のゆるみによるショートが、火の元になることがあるとされています。電気まわりは自分で確かめにくいので、定期的な点検で見てもらうのが現実的です。

車の中に置きっぱなしにしないほうがいいもの

エンジンルームの外、車内から火が出ることもあります。JAFなどが注意を呼びかけているのは、次のようなものです。

もの 起こりうること
水の入ったペットボトル レンズのように日光を集め、シートなど燃えやすいものを焦がすおそれ
フロントガラスに付ける透明の吸盤 日光が集まり、一部が高温になることがある
ライター(特にオイル式) ダッシュボードなど熱くなる場所で熱を持つ
スプレー缶・カセットボンベ 車内の温度上昇で中のガスが膨らみ、破裂するおそれ

※くるまのニュースの車両火災に関する解説記事(JAFの説明を含む)をもとに編集部で整理。スプレー缶などは、製品に書かれた「◯℃以上になる場所に置かない」といった注意書きに従ってください。

夏ほどではなくても、晴れた日の車内は秋や冬でも温度が上がります。「置いておくと便利」なものほど、置きっぱなしになりがちです。

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秋は「枯れ草の上に停めない」

これからの季節に気をつけたいのが、枯れ草です。たとえばホンダの取扱説明書は、枯れ草や紙、油、木材など燃えやすいものがある場所には駐停車しないよう注意し、排気管や排気ガスの熱で火が付くおそれがあるとしています。

河川敷やキャンプ場、空き地の草むら、紅葉狩りの臨時駐車場など、乾いた草の上に停める場面は秋に増えます。走った直後の排気系は特に熱いので、草の上に停めるのは避け、土や砂利、舗装された場所を選ぶほうが安心です。国土交通省の調査でも、ぬかるみで脱輪した車が、脱出のために枯れ草を敷いて出火した例が載っています。

もし自分の車から煙や火が出たら

JAF Mateの記事は、首都高の呼びかけとして次のような行動を紹介しています。

  • 後ろの安全を確かめて、安全な場所に止め、車から離れて避難する
  • 道路緊急ダイヤル(#9910)か、消防(119)に通報する
  • 爆発のおそれがあるので、出火した車には近づかない
  • トンネルの中では、窓を閉め、キーは車内に置いたまま、貴重品を持って非常口から避難する

荷物を取りに戻ったり、自分で火を消そうとして車のそばにとどまったりするのは危険です。車は買い替えられますが、人の命は取り戻せません。

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あなたの場合はどう考える?

オイル交換や点検を自分でする

いちばん関係が深いのはこの場合です。作業が終わったら、ボンネットを閉める前に、持ち込んだ布・軍手・袋を数えて全部回収したかを確かめる習慣をつけましょう。お店で点検や整備をしてもらったあとも、受け取ったときにボンネットの中を一度のぞいておくと安心です。

しばらく乗っていない車を動かす

週末しか乗らない車や、冬の間あまり動かさない車は、エンジンルームに小動物や鳥が小枝や枯れ葉を持ち込んでいることがあります。久しぶりに乗る前に、ボンネットを開けて見える範囲だけでも確かめておきましょう。

高速道路や山道をよく走る

上り坂を速い速度で走ると、排気系の温度はぐっと上がります。調査でも、高速道路の上り坂や、サービスエリアに止めた直後は火災が起きやすいと推測されていました。長距離に出る前は、エンジンオイル・冷却水の量とタイヤを確かめ、走行中は焦げたにおいや警告灯に気を配りましょう。

車内にいろいろ置いている

ダッシュボードの上のペットボトル、吸盤付きのアクセサリー、ドアポケットのライターやスプレー缶を一度見直してみましょう。災害への備えとして車に積むものは、車に積んでおきたい防災グッズは?で、夏の車内に置かないほうがいいものと合わせて整理しています。

火の元は消せない。だから燃えるものを近づけない

車は走れば必ず熱くなり、その熱をなくすことはできません。できるのは、熱い部分に燃えるものを近づけないことと、焦げたにおいがしたら止まることです。ボンネットを閉める前のひと目と、においに気づいたときのひと呼吸が、車の火災を防ぐいちばん確かな方法です。

エンジンオイルの交換の目安はエンジンオイルはいつ交換すればいい?、バッテリーの寿命は車のバッテリーは何年で交換?で詳しく整理しています。

情報源

  • 総務省消防庁「令和7年版 消防白書」第1章第1節 火災の現況と最近の動向(車両火災) fdma.go.jp
  • 国土交通省自動車交通局「エンジンルーム内の可燃物置き忘れなどに関する調査結果」(平成22年4月) mlit.go.jp
  • JAF Mate Online「首都高で車両火災が急増!? 夏に車両火災が増える原因と出発前に確認したい点検ポイントとは?」(2026年8月13日) jafmate.jp
  • 首都高速道路「車両火災について」 shutoko.jp
  • Honda シビック TYPE R 取扱説明書(駐停車時の注意) honda.co.jp
  • くるまのニュース「なぜ車両火災は起きる? 意外なモノが燃える原因かも!」 kuruma-news.jp
  • くるまのニュース「『最近“車両火災”のニュースをよく見ますが、なんで燃えるんですか?』冬は特に要注意!」(2024年12月31日) kuruma-news.jp
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